相続手続きで使用する「相続同意書」とは?
相続した預貯金を払い戻す場合など、特定の相続手続きを行う場合には、「相続同意書」という書面が必要になることがあります。
相続同意書とは、誰がどの財産を相続するかという遺産分割に、相続人全員が同意していることを示す書面のことをいいます。
相続の知識を持っている方であれば、「遺産分割協議書と同じ役割なのではないか?」と思うかもしれませんが、実は相続同意書と遺産分割協議書には使用方法に違いがあるのです。
今回は、相続同意書を使用する場面や記入例などについて、詳しくご説明していきます。
相続同意書が必要な手続き
全ての手続きに相続同意書が必要になるわけではありません。相続同意書が必要な手続きには、以下の3つがあります。
【相続同意書が必要な3つの手続き】
①預貯金の払い戻し
②事業における許認可の承継
③自動車や船舶の名義変更
例えば、預金口座を持っている人が亡くなると、その口座はいったん凍結され、払い戻しができない状態になります。
預金口座を相続した人が払い戻しを受けるためには、凍結された口座の解約や名義変更などの手続きが必要になるのです。
しかし、解約や名義変更の手続きを相続人1人だけで行うことができるとなると、勝手に手続きを進めて遺産を横取りする人が出てくる可能性があります。
そのようなことを防いで適正な手続きを進めるためには、相続同意書を提出して、相続人全員の合意が取れていることを確認する必要があるのです。
また、「事業における許認可」には、食品営業許可や種類販売許可、クリーニング業など様々なものがあります。
許可の必要な事業を相続によって承継する場合は、相続同意書と遺産分割協議書のどちらも提出する必要がありますので、滞りなく事業を承継したい場合は、なるべく早めに遺産分割協議を済ませ、相続同意書を準備しておくと良いでしょう。
しかし、以下のようなケースでは相続同意書は不要です。
・相続人が1人の場合
・遺言によって指定されている
・遺産分割協議書を作成した
正式な遺産分割協議書を作成したら、遺産分割協議書を使って相続手続きができます。
相続同意書を作成する必要はありません。
遺産分割協議書と相続同意書の違い
遺産分割協議書と相続同意書には、「相続人全員の同意がある」という点で似ている役割を持っています。
しかし、これらの書類は使用される場面に違いがあります。
まずは、遺産分割協議書と相続同意書が、それぞれどのような書面なのかを確認しておきましょう。
遺産分割協議書とは、相続人同士で「誰が、何を、どのくらい相続するか」について決めた結果をまとめて記した書面です。
特に、遺産の名義変更や相続税申告などで使用され、相続手続きの中でも重要な書面の1つとなっています。
遺産分割協議書には、遺産分割に同意していることの証として、相続人全員が署名押印をしなければなりません。
一方で、相続同意書とは、特定の相続人が特定の遺産を相続することについて、相続人全員が同意していることを示す書面です。
遺産分割協議書と違って、遺産全体ではなく「特定の遺産」について記されています。
遺産分割協議書よりも作成が簡単なため、一部の遺産を早く分割したい場合に、相続同意書を活用することができます。
相続同意書の記入例は以下のとおりです。
先ほどもご説明したとおり、相続同意書は預貯金の払い戻しや自動車の名義変更などで必要になります。
ただし、不動産の名義変更は遺産分割協議書でなければ手続きできませんのでご注意ください。
相続同意書は比較的簡単に作成することができますが、遺産分割協議書の作成には時間がかかることがあります。
相続の知識を持っていなければ難しいケースもありますので、相続専門の税理士への相談をご検討ください。
まずは、ソレイユ相続相談室の「無料相談」をご利用になることをお勧めします。