自分で申告か税理士に依頼するか
相続税申告を自分でする方がよいか、税理士に依頼するか迷う方も多いと思います。ご存じのとおり、ご自身で申告書を作成すれば費用をかけずに済みますが、手続きに慣れていないと時間もかかる上、申告内容に間違いがあると過少申告などのリスクがあります。
一方で税理士に依頼すれば、決して安くはない業務報酬がかかりますが、スムーズな手続きと間違いのない申告ができます。
ここでは、比較的なじみのある所得税の確定申告書との比較して相続税申告のボリューム感や、税理士へ依頼する場合に何故相続専門が良いかなどを解説しています。
相続税申告書を自分で作成する場合
① 所得税確定申告書との違い
申告書というと所得税の確定申告を思いう浮かべる方がいらっしゃると思います。
所得税は毎年2月14日から3月15日までの1ケ月間に前年の所得を税務署に申告します。
所得税の確定申告は前年の1年間の所得を翌年3月15日に申告しますから、12月31日にその年が終わって、1月1日から3月15日までの2ケ月半の準備と計算期間が設けられています。
一方、相続税は相続開始の日(死亡日)から10ケ月以内に申告納付をしなければなりません。
所得税の申告が1年間の計算であるのに対して、相続は人の一生の清算が行われます。おまけに本人は亡くなっていないので他の人が申告をすることになります。だから亡くなってから10ケ月の準備期間と計算期間が設けられています。
所得税の確定申告書と相続税の申告書の分量を比べても、圧倒的な違いがあります。
税の専門家の会計事務所でも、法人税や所得税の申告を専門に扱っているところがほとんどで、相続税申告書を専門に扱っているところは数が少ないです。
法人税や所得税は同じ法人や同じ人が毎年申告するので、去年の資料やデーターを見ればある程度わかることが多いのですが、相続税は亡くなった人にとって一度しかない申告なので、前の申告と比べるわけにいかないし、人の一生の清算ですから条件が皆違っているのです。
税務署でも相続税の申告についてはわざわざ資産税部門を設けて対応しています。
② 相続税申告書を自分で作成するか税理士に依頼するか?
所得税と相続税の申告書の準備期間の差と作成書類の分量の差を見ていただいてもわかりますが、相続税の申告書を相続人の方が自分で作るのはなかなか大変な作業です。
所得税の確定申告書が標準4枚とすると、相続税申告書は最低20ページの分量になります。
約5倍ですね・・・
1時間の相談時間は税務署で対応してくれたとしても、5時間もの時間を一人のために割いてもらうのは難しいでしょう。他の納税者もたくさん待っているし、税務署のスタッフは調査に回るのが原則ですから、窓口で説明するスタッフは不足しています。
だから、税務署でも書き方は時間をかけて教えてくれません。多くの場合は窓口で税理士の名簿を渡されて、自分で探して依頼するように勧められるようです。
また、一つ一つの計算方法と資料の揃え方を説明していると、それをお教えする「時間単価×時間数」は膨大になり、税理士に自分で書くから教えてくれるように依頼した場合には、申告書を丸ごと依頼するより高くなってしまうのが普通です。
そのような理由で、相続税申告書を作成するほとんどの方が税理士さんに作成依頼をします。
相続税申告書の作成ができるかどうか、ご自分でチャレンジしてみたい方は、国税庁のホームページに書き方が解説されていますので、自分で調べながらやってみることもできます。
また、申告書の用紙もダウンロードすることができます。
③ 相続税申告を税務署に相談すると?
自分で相続税の申告書を作成する場合、①②のとおり期限が迫る中、申告に必要な多くの書類を整理しながら進めていかなければなりません。
その中で、誰かに相談したくなる場面が出てくることでしょう。そんな時に、法律では税務に関する個別的、具体的な相談に対して答えることは税理士しか認められていません。
もちろん、国の機関である税務署に相談することは問題ないので無料でできる税務署への相談を希望する方も多いでしょう。
では、税務署に相談して申告書を作成しようとした場合の注意点をご紹介します。
ⅰ. 税務署での相談は、税金を納める義務がある人のための、いわば国の無料サービスです。至れり尽くせりの親身な対応を期待することはできません。
例えば、この特例を使えば相続税が減りますよというようなアドバイスはもらえません。税金を徴収することが仕事の税務署は積極的に節税策を教えてくれません。
ⅱ. 部署の移動などで資産税に関しては経験が浅い職員が窓口の担当となる場合もあるので、相談の回答には責任を持ってくれません。税務署に相談したから大丈夫・・・というこ事にはならないのです。
申告書を出してそれを調査して問題なければ認めるのが政務書の立場です。税金が掛かる掛からないかの大切な判断については文書で公式回答をもらわない限り、事前相談の責任は税務署では取らないのが原則です。
従って、たとえ有料でも資産税に精通した税理士に相談する方が適切な対応で的確なアドバイスがもらえます。
ご自分で申告をする場合は、正しく相続税を納めるために、税務調査などの後々のリスクも考えて相談先を選びましょう。
相続税申告を相続専門の税理士へ依頼する理由
お医者さんに専門があることは皆さま承知しています。内科、外科、耳鼻科、皮膚科・・・等
弁護士さんにも得意分野があることを多くの人がご存知です。刑事事件に強い、交通事故に強い、離婚に強い・・・等
同じように、税理士にも専門分野があります。会社の経理と法人税に強い、消費税に強い、相続と相続税に強い・・・等
相続の相談であれば、相続税に強い税理士に依頼するのが一番です。 耳鼻科の先生に盲腸の手術を依頼しないし、離婚に強い弁護士さんに刑事事件の弁護は依頼しないのと同じことです。
相続の事は相続専門の税理士さんに依頼して、それも個人事務所ではなく、複数の税理士が在籍して知恵を出し合える税理士法人に依頼した方が良いのです。
相続専門税理士に依頼するメリットとは?
