認知症対策だけではない「家族信託」相続手続きの手間と費用も減らせます!

現在、65歳以上の5人に1人が認知症になる時代を迎えており、家族信託は認知症による口座凍結対策や遺言機能として広く活用されています。しかし、家族信託の真価はそれだけではありません。相続発生後に行う「相続手続き」の大幅な軽減も可能です。事前に家族信託を設定することで、将来起こりうる相続手続きと同様の財産整理を生前に完了させることができ、認知症対策・遺言・相続手続きの負担を総合的に軽減できます。

家族信託の基本的な仕組み

家族信託は、財産の所有者が家族へ財産の管理のみを託すものです。関わる人物は以下の3つの立場に分かれます。

委託者:財産の所有者で、信託を依頼する立場
受託者:信託を受け、実際に管理を行う人物
受益者:財産を受け取る権利がある人物

家族信託をおすすめする2つのポイント

ポイント① 認知症による口座凍結を防ぐ

認知症により判断能力が低下すると、金融機関が本人確認や意思確認を行った際に、預金の引き出しを制限される可能性があります。このような状況になると、必要なお金は家族が立て替えることになりかねません。

これを避けるために、判断能力がしっかりしているうちに家族信託契約を使って、信頼できる家族に財産の管理権限を委託しておくことが有効です。家族信託を活用すれば、委託者の判断能力に関わらず受託者が適切に財産管理を行えるため、必要な資金の確保が可能になります。また、財産管理を家族に委ねることで、特殊詐欺のリスクも軽減できます。

厚生労働省が公表した最新データによると、2023年度の要介護・要支援認定者数は約705万人となり、前年度から約8万人・1.1%増加し、年々増加している状況にあることからも、事前の対策が重要です。

ポイント2 相続の手間と費用を大幅に削減できる

相続財産の調査は非常に困難な作業です。ご両親がどこにいくら預金しているか、把握していらっしゃいますか?把握していない場合、どのように調べるのでしょうか?

高齢者の中には、預金情報をエンディングノートに記載している方もいらっしゃいます。しかし、服用中の薬や病気の情報も一緒に記載され、目につきやすい玄関に置かれていることもあり、これは財産管理の観点から大きなリスクとなります。

相続を経験した方はご理解いただけると思いますが、相続手続きは膨大な書類作業を一定期間内に完了させる必要がある大変な作業です。遺言書がない場合、まず遺産分割協議書を作成するため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集します。同時に相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書の取得、預金口座のある金融機関での残高証明書の取得も必要です。

預金の払い戻しや口座解約には、完成した遺産分割協議書を持参して各金融機関で手続きを行います。不動産については、分割協議前に登記事項証明書を取得し、協議後は相続登記手続きを進めなければなりません。このように関係機関ごとに必要書類や手続き方法が異なるため、相続人にとって非常に煩雑で時間のかかる作業となるのです。

家族信託を活用すると、これらの手続きの大部分が不要になります。その理由は、大半の手続きが生前に完了してしまうからです。

家族信託は相続手続きの手間を削減できる契約

家族信託による解決策

ここでは、分かりやすく全財産を信託する場合を想定して事例で説明いたします。

例えば、生前に母親の年金受取口座のみを残し、その他の預金口座を解約した上で、長男が受託者となる信託口座に財産を預けることで、認知症による資産凍結や特殊詐欺の被害を防ぐことができます。

母親が亡くなった際も、その財産は信託財産であり相続財産には含まれないため、遺産分割協議や名義変更など、通常の相続手続きが不要になります。

時間がかかる相続財産の調査:家族信託の設計時にすでに完了

信託財産の相続先(帰属先) → 家族信託契約書に明記済み
遺産分割協議書の作成 → 信託財産以外(年金振込口座の金銭など)についてのみ実施

長男が母親から預かっている財産を、母親が亡くなった後にどのように分配するかは、家族信託契約書に記載されている通りに進めます。財産の名義は既に長男に変更されているため、預金であれば振り込むだけで手続きが完了します。不動産についても、すでに長男名義になっているため、手続きは従来の遺産分割協議よりもはるかに簡単です。

まとめ

家族信託契約は、当事者の判断能力が万全の時に、ご自身の財産を家族に託して管理するルールを定めるだけでなく、亡くなったときの財産の最終的な帰属先まで明確にします。

これは、多くの書類を必要とする相続手続きの一部を事前に完了させていることと同じ効果があります。家族信託が持つ「生前財産整理」機能(財産の把握・名義変更・管理体制の確立を生前に行うこと)を適切に活用すれば、相続発生後の手続きの手間を大幅に削減することができます。

相続人の中に事務処理や銀行回り、役所回りが苦手な方がいらっしゃる場合、家族信託は特におすすめです。現在すでに65歳以上の5人に1人が認知症となり、2050年には1,000万人の方が認知症になると予測されている状況を踏まえ、早めの検討をお勧めいたします。
また、家族信託の設定には専門的な知識が必要ですので、司法書士や行政書士などの専門家にご相談いただくことをお勧めします。

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