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相続税申告をスムーズに! 評価額が分かりにくい「株式や土地・家屋」の賢い相続方法

2023/09/29
相続税申告をスムーズに! 評価額が分かりにくい「株式や土地・家屋」の賢い相続方法
相続した財産には、さまざまなものがありますが、相続税申告をするとき、受け継いだ株式や土地・家屋は相続税を計算するために、すべてをお金に換算(評価)しないといけません。この記事では、「株式や土地・家屋」の評価方法について解説します。

家の模型と虫めがねの画像相続した財産には、さまざまなものがありますが、相続税申告をするとき、受け継いだ株式や土地・家屋は相続税を計算するために、すべてをお金に換算(評価)しないといけません。

換算する作業、評価額を算出するには、手間がかかります。のんびりしていると、申告期限の10ヶ月も間に合わなくなってしまいます。

そのようなことにならないためにも、早めの対策と準備が大切です。

 

 

1 株式や土地・家屋の相続税申告の多様な手続きとは? 対処方法は?

相続する財産に、「株式や土地・家屋」があることがわかった場合、それらの評価を決めるまえにもやらなければいけない手続きがあります。相続税を申告するまでの手続きのおおまかな流れを追ってみましょう。

①相続財産、相続人の確定から遺産分割協議

相続が開始されたら、遺言書の有無、相続財産と相続人の確定が必要です。相続人が複数いる場合、資産の分割や評価額の算出(※)の認識について相続人間で調整が必要となります。遺産分割協議を円滑に進めるためには、適切なコミュニケーションが求められますが、これが必ずしもスムーズに進むわけではありません。

相続人に収入があった場合、その収入を申告する「準確定申告」もしなければいけません。

※評価額の算出

株式や土地・家屋の評価額は正確に算出する必要があります。上場株式は基準日の市場価格によって評価されますが、非上場株式は評価基準の設定が複雑です。

土地・家屋の評価額は、路線価や固定資産税評価額、また土地の種類などにさまざまに変化します。

 

②名義変更手続き

遺産の分割方法が決まったあとの、株式や土地・家屋の名義変更手続きは、手間がかかる作業です。上場株式の場合は証券会社に名義変更手続きを依頼します。名義変更に伴う登記費用や印紙代なども考慮する必要があります。土地・家屋の場合も名義変更が必要となります。(2024年4月から義務化)

 

③相続税申告

相続税の申告には、遺産の詳細な内訳と評価額、相続人の情報などを記載する必要があります。これらの情報を収集し、申告書を作成する作業は手間がかかります。

以上、相続財産の評価をして、相続税申告に至るまでの簡単な流れを①から④で表してみました。一つ一つの過程においてどれも手間と時間、専門的な知識もが必要になってきます。

そのため、株式や土地・家屋の相続手続きを円滑に進めるためには、次のような対策がおすすめです。

 

●相続人間のコミュニケーションを大切にする

相続人間で適切な遺産分割方法について話し合い、意見を共有することが重要です。特に、資産の評価額が分かりにくい場合は、適切な評価方法を探求し、認識を統一することが求められます。

相続財産の時価は一つではないので評価方法によって遺産の総額は変わってしまいます。

【事例】 下記遺産を兄弟で二分の一ずつ分け、兄は土地の所有を希望の場合

     相続税評価額    時価
土地    3000万円    5000万円
預金    3000万円    3000万円
遺産計   6000万円    8000万円

土地を相続税評価額で計算して分けると、遺産総額6000万円のうち兄が土地3000万円で弟が預金3000万円で二分の一ずつになります。

土地の評価を売却時価で計算すると、兄が5000万円もらって弟が3000万円もらうので、二分の一ずつ分けると考えた時に、兄が1000万円多くもらうことになってしまいます。

土地の時価は実際に売却するまでお金に換算するのは難しいので、この事例でも話し合いでどうするかを決めていくことになります。

また、上場株式についても亡くなった日の終値は1000万円あったが遺産分割の日には500万円になっていることもあるのです。

相続税申告の評価はある程度細かくルールが決まっていますが、遺産分割の評価には細かなルールはありません。それだけに色々な評価の中から話し合いで納得する方法を決めていく必要があるのです。

 

●専門家の意見を求め管理を依頼する

財産評価や相続手続きには専門的な知識が必要です。税理士や弁護士、司法書士などの専門家に相談し、適切な手続きを行うことが望ましく、管理を専門家に依頼することで、資産価値の維持や向上が図られ、適切な遺産分割が実現できます。また、遺産管理を通じて相続税の節税対策も行われることがあります。

 

