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株式など有価証券の評価方法

2023/09/29
株式など有価証券の評価方法
亡くなった人の株式など有価証券を持っている場合、正しく相続税を計算するために評価額を求める必要があります。有価証券の評価方法は種類ごとに異なりますので、この記事では株式など有価証券の評価方法について詳しく解説します。

亡くなった人の遺産を調査したところ、有価証券が見つかることがあります。

有価証券には、株式の他にも公社債、投資信託なども含まれています。

生前に計画的の投資をしていた人には多くの有価証券が残っていることがあります。

しかし、有価証券は金銭的な価値はありますが、はっきりとした金額は分かりません。

これでは正確な相続税を計算することが難しくなってしまいます。

そこで、遺産の有価証券は「相続税評価」を行い、そこで出た評価をもとに相続税を計算することになります。

今回は、相続税を正しく計算するために、株式などの有価証券の評価方法を詳しくご説明していきます。

 


■株式の評価方法

株式には、「上場株式」「非上場株式」の2種類があります。

上場株式とは、金融商品取引所に上場されている株式のことです。

一方で、非上場株式とは株式を公開していない(=金融商品取引所で購入できない)株式のことをいいます。

日本の約230万以上ある株式会社の中で、上場会社はおよそ3,800社ほどしかなく、株式会社の約85%が非上場会社となっています。(2021年)

 

1、上場株式の評価方法 

上場株式の評価方法は、1株の株価×持っている株数で計算することができます。

例えば、A企業の株式を100株、B企業の株式を200株持っているとします。

A企業の株価が10万円、B企業の株価が8万円だとすると、評価額はそれぞれ以下のようになります。

A企業:10万円×100株=1,000万円

B企業:8万円×200株=1,600万円

上場株式は、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する

相続開始日(被相続人の死亡日)の最終価格(終値)基に相続税評価額を算定します。

では、金融商品取引所で取引が行われない土曜・日曜・祝日・年末年始に亡くなった場合はどうするのでしょうか?

このような場合は、その日の最終価格はありませんので、相続開始日に最も近い日の最終価格を使って評価することになります。

また、相続開始日が3連休などの真ん中で、最も近い日が2日ある場合には「前後の取引日の終値の平均」で評価をします。

ただし、株価は日々変動しており時にはその変動が大きくなることもあるため「その日の終値」だけで評価をするとなると、日によって価格に差が出ることになり公平とは言えません。

そこで、上場株式の相続評価には、

以下の4つのうち最も低い株価を使っても良いことになっています。

①被相続人の死亡日の最終価格(終値)

②被相続人の死亡月の毎日の最終価格(終値)の平均額

③被相続人の死亡月の前月の毎日の最終価格(終値)の平均額

④被相続人の死亡月の前々月の毎日の最終価格(終値)の平均額

例えば、A企業の株価が①15万円、②10万円、③7万円、④5万円だとすると、

死亡した日の株価が15万円だったとしても、最も低い5万円を評価額の計算に使用することができるのです。

最終価格がない場合は、亡くなった日から最も近い日の最終価格を使用することになります。

 

2、非上場株式の評価方法 

非上場株式には株式相場がありません。

遺産の中に非上場株式がある場合は、主に原則的評価方式配当還元方式によって評価を行うことになります。

 まず、原則的評価方式では大会社小会社あるいは中会社によって評価方法が異なります。

 

大会社の場合は、

その会社と似たような事業を行なっている会社の株価をもとに、評価する会社の一株あたりの「配当金額」「利益金額」「純資産価額」の3つで評価を行います。

また、小会社の場合は

会社の総資産や負債を相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税等相当額を差し引いた残りの金額による評価を行います。

 

中会社の場合は、

大会社と小会社の評価方法を併用して評価をします。

一方で、配当還元方式では、

その株式を所有することによって受け取る1年間の配当金額を、10%で還元して元本である株式の価額を評価します。

この配当還元方式は、同族株主以外の株主が株式を取得した場合にのみ利用される評価方法です。

  

■公社債の評価方法 

公社債とは、国や地方自治体、会社が資金を調達するために、投資家に売る有価証券のことです。銘柄ごとに券面額100円あたりの単位で評価することになっています。 

公社債には「個人向け国債」「利付公社債」「割引発行公社債」などさまざまな種類があり、その種類ごとに評価方法が異なります。

例えば、個人向け国債は、個人で買うことができる国の債権です。

少ない金額で投資をすることができるため、資産運用に活用する投資家は少なくありません。

被相続人が個人向け国債を持っている場合は、

亡くなった日(相続発生日)に換金したとしたらいくらになるのかで評価を行います。

もし、亡くなった日は150万円だった国債が、その後100万円まで下がっていたとしても、相続税評価額は150万円となります。

 

■投資信託の評価方法

 投資信託とは、投資家たちから集めたお金を1つにまとめて、資金運用の専門家が株式や債券などに投資する商品のことをいいます。

投資信託にも日々決算型」、「上場投資信託」、「非上場投資信託の3種類があり、

それぞれ評価方法が異なります。

例えば、日々決算型の投資信託には、主に中期国債ファンドやMMFなどがあり、日々の決算で生じた収益が全額分配されるのが特徴の投資信託です。

被相続人に日々決算型の投資信託がある場合は、亡くなった日(相続発生日)に解約していたとしたらいくらになるのかをもとに評価を行います。

また、日々決算型で受け取った分配金は、同じ商品に投資されることになります(再投資)。

そのため、再投資されていない未収分配金がある場合は、その額を評価額に加える必要があります。 

日々決算型の相続税評価額は以下の式で計算されます。 

日々決算型の相続税評価額=

{亡くなった日の一口あたりの基準価額 × 口数}+ 

再投資されていない未収分配金(源泉徴収税控除後) −  

信託財産留保額および解約手数料(消費税含む)

 

信託財産留保額とは、投資信託を途中で解約する場合に、解約手数料とは別でかかる費用のことです。

遺産の中でも、特に有価証券にはさまざまな種類があるため、正確な評価額を出そうとすると時間と労力がかかってしまいます。

スムーズな相続税申告を実現するためには、相続の専門家である「税理士」に相談することをお勧めいたします。

 

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