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叔母との同居のために家族信託を利用

2023/09/29
叔母との同居のために家族信託を利用
高齢になった叔母を引き取って、住居や生活の面倒を見ることになった場合に、贈与税がかからないように生涯面倒を見られるようにする方法

【Aさんの事例】

Aさんはご主人を亡くして、1人で自宅に暮らしています。

Aさんには別居未婚の叔母さんBさんがいて、このほどAさんと同居して老後を二人で暮らすことにしました。
年金暮らしのBさんにとっては、家賃もかからなくなるし、水道光熱費もからなくなるので助かります。
Aさんも1人で暮らすより安心です。
ただ、Aさんは自分が認知症になって成年後見制度を利用する事になった場合にBさんがこのまま家で暮らしていける心配ですし、Bさんの住居の面倒を無償でみてあげるのは税務署に贈与だと言われるのではないかと心配です。
そこで、Aさんは家族信託を利用してはどうかと考えました。

 

【Aさんの設計した家族信託】

信託財産……………Aさんが所有する居住用の土地建物とAさんの預金
信託の目的…………自宅の維持管理(売却含む)とAさんの老後の生活の安定
委託者………………Aさん
受託者………………Aさんの長男
受益者………………Aさん
残余財産の帰属……Aさんの長男
 
ただし、信託契約と同時にBさんとAさんとAさんの長男で、Bさんが亡くなるまで無償で当該住居に居住できる使用貸借契約書を締結する。
 


【Aさんが同居の叔母さんとの生活に家族信託を活用するねらい】

1人暮らしのAさんが叔母さんと二人で暮らすことで、Aさんにとっても叔母さんにとってもメリットがあります。

ただ財産権としての自宅不動産はあくまでも長男に相続させたいし、Aさんもメリットを感じて無償で同居させてあげる叔母さんは、叔母さんがAさんの自宅に住める間は住まわせてあげたいという想いがあります。
これを家族信託に表したいと考えています。


■扶養親族についての法律

このケースで家族信託をする場合に、受益者を二人あるいは連続させて、Aさんと叔母さんを信託契約に登場させることも可能です。

この場合に、叔母さんの権利が信託契約上の権利として確立すると、税法上は叔母さんに贈与税(Aさん生前の受益権契約の場合)か相続税(Aさんが亡くなってから叔母さんに受益権が移転した場合)が課税される可能性があります。
 
信託契約に叔母さんを受益者として明示せずに、同居の叔母さんが生涯無償で居住できる方法としては、使用貸借契約の締結か扶養義務者相互の贈与税の無税の規程を使う方法があります。


民法上の扶養の規程より、税法上の扶養の規程の方が範囲を広く取れます。(下記の条文参照)
家族信託と使用貸借契約と贈与税の扶養義務者の非課税の両方を活用しながら、Aさんの希望を叶えるようにするのが
安全です。
税法の規程では、元々扶養家族については、扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるものは非課税とされる明文規定があります。
従って、扶養家族に対する生活費については贈与があっても課税対象とされないのです。
叔母さんは三親等以内の親族にあたるので、家庭裁判所の審判が無くとも、税法上の扶養家族の定義に当てはまれば、叔母さんの生活費をAさんが負担しても贈与課税は起きない事となります。
1.民法上の扶養義務者(扶養の順位)

第878条
​扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする。


2.税法上の扶養親族の対象となる人の範囲

扶養親族とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件の全てに当てはまる人です。
(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童
(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
 
「扶養義務者」の意義

相続税法(昭和25年法律第73号。以下「法」という。)第1条の2第1号に規定する「扶養義務者」とは、配偶者並びに民法(明治29年法律第89号)第877条((扶養義務者))の規定による直系血族及び兄弟姉妹並びに家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族をいうのであるが、これらの者のほか三親等内の親族で生計を一にする者については、家庭裁判所の審判がない場合であってもこれに該当するものとして取り扱うものとする。

なお、上記扶養義務者に該当するかどうかの判定は、相続税にあっては相続開始の時、贈与税にあっては贈与の時の状況によることに留意する。(平15課資2-1追加、平17課資2-4改正)
 
 
贈与税の非課税
第21条の3 次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
②扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの

 

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