2 「株式や土地・家屋」評価額の決定方法

評価額の決定方法は、株式と土地・家屋のそれぞれに適用される方法があります。

以下では、それぞれの決定方法について解説します。

 

a) 株式の評価

上場企業の株式の場合、評価額は市場価格を基に算出されます。通常、相続が発生した時点の株価が用いられます。しかし、市場価格は経済状況や企業業績によって日々変動するため、いつの時点で評価額するかが不安定です。

上場株式の相続評価には、

以下の4つのうち最も低い株価を使っても良いことになっています。

 ①被相続人の死亡日の最終価格(終値)

 ②被相続人の死亡月の毎日の最終価格(終値)の平均額

 ③被相続人の死亡月の前月の毎日の最終価格(終値)の平均額

 ④被相続人の死亡月の前々月の毎日の最終価格(終値)の平均額

例えば、A企業の株価が①15万円、②10万円、③7万円、④5万円だとすると、

死亡した日の株価が15万円だったとしても、最も低い5万円を評価額の計算に使用することができるのです。最終価格がない場合は、亡くなった日から最も近い日の最終価格を使用することになります。

非上場企業の株式については、評価がより難しくなります。通常、業績や財務状況を基に専門家が算定しますが、会社の規模や相続人とその会社の関係などにより評価方法が変わってきて、主観的な判断が入るため、正確な評価が難しい場合があります。

公社債の評価、投資信託の評価についても判断が難しい場合があります。

株式評価に関しては、コチラのページ「株式など有価証券の評価方法」もご覧ください。

 

b) 土地・家屋の評価

土地の相続税評価を求める場合「路線価方式」と「倍率方式」の2つの方法があります。

●路線価方式は次の算式により土地の評価額を算出します。

(計算式)評価額 = 路線価 × 補正率 × 地積

・路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額のことです。国税庁ホームページで確認できます。

・補正率とは、画一的に定められた路線価をその土地の形状などに合うように定められた率のことです。評価する土地の間口距離や奥行距離、土地の形、がけ地などの特殊事項などそれぞれ補正率が定められています。

・地積とは、評価対象となる土地の面積のことです。登記簿謄本(全部事項証明書)や固定資産税課税明細(納税通知書)などから確認できます。

●倍率方式は次の算式により土地の評価額を算出します。

(計算式)評価額 = 固定資産税評価額 × 一定の倍率

・固定資産税評価額とは、各市区町村が固定資産税算出の基準とするために土地ごとに定めている評価額です。固定資産税課税明細(納税通知書)や評価証明書などにより確認できます。固定資産税課税明細(納税通知書)には固定資産税評価額のほかに固定資産税課税標準額という数字も記載されていますので、間違えずに、固定資産税評価額を用いてください。管轄は税務署ではなくその土地が所在している各市区町村です。

・一定の倍率とは、評価対象の土地が所在する場所と地目別に定められており、国税庁ホームページで確認することができます。

どちらの評価方法を採用するかはその評価対象となる土地の所在地域ごとに定められています。路線価が定められている地域は路線価方式、それ以外の地域は倍率方式により評価します。これらは国税庁が公表する土地価格であり、一般的には、相続が発生した時点ではなく、相続が発生した年の1月1日の価格が用いられます。

土地の評価は、形状や広さ、用途、現況によっても評価方法も評価額も変わってきます。

家屋の評価額は、相続税に使う場合には「固定資産税評価額」を考慮して算定されます。

ただし、路線価は、実際の市場価格と乖離している場合があり、専門家による評価が必要なケースもあります。

土地の評価額を計算するために相続税申告書を提出する際に「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」を作成して添付します。

土地評価に関しては、コチラのページもご覧ください。

●相続対策の知恵 財産評価をスムーズに! 土地の上に存する権利の種類

●知って得!相続対策の知恵「間口が狭い宅地の相続税評価」

●相続税評価における土地の評価単位

●私道の相続税評価

 

3 まとめ 適切な相続方法の選択と円滑な遺産分割の実現のために

相続財産の価格は、「相続開始時(亡くなった日)の時価が基本ですが、上記のように、

「株式や土地・家屋」は財産の種類によって評価の方法が異なり、複雑です。

適正な財産リストの作成を急ぎながら、相続人間でコミュニケーションをとり、

遺産分割に関する事前の合意や話し合いをしましょう。

また、専門家の意見を求めることも、資産の評価や相続方法の選択において大変有益です。

専門家の知識と経験を活用することで、適切な相続方法を見極めやすくなり、資産価値の維持・向上や節税対策が期待できます。

資産の評価や相続方法の選択は複雑なプロセスであり、相続人間の関係や資産の特性によって異なりますが、本記事で提案されたアプローチや考慮事項を適用することで、適切な相続方法を見つけることができるでしょう。

資産価値の維持・向上や節税対策には、「ソレイユ相続相談室」をご利用ください。

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