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遺産分割協議

2021/10/13
遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続人と相続財産が確定した後に相続人全員で財産を誰にどう分けるか話し合うことをいいます。このページでは、遺産分割協議について分かりやすく解説し、遺産分割協議書のサンプルも載せています。円滑な相続手続きを進めるために是非ご活用ください。

遺産分割協議とは

遺産分割協議①

 

相続人と相続財産の調査・確認が終わったら、相続人全員で財産を誰にどう分けるか話し合います。この話し合いのことを遺産分割協議といいます。
被相続人が亡くなった時点でその財産(遺産)は、相続人全員で共有している状態になります。
被相続人が遺言を残していた場合は、遺言の内容に従って財産を遺言で指定された人の名義にする手続きをすれば済みますが、この遺言がない場合には遺産分割協議をしなければ財産を相続人の名義にすることはできません。
また、遺言があった場合でも、相続人全員が合意すれば遺産分割協議をすることができます。
この遺産分割協議は、相続人の調査で確認した被相続人の相続人が全員でしなければなりません。

遺産分割協議のポイント

遺産分割協議は、一般的には相続人全員が一堂に会して話し合いますが、その内容は原則として自由に決められます。そのため、なかなか話がまとまらない原因の一つとして相続財産をどう分けるかがあります。
もし揉めてしまったらどうなるのでしょう?
揉めに揉めて裁判所の判断を仰いだとしても、最終的には各相続人が取得する遺産額は法定相続分に落ち着くようです。
※被相続人の生前に、特別受益寄与分があったような場合にその証明がされれば、それを加味した相続分となります。

相続財産を法定相続分どおりに分ければ公平感はあるように思っても、実際に被相続人が生前に相続人とどう関わったか、相続人間の関係はどうだったかによっては話がまとまらない場合もあります。
遺産分割で揉めないためには、相続人の中に「自分は財産はいらない」という人がいる場合は別ですが「法定相続分どおり」を意識しつつも、各相続人の状況に応じて慎重かつ慎重に検討する必要があります。

遺産分割の方法

遺産分割の方法は次の4つです。財産ごとに複数の方法を組み合わせて検討していきます。

遺産分割協議②

 
1.現物分割

現物分割は、相続財産をそのままの状態で分ける方法です。
例えば、相続財産に土地、預金、有価証券があった場合に「土地は○○に、預金は△△に、有価証券は□□に」というようなケースがあげられます。
しかし、相続財産の内容によっては財産の評価額(価値)に格差があるため、例えば、各相続人の相続分が500万円とすると、相続分どおりにそれぞれの財産を上手く分配するために苦労する場面も少なくありません。

遺産分割協議③

 
2.換価分割

換価分割は、売却できる相続財産があった場合に、その財産を売却した代金を相続人間で分ける方法です。
例えば、極端な話で相続財産が不動産のみで、3人の相続人がいたとします。相続財産のうち、1人が1/2、その他の2人で1/4ずつの割合で分けることが決まったとしても、財産が不動産のみでは現実には分けづらいでしょう。
そのような場合に、不動産が4,000万円で売却できれば、2,000万円、他の2人が1,000万円ずつ財産を分配することができます。

この方法を採る場合で相続税がかかる場合には、相続税申告書に載せる不動産の価格は、売却金額ではなく相続税評価額になります。従って、実際に遺産分割協議で計算した財産額の数字とズレが生じることになります。
さらに、相続税の納付額は、相続税評価額で評価された財産全体の相続税額を(申告書の上で)各人の取得した財産の価格で按分して決めます。
また、相続税や譲渡にかかる所得税は、各人毎に使える特例が異なる(場合がある)ため、それぞれ減額できる金額が違ってくることもあります。
遺産分割をするときには、相続税や譲渡の税金や売却手数料等の負担で揉めないように、あらかじめ税金計算を織り込んで計算しておくことをお勧めします。

遺産分割協議④

 
3.代償分割

代償分割は、相続財産の中に残したい財産がある場合に、その財産を取得した相続人が他の相続人にその分を代償金として支払う方法です。

例えば、被相続人名義の自宅(土地・建物4,200万円)を一緒に住んでいた長男が取得する代わりに、長女と次男に1,400万円ずつ長男が自分の財産から支払うといったようなケースがあげられます。
遺産分割協議(話し合い)の過程で「相続財産を取得する割合を法定相続分にする」ことが決まっていて、主な相続財産が分けにくい場合に、相続人の1人が主な相続財産を取得してしまうと、他の相続人が取得する財産が法定相続分を満たさないことになります。
この方法は、主な相続財産を取得した相続人が、他の相続人に代償金を支払うことで取得する相続財産が公平に分けられる効果があります。

ただし、不動産など財産の評価方法が決まっていない相続財産について、その評価方法をどうするかで意見が分かれるケースもあるので、揉めないために評価方法を慎重に検討する必要があります。

代償分割にする場合でも換価分割と同様に、相続税申告が必要な場合には、分割協議で話し合われた不動産の価格(時価)と相続税申告書に載せる不動産の価格(相続税評価額)が違うことが考えられます。
この場合も相続税の負担で揉めないように、あらかじめ相続税負担も検討した遺産分割協議をされることをお勧めします。

遺産分割協議⑤

 
4.共有分割

代償分割は、相続財産の中に残したい財産がある場合に、その財産を取得した相続人が他の相続人にその分を代償金として支払う方法です。

遺産分割協議で揉めてしまったら?