相続税申告を相続専門の税理士に依頼するには報酬がかかります。しかし自分で申告すればリスクがあります。
ここでは税理士に依頼するメリットを解説します。
● 納める相続税を節税できる
「相続税申告の財産評価」で説明したように、相続税額を出す前の段階で、相続財産がいくらあるかを決めるための「財産評価」が難しい財産があります。評価の仕方で評価額が変わっていきます。同じ財産でも税理士によっては評価後の財産額に数億円の差が出ることもあります。また、毎年のように変わる相続税法を網羅した税理士が、どの特例が使えるのか等、専門知識を駆使して依頼者のために可能な限りの節税方法を検討します。
● 二次相続、三次相続を考慮した相続税対策ができる
相続税を納めることが「今、この相続税を払えば終わり」というわけではありません。特に、二次相続で相続人がいる場合は、一次相続で「配偶者の税額軽減特例」を使って納税がなかった場合も、二次相続時に多額の相続税がかかってしまった・・・というケースは多くあります。
● 税務調査のリスクを抑えられる
「相続税の税務調査と書面添付制度」でも説明したように、税理士が作成した適正な申告書とそうでない申告書では税務署の目の付けられ方が変わってきます。税理士の名前が記名押印され、各財産の評価基準の下、詳細な資料が添付された申告書が提出されていれば、おのずと信頼度は高まります。
● 適正な相続税申告ができる
自分で申告すると、本来納めるべき相続税額より多く納めてしまったり少なかったりするリスクがあります。特に少なく納税してしまった場合は、延滞税が課されるため注意が必要です。
税理士に依頼すれば適正な相続税申告ができます。
● 申告期限までに申告できる
よくあるケースが、自分で申告しようと思っていたけれど、思いのほか時間がかかってしまい申告期限が迫ってきて、どうしようもなくなって相談に来られる・・・
このような場合でも相続専門の税理士であれば、申告期限に間に合うようにスピーディ且つ正確な申告が可能です。
こと、相続専門の税理士が複数在籍している税理士法人は、スムーズな相続税申告ができる豊富な経験とノウハウがあり体制が整っています。
上記のことから、例え報酬はかかっても税理士に依頼することで結果的にコストが低く済むことが、税理士に依頼する最大のメリットと言えます。
相続税申告の作成報酬について
相続税申告書という税務署に提出する書類を単品とすると、それに前菜からデザートまでどのようなコースで組み立てられて報酬が決まっているのかを見定める必要があります。
例えば、税所に提出する申告書の単品を、工場のラインに乗せて大量生産して、数と価格を誇示するレストランもあります。
また、一品一品を顧客の嗜好、年齢に合わせて提供してくれるサービスの行き届いたレストランもあります。
また、例えて言うと、車の車検を依頼した時に、最低限の車検だけ通ればよいと考えて安く済ませている工場もあれば、丁寧に点検して、今後、整備にかかるお金や消耗費の交換サイクルさらに車の買い替え時期もアドバイスしてくれる工場もあります。
相続税申告書はレストランでも工場でもありませんが、大切なことは、相続税申告書にかかるコストは、支払う相続税+相続税申告作成報酬の合計で決まるという事・・・税務署から追徴を受けるリスクはないか? 相続税の節税や将来の相続税の節約を相続税申告書作成過程でアドバイスしてくれるのかどうか? です。
もう一つは、相続税申告作成過程から得られた情報に基づいて、家族信託や遺言のような相続対策を提案してくるのかどうか? の二つだと思います。
相続税申告は、何に対して報酬を支払うのかがわかりずらいものです・・・ 単品なのか、書類ができればよいのか?・・・・ 今回と次の税金も考えてくているのか?・・・・ 争続の対策と財産管理の対策まで考えてくれているのか? これらをよく見極める必要があります。
相続税申告の報酬は高いと感じやすいため、報酬を安く提示する税理士を頼りたくなりますが、それを重視するのは危険と言えます。税理士の「腕」によっては、相続税額が高くなり、将来の見通しが甘いために次の相続で思わぬ痛手を負うことにもなりかねません。
ソレイユ相続相談室の無料相談が選ばれる理由
相続税の申告は大切ですが、相続税申告は相続手続きの一つのパーツです。
相続の全体の流れの中から申告を見ると、相続税額に影響を与える遺産分割のやり方は、将来の家族の相続(次の相続)に影響を与えます。ですから、相続税申告も今回の税金(申告)の事だけでなく、次の相続(相続対策)のつながりの中で考え、アドバイスを受けることが大切です。
ソレイユ相続相談室の無料相談は、相続税に強い税理士だけでなく、相続相談全般の相談経験が多い相続コーディネーターのチェックが入るようにしています。
相続コーディネーターの目が入ることで、多くの人が相続税申告の相談の中から、わが家にとって大切な、財産管理や次の相続の対策のヒントをつかんで帰られます。
また、弁護士や司法書士等の士業、不動産業者等の専門業者等とも提携しており、一つでは解決できない幅広いお悩みにもスムーズに対応しています。
私たちの無料相談が選ばれる理由は、相続全般の親身の相談相手の相続コーディネーターのアドバイスが受けられるところにあります。