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気になる相続税申告!「相続税申告が間に合わない? 未分割申告の注意点とは」

2023/09/29
気になる相続税申告!「相続税申告が間に合わない? 未分割申告の注意点とは」
相続は遺産分割協議がスムーズに終われば相続税の申告も難なく終えることができます。しかし、家族間で激しく衝突してしまうケースも少なくありません。今回の記事では「相続税申告と未分割申告」をキーワードに相続税申告について詳しく解説します。

相続税申告にまにあわないと?イメージ相続税は生前から家族が一丸となって備えている方もいれば、ある日突然のご逝去にともない、ご家族が大慌てで財産調査を実施し遺産分割協議に臨むケースもあります。相続は遺産分割協議がスムーズに終われば相続税の申告も難なく終えることができます。しかし、家族間で激しく衝突してしまうケースも少なくありません。相続には悲喜こもごもあり、まさに人生模様、と言っても過言ではありません。では、遺産分割協議が難航してしまい相続税の申告期限に間に合わなかったらどうすれば良いのでしょうか。また、相続人の中に亡くなったご家族である被相続人から生前贈与などを受けていた場合には、一体どのように対処すれば良いのでしょうか。今回の記事では相続税申告と未分割申告をキーワードに相続税申告について詳しく解説します。

 

◆相続税の申告期限とは?

大切なご家族がご逝去され、相続が発生した場合には相続財産がどの程度なのか財産調査を行います。預貯金や有価証券、不動産はもちろん住宅ローンや消費者金融からの借入などの負の財産も相続対象です。正しい相続財産が確定した後には必要に応じて相続税の申告および納税を行う必要があります。相続税の申告は基礎控除額の範囲内であれば申告及び納税は不要ですが、必要となった場合には申告期限が設けられています。

【相続税の申告期限とは】

相続税の申告期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」です。被相続人と同居していたご家族であれば死去日が起点となるでしょう。一方で被相続人とは長年疎遠であり、死亡日を数か月してから知る方もいます。その場合には死亡を知ったその日から、10か月のカウントが始まります。家族イラスト図

相続財産の調査が難航したり、相続人間の遺産分割協議が難航したりと申告前の段階で時間がかかってしまうと、あっさり10か月目を迎えてしまうので注意が必要です。

 

相続税の申告期限は延長できるの?

相続税の申告期限は10か月と聞いた時に、長いと感じるでしょうか、それとも短いと感じるでしょうか。相続税の申告は相続人同士で激しい争いに発展するケースも多く、遺産分割協議が10か月以内にはまとまらないケースがあります。では、相続税の申告が間に合わない場合には延長はできるのでしょうか。結論から言うと、相続税の申告期限は延長できます。しかし、どんな理由であっても延長ができるわけではありません。申告期限の延長が認められる場合、認められない場合を紹介します。

・相続税申告期限の延長が認められるケースの一例

1.胎児がいる場合

相続が発生した際、胎児がいる場合には相続人に該当するケースもあります。但し、生まれてから相続人になるため、胎児は申告期限の延長が認められます。

2.遺贈があった場合

被相続人が残した遺言書によっては遺贈が発生するケースもあります。遺贈は相続人に限定するものではないため、突然第三者が遺贈を受ける可能性もあります。この場合、遺贈を受ける方(以下・受遺者)は通知を受けるまでは自身が遺贈を受けて税申告を行う立場になったことを知りません。受遺者は「遺贈されることを知った日の翌日」から10ヶ月以内が申告・納付期限日になります。

3.遺言書の存在が発覚した場合

遺言書が無いと思いながら相続税の申告準備を進めていたところ、申告期限直前になって遺言書が発覚するケースもあります。この場合も延長が認められることがあります。

4.新型コロナウィルスや遺言書の存在が発覚など

現在新型コロナウィルスの蔓延が継続しており、相続税申告の延長の理由としても認められています。また、地震や水害などを理由に延長することも可能です。こうした自然災害等による延長は国税庁が定期的に告知をしているため、確認しておきましょう。参考記事は→コチラ 申告・納付等の期限の個別延長関係

・相続税申告期限の延長が認められないケース

遺産分割協議がまとまらない、などよくある申告が遅れそうな理由では、延長は認められていません。上記で触れた延長ができる理由は特別な事情である、と税務署が認めるケースなのです。相続税の計算が間に合わない、遺産分割協議がまとまらない、相続人調査が終わらない…などの理由では相続税申告期限の延長は認められないのです。

相続税申告が間に合わないとどうなる?

