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相続税申告の流れと申告書提出方法

2021/05/06
相続税申告の流れと申告書提出方法

相続税申告が必要となった場合、税務署に申告書を提出することになりますが、どんな手順で申告書を提出することになるのか、相続手続きの全体像や申告書の提出と納税方法を見ていきます。

相続開始から相続税申告書が提出されるまでの流れ

相続税申告は、相続手続きの中に含まれます。

下の図は、相続手続きの全体像を表しています。

 

相続税申告は相続が開始されてから10か月以内にしなければならないことが分かりますね。
実は、この10ケ月という期間は、長いようで短いのです。


相続税申告は相続が開始されてから10か月以内にしなければならないことが分かります。

相続税申告をするには、相続人と相続財産が確定している必要があります。例え遺言があったとしても、これらの調査は必須となります。スムーズにいく場合もありますが、状況によってはかなりの時間がかかります。

被相続人が亡くなってから暫くの間は、遺族は諸手続きでバタバタしていることが非常に多く、気がつけば3か月や半年が過ぎていた…とご相談に来られる方の多くは言われます。 

相続財産が確定申告期限まで、相続開始から3か月なら残り7か月、6ケ月なら残り4か月となります。
この残りの期間で、申告書に「相続税がどうしてこの税額になるのか」などを証明する大量の資料等を添付して申告書を提出して納税を完了しなければなりません。

ここでは相続税申告までの大まかな流れを掴んでいただき、相続税申告が必要な人や、申告に必要な書類などについては、別のページにて詳しく解説します。(メニューからご覧ください)

相続税申告書の提出方法と納税方法

相続税の申告書には誰の印鑑が必要なの?

 

①相続税申告の押印の原則

相続税の申告書には相続人の押印が必要です。下記申告書のサンプルをご覧ください。

 

左端の欄が亡くなった方の欄で、全遺産が記入されます。その遺産をどのように分けたのかを右側の欄に書くような書き方になっています。
枠の左上の 被相続人の欄に亡くなった方のお名前を書いて、その右側から財産をもらった人が署名押印します。押印は実印でなくてもよいです。

押印が必要なのは、財産(相続税法上の遺産です)を取得した人だけです。何ももらわない人は、申告書に氏名も出てきませんから押印も必要ありません。

②押印してくれない人がいたら?

相続人全員で遺産分割協議がまとまって申告書に押印できれば良いのですが、相続争いが起きてしまった場合には、押印してくれない人も出てくるかもしれません。

そのような場合に、申告内容に納得せずに押印に応じてくれない人は無申告になってしまいますし、無申告加算税を追徴されることになってしまいます。

このような場合は、押印に応じない人の側では、自分で納得できる申告書を作成して自分の部分にだけ押印して税務署に提出し計算した自分の納得できる相続税を納付することもできます。
実は、連名の申告書でなくても提出できるのです。その申告書には他の人の押印が無いことになります。

同じ被相続人(亡くなった人)の遺産の総額や分割額が違っている申告書が別々に税務署に提出されることになりますが、そのような場合には税務調査を経て税務署が正しい納税額を徴収することになります。

 

相続税申告書はどこの税務署に提出するの?

① 提出先の税務署

 

相続税の申告書の提出先は、財産を取得した人の住所地を管轄する税務署ではなく、被相続人の死亡の時における住所地を管轄する税務署に提出します。
「被相続人の死亡の時における住所地」は、被相続人の住民票の除票に記載されています。

 

国税庁のホームページで管轄する税務著を調べることができます。
国税庁HP「税務署の所在地などを知りたい方」は➡ こちら

※老人ホームに入居していた場合
 


病院に入院中に亡くなったり、自宅で亡くなった場合は、被相続人の住所はご自宅になっている場合が殆どでしょう。
この場合、申告書の提出先は自宅の住所地を管轄する税務署となります。
ところが、被相続人が老人ホームに入居していた場合には、基本的に入居の際に住民票を老人ホームの住所へ移しています。
この場合の申告書の提出先は、老人ホームの住所地を管轄する税務署となりますので注意が必要です。

 

② 日本にいない人はどうするの?

海外に在住する人が相続税の申告や納付をするときには、納税管理人を定める必要があります。納税管理人は専門家でなく家族がなってもよいです。

③ 相続人が複数いる場合の提出先はどうなるの?

相続人が複数いて、それぞれが別々の場所に住んでいたとしても、相続人が別々の税務署に申告書を提出するわけではありません。
相続税の申告書は、被相続人の死亡の時における住所地を管轄する税務署に提出しますので、相続人が全員同じ税務署に提出することになります。

④ 相続税の申告書の提出方法は?

