【事例】父の会社の保証債務どうする?
Aさんは、工場を経営しているお父様が先月亡くなったので、 相続の相談に来られました。
工場の経営は兄が継ぐことになり、株と自宅と預金も兄が相続することで、遺産分割の話はまとまっています。
お父様に遺言はなく、遺産分割協議書でAさんが財産を相続しない形で、押印するように兄から頼まれました。
工場の経営について、Aさんはお母様から、工場は資金繰りが苦しく倒産するかもしれないという話を聞いています。
工場には億単位の銀行からの借入があり、お父様が保証していました。
Aさんは、分割協議書に押印すべきかどうか迷っていました。
解決の方向
遺産分割協議書でAさんが何も相続しない旨を相続人間で取決めしても、 お父様が連帯保証人となっている銀行からの借入金については、 銀行から、もし返済を迫られた場合には、兄だけの負担で済むわけではなく、 兄が払えない場合には Aさんもその負担を負う可能性がある旨お話しさせていただきました。
金融機関の借入保証人の名義をすべて書き換えるまでは、 Aさんにも保証債務がついて回ります。
万一そのままにしたままで、後日工場が倒産した場合の事も考えて、 家庭裁判所に正式な相続放棄をすることをお勧めしました。
遺産分割協議で何も相続しないということと、相続放棄とは異なりますので注意が必要です。