遺産分割協議⑥

 

遺産分割協議は、その内容に相続人全員が納得して、初めて成立します。1人でも納得できずに遺産分割協議書に印鑑を押さないと言い出す相続人がいると、いつまでも名義の変更ができず争いに発展するケースも多くあります。
遺産分割協議がなかなかまとまらない場合、すぐに裁判をイメージするかもしれませんが、実は遺産の分け方を裁判所に申立てても訴訟になるわけではありません。

遺産分割調停

相続人間で遺産分割協議を行っても話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てることができます。 遺産分割調停は、被相続人の遺産の内容と相続人が誰なのか確定していることが前提で、「誰にどの財産をどのくらい分けるか」について遺産分割協議でまとまらない場合の手続きです。 遺産分割調停を申立てると、直接相続人間で話し合わず、裁判官と調停委員が介入しながら円満な解決を目指して話し合いをしていくことになります。 調停がまとまるまでには、それぞれの案件ごとに違ってきますが、数か月~1年半ほどの期間が必要と見込まれます。

この遺産分割調停を行っても話し合いがまとまらない場合、調停不成立となり遺産分割審判に手続きが移ります。

遺産分割審判

遺産分割調停が成立しない場合に自動的に審判に移行するので、改めて申立てをする必要はありません。
裁判官が証拠を調べたり事実の調査をした上で判断して審判を下します。 言い分のある相続人は、それを立証する必要も出てきます。
遺産分割審判には法的効力があるため、確定してしまうとその内容に従わなければなりません。

遺産分割審判では、基本的に法定相続分どおりになりますので、場合によっては不動産を売却して遺産分割することになる可能性もあります。

相続人に遺産分割協議に参加できない人がいた場合

相続人の中に、未成年者や認知症などで意思表示ができない人がいた場合は、その方の代わりとなる人が遺産分割協議で話し合うことになります。

遺産分割協議⑧

 
●相続人が未成年者の場合

契約や遺産分割協議など法律行為をするには意思能力が必要です。二十歳未満の未成年者はこの意思能力が不十分なため、遺産分割協議をすることができません。
相続人に未成年者いる場合に遺産分割協議を進めるためには、法定代理人である親権者の同意が必要です。
しかし、夫(父)・妻(母)・未成年の子どもの3人家族で夫が亡くなった場合、相続人は妻(母)と子どもとなります。この場合、同じ相続人の立場となるので妻は子どもの代理人となることができません。
このような場合は、家庭裁判所から特別代理人を選任してもらわなければなりません。

●相続人が認知症等で意思能力がない場合

相続人が認知症等で判断能力がない場合も未成年者同様に意思能力が不十分なので、遺産分割協議をすることができません。
この場合は、家庭裁判所に成年後見人(若しくは特別代理人)選任の申立てをする必要があります。
ただし、その相続を機に成年後見人が選任されると、遺産分割協議が終わった後も成年被後見人となった相続人が死亡するまで、成年後見人がその相続人の財産を管理していくことになります。

遺産分割協議書

相続人全員で話し合って、誰がどの財産をどれだけ取得するかが決まったら、その結果を書類にまとめる必要があります。この書類を遺産分割協議書といいます。

遺産分割協議書には、各相続人が署名捺印をする必要があります。 この捺印は実印でしなければならず、印鑑証明書とセットにしておきます。 遺産分割協議書が必要となる場面は、預貯金、有価証券、不動産などの名義変更の手続きの際です。相続税申告が必要な場合も、添付書面として遺産分割協議書が必要となります。

揉めないための相続対策の一つに、生前に遺言書を作る方法がありますが、何の対策もされないまま相続が起こってしまうと、遺産の名義を相続人にするためには遺産分割協議をするしかありません。
遺産分割協議は、円満にいくか揉めてしまうかで、その後の相続人の将来が大きく変わってしまうこともあります。
相続対策としての遺言も相続開始後の遺産分割協議は、どちらにしても法的判断や相続財産の評価など専門的な知識が幅広く必要になります。
なるべく早い段階で相続の専門家に相談することをお勧めします。

この記事の監修者
宮澤 博
宮澤 博
税理士・行政書士

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、 お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、 他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。

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