相続税申告が間に合わず、申告期限の延長もできないとどうなるのでしょうか。たった1日であっても相続税の申告期限に間に合わないと、延滞税などのペナルティが発生してしまいます。納付を放置してしまうと無申告加算税へと発展する可能性もあるのです。つらい相続税に加えてさらに別の税金を納付する必要が生じてしまいます。

 

◆相続税申告期限に間に合わず、延長もできない時の対処法

相続税申告期限に申告できず、延長も認められない場合には一体どうすればいいのでしょうか。相続税の計算が終わらない、遺産分割協議が揉めてしまったなどの理由で10か月以内に終わらないことがあります。そんな時には、以下の2つの方法で重いペナルティを避けることができます。

概算申告とは

相続税の申告期限間近に、新たな財産が発覚した場合などは相続税の正しい計算が間に合わない場合があります。この場合、まずは申告期限内に多めに相続税の納税を行う方法があります。この方法を「概算申告」と言います。正しい金額を確定させたら還付請求を行うことで、余分に支払った分は戻ります。

未分割申告とは

遺産分割協議がまとまらず、未分割の状態のまま相続税申告期限を迎えてしまう場合には、「未分割申告」を選択できます。まず法定相続分を申告し、正式に遺産分割協議が完了した後に再度申告を行う方法です。

◆未分割申告で使えなくなる制度や納税額に注意を

遺産分割協議が難航し、相続税申告が迫ってしまった場合にはペナルティの税金が加算されないためにも未分割申告を検討します。しかし、未分割申告には注意点もあります。実は相続税に使えるお得な制度が使えなくなるのです。また、通常の相続よりも納税に苦しむ可能性もあります。

軽減特例が使えなくなる

相続税が重い負担であるため、配偶者が使える軽減特例や小規模宅地等の特例といった制度が使えなくなります。

農地や非上場株式の納税猶予が認められない

相続財産のうち、農地や非上場株式を相続する際に農業や事業を継続すること、など一定の条件をクリアすれば相続税の納税が猶予されるというしくみがあります。未分割申告をすると、この制度も使えません。

相続税の納付に苦しむ可能性も

未分割で申告する、と言うことは相続人が相続する財産が決定していない状態です。そのため財産を相続税の支払いに充当することもできず、物納をすることもできません。高額の相続税を相続人の財産から支払う必要があるため、納付に苦しむ可能性があります。

 

◆未分割申告の際に特別受益があった場合にはどう対処する?

相続人間の話し合いがまとまらず、未分割申告に臨むことになった場合には気になるポイントもあります。それは「特別受益」(※1)です。未分割申告は法定相続分に沿って申告を行いますが、相続人の中に生前に贈与を受けた方がいたらどうするべきでしょうか。

(※1)特別受益とは

特別受益とは相続人のうち、一部の方だけが被相続人から生前贈与や遺贈などを受けた利益について指します。その他の相続人は受け取っていないため不公平さが生じやすく、相続開始のときに実際に残されていた相続財産の額と合算したうえで、各相続人の相続分を決めなければならないと定められています。(特別受益の持ち戻し)

未分割申告の際にも特別受益は考慮が必要!

未分割申告の際には民法903条に規定される特別受益の項目に沿って特別受益に関しても考慮が必要です。つまり、生前に贈与を受けていた方などは特別受益の持ち出しを行う必要があり、その他の相続人よりも計算方法が複雑です。ただし、相続税上は相続開始前3年以内の贈与のみが相続財産に加算されます。 

【 例 】

被相続人である亡父の相続財産は10,000万あり、妻である配偶者1名と子ども(A・B)の2名の計3名が相続人として遺産分割を行うも協議が難航している。子どもAは父の亡くなる1年前に生前贈与で1000万円を贈与されている。

【 答 未分割申告の方法 】

このケースは被相続人である父が亡くなる1年前に子どもAに1,000万円を贈与しています。つまり、特別受益を考慮して未分割申告を行う必要があります。持ち出し分として子どもAが贈与を受けた分1,000万を相続財産10,000万円の上に加算して考えるため、未分割申告時の相続財産は11,000万円とします。(みなし相続財産)

家族関係イラスト図

 

◆まとめ

この記事では相続税申告について未分割申告を軸に、特別受益があった場合などを踏まえながら詳しく解説を行いました。未分割申告に至った場合には本来なら受けられるはずの配偶者の軽減特例などが受けられないなどのデメリットがあります。できれば遺産分割協議を終えることが理想ですが、難しい場合には税理士に相談を重ねながら未分割申告に臨むことがおすすめです。相続税申告や未分割申告などに関しては、お気軽にソレイユ相続相談室までお問い合わせください。

 

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