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遺言の種類

2021/10/22
遺言の種類

遺言には、主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つの種類があり、それぞれ特徴や作成方法が異なります。遺言の種類ごとに特徴をご紹介するとともに、死因贈与との違いについても解説しています。

遺言の種類は3つ

普通方式

① 自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、遺言者が本文を手書きで作成する遺言です。遺言者が1人で作成で き、費用もかかりません。また、意思能力があれば何度でも書き直しができるので、最も気軽に作成することができます。

ただし、自筆証書遺言にはさまざまな要件があり、例えば「代筆は認められない」や「修正は決まったやり方で行わなければならない」などの要件を全て満たしている必要があります。1つでも満たしていないと要件不備となり、せっかく作成した遺言が実行されない可能性もあるのです。

そのため自筆証書遺言は、費用はかからないが、安全性や確実性のない遺言方法なのです。

自筆証書遺言を作成する際は専門家へ相談し、要件を備えた遺言を作成しましょう。

 

自筆証書遺言について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

自筆証書遺言の作成方法

 

●自筆証書遺言保管制度について

遺言者が作成した自筆証書遺言を法務局で保管できる制度です。
これまで自筆証書遺言は遺言者の判断で保管しなければならなかったため、相続人に発見されなかったり、一部の相続人に改ざんされる恐れがありました。
しかし、「自筆証書遺言の法務局保管制度」を利用することで、自筆証書遺言のメリットは損なわずに、遺言者が望む遺産分割を実現できる可能性が高まりました。
2020年7月10日から始まった制度ですが、利用される方は着々と増えているようです。

 

 

自筆証書遺言保管制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

② 公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証人が作成する、法的に有効な内容と証明された遺言です。

公正証書遺言は、遺言作成当日に証人二人と共に公証役場で公証人の面前で作成します。遺言の内容はあらかじめ公証人と打ち合わせをし、当日は遺言の内容をチェックするだけの流れになります。
遺言作成に関与する公証人は、法務大臣より任命された法律の専門家ですので、要件不備により無効となることがほとんどありません。最も安全で確実な遺言方法としての最大のメリットであり、多くの方に利用されています。
また、作成した遺言の原本は公証役場に保管され、全国の公証役場で亡くなった方の公正証書遺言があるかを調べることができます。

公正証書遺言とは公証役場で作成する遺言方法です。

 

公正証書遺言について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

公正証書遺言の作成方法

 

③ 秘密証書遺言とは

秘密証書遺言とは、遺言内容を誰にも知られず、遺言の存在だけを公証役場で証明してもらう遺言方法です。

 

公正証書遺言では交渉人と2人の証人に遺言の内容がバレてしまう、自筆証書遺言では遺言が本物である証明が難しいというデメリットをカバーすることができます。

 

しかし、自筆証書遺言と同様、作成や保管自体は個人で行わなければなりませんので、不備があると当然無効となってしまいますし、保管に問題があると紛失や改ざんのリスクもあります。

 

さらに、公証役場での証明にも費用がかかりますので、公正証書遺言と比べるとあまりお勧めのできない遺言方法です。「どうしても遺言の内容を知られたくない」という方のみ、利用することをお勧めします。

 

秘密証書遺言について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

秘密証書遺言の作成方法

 

特別方式

自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のほかにも、「特別方式」で作成する遺言があります。
これは、命の危機が迫っている場合など、普通の方法で遺言を作成できない場合に利用できる遺言方法です。
特別方式の中でも「危急時遺言」と「隔絶地遺言」の2種類に分けられ、それぞれ遺言者の状況によって利用するべき方法が異なります。万が一の時に備え、特別方式の遺言についても知っておくと良いでしょう。

遺言と死因贈与の違い

遺言は遺言者が亡くなってからその効力が発生しますが、似ているものに「死因贈与」があります。
遺言と死因贈与にはそれぞれどのような特徴があるのでしょうか?

① 遺言

遺言は、専門的にいうと「1個の意思表示によって成立する法律行為(単独行為)」です。
遺言者が1人で行うことができる法律行為ですので、財産を承継させたい相手の承諾は必要ありません。

 

② 死因贈与

死因贈与は、売買契約と同じ「契約」という法律行為の一つです。遺言と違い、2つ以上の意思表示が合致することで成立する法律行為(双方行為)です。
例えば、財産を持っている人(贈与者)が「私が死んだら100万円をあげるよ。」と相手に意思表示をして、相手(受贈者)がそれを承諾すると死因贈与契約が成立したことになります。
相手がいなければ成立しない法律行為ですので、遺言のように一方的な撤回はできず、撤回する場合には当事者の合意が必要となります。

 

この記事の監修者
角張 純
角張 純
税理士・行政書士

税理士法人共同会計社 社員税理士 上越事務所所長
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士 上越事務所所長

長野県出身。個人のお客様の税務申告から法人のお客様の税務申告さらに税務調査立ち合いまで、「税務判断」を行う日々を送り、税務リスクからお客様を守ることが使命と考えています。経験も豊富で、千差万別の皆様のお悩みを解決するために親身に相談に乗っています。長野市内公民館の相続関連の講座や事業者向けの相続税対策セミナーの講師としても活躍中で、分かりやすいお話が好評を得ています。

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