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遺言の有無の確認

2021/10/13
遺言の有無の確認

初めて相続を経験する方は、何から始めたらよいかお困りの方が非常に多いです。

「相続手続きの流れ」で見てきたように、遺産相続手続きを始めるにあたり、まずは遺言があるのかないのかを確認する必要があります。

ここでは、何故最初に遺言の有無を確認する必要があるのか、遺言があった場合の対応などについて解説しています。

相続手続きの第一歩は「遺言書の有無」を確認すること

「故人が亡くなったばかりで遺言を探し回るのは卑しい気がする・・・」と考える方もいらっしゃいますが、いずれは必ず故人の遺産を分けなければなりません。
この遺産を分ける場面では、法律(民法902条)によって故人の意思が最も優先されています。その「故人の意思」が遺言となるため、まずは遺言があるのかないのかを確認する必要があります。遺言の有無によって、その後の手続きが全く変わってきます。
時には、相続発生後に遺言が見つからず相続人間で遺産分割協議をして遺産の名義変更を終え、数年経過してから遺言書が見つかった場合は遺産の分配をやり直すにも大変面倒なことになります。 では、遺言があるのかないのか、どのように確認すればよいか、遺言の探し方を解説していきます。

公正証書遺言の場合
 

公正証書遺言の場合

公正証書遺言は、全国の公証役場に遺言書が保管されているので、最寄りの公証役場へ必要書類を持参すれば「遺言書検索システム」を利用してデータベースを検索してくれるため、遺言の有無と遺言がどこの公証役場に保管されているのか確認できます。また、保管されている公証役場において、公正証書遺言の謄本・正本も合わせて請求することが可能です。

ただし、公証役場へ行けば誰でも調べられるというわけではありません。検索依頼できる人は、遺言者が生存中の場合は遺言者本人のみです。
遺言者が死亡した場合には、相続人や受遺者、遺言執行者などの利害関係人が請求することができます。その際、以下の書類が必要です。

①遺言者が死亡したことを証明する書類

例 除籍謄本・死亡診断書等

②利害関係を証明する書類

例 戸籍謄本等(請求人が遺言者の相続人であることを確認するため上記の除籍謄本に請求人の名前が載っている場合は不要)

③請求人の身分を証明する書類

例 請求人の印鑑証明書(※)実印、運転免許証等の顔写真付き身分証明書と認印等
※3ヶ月以内のもの
また、上記の請求は代理人によっても可能です。代理人による請求の場合は①~③に加え、以下の書類が必要です。

④相続人の印鑑証明書 ⑤相続人から代理人への委任状

委任上には相続人の実印を押印します。④の印鑑証明書とセットとなりますので、相続人の実印を持参する必要はありません。

⑥代理人の本人確認書類

例 運転免許証等の身分証明書

自筆証書遺言の探し方
 

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、通常は遺言を書いた方が自分で保管しています。前述のように公証役場で保管されるものではないため、相続人等が自力で遺言がありそうな場所を探してくことになります。

考えられる可能性としては、自宅ですと金庫や鍵付きの引き出し、仏壇の引き出しなどがあります。遺言者が相続人、付き合いのあった友人や知人に直接預けている場合もあります。なかなか見つからない場合は、思い当たる知人や親族への確認を繰り返しながら探していくことになります。
また、銀行の貸金庫に預けてあった場合は、金融機関にもよりますが開扉できるまでに1ヶ月ほどの日数(場合によってはそれ以上)がかかってします。貸金庫に遺言が保管されている可能性があったり、遺言がなかなか見つからない場合は、相続手続きの進め方について専門家に相談することをお勧めします。

遺言があった場合の対応

遺言書を探した結果、見つかった後はどうするのか?
これも、公正証書遺言と自筆証書遺言で対応が変わってきます。

公正証書遺言の場合

公正証書遺言の内容を確認して、遺言執行者が指定されているかどうかで手続きの進め方が変わってきます。
・遺言執行者が指定されている場合
遺言執行者が遺言の内容に沿って相続手続きを進めてきます。遺言に、遺言執行者が第三者に依頼できる旨記載されていれば、相続の専門家に依頼することもできます。
・遺言執行者が指定されていない場合
手続きを進めるために相続人代表者を決めて、その人が手続きを進めてきます。また、相続人代表が、遺言の内容に沿った手続きを進めてもらうために相続の専門家に依頼することもできます。

自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言を見つけた場合は、公正証書遺言の場合と違い、家庭裁判所に「検認」の手続きを行わなければなりません。
検認は、遺言書を家庭裁判所に提出して、内容が偽造や改ざんされることを防止するための手続きです。特に、開封されていない(封印がある)遺言書の場合は、家庭裁判所で開封をしなければならないと、法律により決められています。万が一、検認の手続きをしなかったり、開封してしまうと5万円以下の過料が科される可能性もあるため、注意が必要です。

この検認手続きをせず、家庭裁判所外で開封してしまった場合も遺言自体が無効になるわけではありませんが、「勝手に開けて中身を書き換えたのでは?」などと疑われたり、思わぬ争いの原因になってしまう可能性もあるので、法律に則って手続きすることをお勧めします。

また、平成30年の民法改正で、自筆証書遺言を遺言保管所(法務局)へ保管できるようになりました。この制度は、令和2年7月10日からの施行されております。

遺言者がこの制度を利用していた場合は、遺言者が亡くなった後に、特定の相続人等の関係者に通知が行く場合と、相続人等が遺言保管所に遺言書保管事実証明書や遺言書情報証明書の交付請求をすることになります。

➡遺言がなかった場合は遺産分割協議となります。

この記事の監修者
宮澤 博
宮澤 博
税理士・行政書士

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、 お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、 他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。

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