遺言作成時の財産調査について
遺言には、自分の財産を誰に相続させたいかについて書きます。
そのためには、どの財産を、誰に、どのように残すかを明確にしておく必要があり、遺言を書く前に「どこに」「何が」「どれくらい」あるのか、財産の内容を調べて把握しておく必要があります。
財産調査を怠ると…
財産調査をせずに遺言を作成してしまうと、記載漏れが起きる可能性があり、記載のない財産については遺産分割協議が必要になります。
この協議は相続トラブルの原因になりやすく、できる限り避けたい手続きです。
残された家族が争わないために、遺言作成前の財産調査は非常に重要です。
財産調査の方法と注意点
財産は多岐にわたり、見落としがちな資産もあります。以下の4つの視点から整理しましょう。
① 不動産の調査
土地や建物を所有している場合は、以下を確認しましょう
- 所在地・面積
- 路線価・固定資産税評価額
- 抵当権・借地権・地上権などの有無
- 現況(空き家、山林、古屋など)
不動産は相続財産の中でも価値が大きく、また**負の財産(固定資産税だけがかかる「負動産」)**となるケースもあります。
評価や処分方針については、税理士や不動産の専門家への相談をおすすめします。
② 預貯金の調査
預貯金の調査では、以下をリストアップします
- 金融機関名・支店名・口座番号
- 残高
- 名義預金の有無(家族名義でも実質は本人の財産)
遺言にはできれば具体的に記載できるよう、通帳のコピーをとっておくなどの整理が有効です。
特に「名義預金」は、相続税の申告でも問題になるため、注意が必要です。
③ 動産(自動車・骨董品など)
自動車、家具、貴金属、骨董品、絵画なども相続財産に該当します。
事業を行っている方であれば、事業用資産(製造機械・事務所備品など)も対象です。
これらの財産は、次のような観点で記録しておきましょう
- 種類・保管場所・価値の目安
- 誰に譲りたいかの希望
- 価値が不明なものは専門家に鑑定依頼も検討
実務では「誰に使ってほしいか」「誰が喜ぶか」という気持ちの面も重要です。
たとえば「長男に事業用トラックを」「美術好きの次男に骨董品を」といった考え方も大切です。
④ 生命保険の調査
生命保険契約は一見相続財産ではありませんが、相続税の対象になりうる「みなし相続財産」に該当します。
以下を確認しておきましょう。
- 保険会社・保険種類
- 契約者・被保険者・受取人
- 保険金額・満期日など
💡 注意
遺言で生命保険金の「受取人を変更できる」と誤解されがちですが、受取人変更は保険会社所定の手続きによってのみ可能です。
遺言で「この人に受け取ってほしい」と記載するだけでは法的効力はないため、契約者本人が保険会社に申し出る必要があります。
財産調査は「争族防止」+「節税対策」の第一歩
遺言作成時の財産調査は、
- 相続トラブル(争族)防止
- 節税対策
- 遺言執行時のスムーズな進行
すべてにとって重要なステップです。
遺言を公正証書にする場合も、財産目録をきちんと整えておくことで、内容が明確で信頼性の高い遺言になります。
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ソレイユ相続相談室では、以下のサービスをご提供しております。
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