相続税申告書を管轄の税務署に提出する方法には次の2つがあります。

A.直接持参する
B.郵送する

どちらも申告期限内に申告書を提出しなければなりませんが、特に注意が必要なのがBの場合です。
税務署の業務時間内に窓口に行けない方や遠方で税務署の窓口に行くことが難しい方は、申告書を郵送することになるでしょう。


しかし、申告期限が迫っていて郵送で申告書を提出するような場合、郵便局の窓口ではなくポストに投函してしまうと郵便局の集荷状況によって翌日の取扱いになってしまうこともあります。
この場合、申告期限を過ぎてしまうことになりますので要注意です。

相続税の納税方法と相続納税納付書記載例
どこにどうやって納税するのか

① 相続税の納付期限

相続税の納付も相続税申告書と同様、被相続人(亡くなった方)の住所地を管轄する税務署に、相続開始(亡くなった日)を知ってから10ヶ月以内に行います。

相続税の申告と納付期限について注意しなければならないことは、相続人間で遺産分割協議に時間がかかってしまい、10ヶ月以内に纏まらない場合でも、一旦、相続税の申告と納付をしなければなりません。
未分割のまま、法定相続分に従って分割取得したものとして相続人全員が連帯して相続税の申告と納付をすることになります。
この場合、小規模宅地の特例等は使うことができず、税額が大きくなる可能性があり負担も大きくなります。
後日、実際に遺産分割協議が整った際に、特例等を適用させた本来の税額で修正申告等をすることになります。

② 納付の方法

税務署にある納付書を使って金融機関でも納付することができます。
この納付書は、申告書を提出した後に税務署から届くというわけではありませんので注意が必要です。
納付の期限内に、申告書に記載した税額を原則として金銭で一括して納付します。(例外として、一定の要件の下、延納や物納等も可能)

③ 納付書の記載例

実際には、下記の納付書を使って、記載例に沿って記入して、全国の金融機関の窓口で納付できます。


 

納付日の属する日の会計年度
  例:平成30年4月1日~3月31日の場合は「30」と記入します。
相続税の科目は50です。
税務署名は所轄税務署で相続税の納付書をもらうと印字されます。
本税 計算された相続税の本税の額を記入します。
 その他の金額は空欄にしたままで、合計額の欄に本税と同額を記入して¥マークを記入します。
納税等の区分 上段に被相続人の死亡日を記入します。
住所・氏名ともに二段書きをして、上段に被相続人名、下段に相続人名を記入します。
  ※納付書は相続人各人別に作成します。

相続税申告書提出期限とペナルティ

①申告はいつまでにしなければならないのか?

相続税の申告は、相続開始の日(死亡日)から10ケ月以内とされています。
もっと具体的に言うと、戸籍に記された死亡日から10ケ月後の応当日です。

 

例えば、4月10日が死亡日だとすると、10ケ月後の2月10日になります。応当日が土日の場合には、その翌日が申告書提出期限となります。

相続税の申告書提出期限と納付期限は原則として同一日です。

申告書提出と同時に相続税を納付しなければならないのでお間違えの無いように。

なお、死亡日は相続人が死亡を知った日なので、戸籍に記された日より後に死亡を知った場合には、その知った日を起点に申告期限が決められます。
例えば、同居の兄は4月10日に死亡を知って、連絡が取れない弟が8月10日に知ったとすると、兄の申告期限は2月10日で弟の申告期限は6月10日になります。 

②相続申告と納税のペナルティ

「もし、申告期限までに申告書を提出できなかったらどうなるの?」

と心配される方もいらっしゃるでしょう。
実は、相続税申告の期限は、原則延長できません。期限に間に合わないとペナルティがあります。

相続税を期限内に申告しないと、申告書を提出しなかったことに対して追徴されるので、余分な税金を支払わなくてはなりません。

→無申告加算税 過少申告加算税

さらに、申告期限から納付日までの利息に相当する延滞税を納めなければならなくなります。

無申告加算税、延滞税詳しくは➡ こちら

この記事の監修者
釘宮 貴美子
釘宮 貴美子
公認会計士税理士・行政書士

サンソレイユ税理士法人 代表社員税理士 首都圏事務所所長
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士 小杉事務所所長

福岡県出身。「円満な相続」には、税法の知識だけでなく民法その他関連法規と豊富な経験に基づくノウハウが必要です。税務調査率は1%に満たない精度の高いプロ中のプロ。税務を絡めて遺言や契約書等に法的不備がないか厳しい目でチェックし、お客様を税務リスクから守る、真の税務法律家です。

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