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相続税の「臨宅調査」はどう対処する? 調査内容や指摘理由を解説

2023/09/29
相続税の「臨宅調査」はどう対処する? 調査内容や指摘理由を解説
相続税の申告後には、「税務調査 」と呼ばれるものが実施されることがあり、税務署の調査職員が自宅に訪問し、申告された内容について調査を求める場合があります。この調査を「臨宅調査」と言います。今回の記事では臨宅調査の調査内容や指摘理由、対処法に関して詳しく解説を行います。

令和3年に東京国税庁が発表した相続税の申告状況を見てみると、令和2年における被相続人数は対前年比100.3%で伸びており、相続税申告書の提出を行った相続人数も前年比105.8%に及んでいることがわかりました。高齢化社会の日本において被相続人の人数は全国的に上昇傾向にあり、連動するように相続人による相続税申告率も上昇しています。誰もが相続税申告に臨む可能性があり、相続税知識を身に付けるべき時代が到来しています。

相続税の申告後には、「税務調査 」と呼ばれるものが実施されることがあります。税務調査にはいくつかの種類がありますが、税務署の調査職員が自宅に訪問し、申告された内容について調査を求める場合があります。この調査を「臨宅調査」と言います。今回の記事では臨宅調査の調査内容や指摘理由、対処法に関して詳しく解説を行います。

参考記事は→コチラ 東京国税庁 報道発表資料 令和2年分相続税の申告実績の概要 PDF

 

相続税における税務調査とは?

相続税の申告が必要になると、相続開始の日から10か月以内に申告を行う必要が生じます。10か月の間に正しい相続税計算を終える必要があるのです。現在相続税の申告は被相続人ベースで見るとおおよそ10人に1人は必要と考えられています。相続開始後は、必要書類や相続財産の確定、必要に応じて遺産分割協議を経た後に申告・納税に臨む必要があります。では、税務調査とは一体どのようなものでしょうか。税務調査とは、相続税の申告に誤りがある場合や、虚偽・隠蔽が疑われる場合に行われる調査全般を指します。税務調査には以下3つの種類があります。

簡易的な接触

ひょっとしてミスがあるのでは、と税務署が気になる点を見つけた場合には、電話などで相続人に連絡をし、計算ミスや気になるポイントなどを指摘します。簡易的な調査であるため、通称「簡易的な接触」と呼ばれています。このケースはすぐに対応すれば問題ありません。控除の計算額ミスなど、簡単な修正で終わるケースが多くなっています。税務署が突然電話をしてきても、質問されている内容をしっかりと聞き取り対応すれば大事にはなりません。来所を依頼され、その場で修正するだけでOKの場合もあります。

机上調査

相続税申告書の中身を詳しく精査しながら不審な点が無いか、あぶり出す調査のことを「机上調査」と言います。税務署側は独自のルートで預貯金や資産状況などを把握していき、虚偽の申告は無かったか、過去の贈与は無かったかなど洗い出していきます。

実地調査

実地調査は今回解説する「臨宅調査」のことを指します。相続人の自宅を訪問して、詳しく相続税申告の内容を把握したい場合や、骨とう品などの保管状況を確認したいケースなどで行われます。上記の2つの調査よりも一歩踏み込んだ内容ですが、体裁上は「任意の調査」として実施されます。臨宅調査は資産家や会社経営者のような富裕層が受けるイメージがあるかもしれませんが、相続財産数が多くなくても虚偽申告が疑われるケースも対象となります。過去の贈与が相続税申告に反映されていない、などお金の動きに疑問があるケースでも調査に発展する場合があります。申告時から、「我が家は申告額が少ないし大丈夫だろう」と思わないことが大切です。

臨宅調査の対象になる理由とは?拒否はできる?

相続税申告はポピュラーな手続きの1つであり、すべての申告に対して税務調査が実施されるわけではありません。調査担当者が自宅にまで訪問をする臨宅調査は、税務調査の中でもできれば避けたい調査と言っても過言ではないでしょう。では、臨宅調査の対象となる相続税申告とはいったいどんなものでしょうか。その理由は以下の3つが考えられます。

被相続人の相続財産の種類が多く、隠し財産が疑われるケース

被相続人の遺した財産がすべて、把握しやすく価値がわかりやすい現金や預貯金、有価証券などなら相続税申告もわかりやすくミスは少ないものです。しかし、骨とうや絵画など高額かつ市場価値がわかりにくい趣味に時間とお金をつぎ込んでいた場合、保管状況の確認や被相続人の生前の財産保管状況などをヒアリングするために、臨宅調査に及ぶ場合があります。隠しているその他の財産はないか、被相続人の自宅内部を確認するために訪問したいのです。

海外取引や海外資産が多いケース

被相続人が所有していた財産に海外取引から得たものや海外資産が多かったケースの場合、申告漏れやミスを疑い、臨宅調査に及ぶ場合があります。海外駐在経験があった被相続人の財産調査は丁寧に行う必要があり、漏れが起こりやすいためです。

提出書類に不備が多く、疑わしいケース

相続税申告書の内容に明らかに違和感があり、申告に虚偽が疑われる場合も臨宅調査が行われやすくなります。この場合は相続人と対面し、雑談を行いながら虚偽の有無を探ることが一般的です。現在の住まいや人となりを観察しながら、調査を進めます。書類に不備が多いと税務調査を受けやすくなるので、注意が必要です。

今後予想されるケース

今後相続税申告の中では、「ビットコイン」をはじめとした暗号資産の申告も注目が深まる可能性があります。2021年10月3日付けの日本経済新聞によると、仮想通貨の取引により一斉税務調査が行われています。今後、相続税に関しても暗号資産分野について税務署は監視を強めると思われます。暗号資産の取引は家族が取引そのものを知らないケースも多く、いつの間にか大きな資産に育っている可能性もあります。暗号資産の相続税申告についても慎重に行わなければ臨宅調査を受ける可能性があります。

参考記事は→コチラ 日本経済新聞 20201年10月3日 「仮想通貨で一斉税務調査 14億円申告漏れ、グレー節税も」

税務調査は拒否できる?

臨宅調査を始めとする税務調査は、相続税申告後1~2年後に行われることが多いとされています。つまり、税務調査全般は慎重に調査が事前に行われており、その結果税務調査が必要と判断されています。多数の相続税申告の中から、無作為に調査を行っているものではありません。税のプロが違和感を見つけた上で、税務調査に踏み込んでいます。

税務調査自体は強制調査ではありません。あくまでも任意として行われます。事前に電話があり、訪問をして調査をしたいという申し出を税務署側から受けます。しかし、任意とはいっても事実上拒むことは難しいでしょう。疑いがあって調査をしているため、拒むことによってさらに疑いが深まってしまう可能性があります。但し、調査日程に関しては税務署側も柔軟に対応しています。

臨宅調査とはどこに訪問されるのか?

臨宅調査は基本的に被相続人が住んでいた住まいで行われることが多いですが、相続税申告後に処分をしている場合には相続人宅が指定されるでしょう。財産数が多かった場合には被相続人の生前の趣味、財産を保管していた場所などを確認し、申告漏れや虚偽が無いか調べるために被相続人の住まいを確認します。調査は基本的に1日で終わりますが、複数回行われるケースもあります。質問を受ける必要があるため、相続人は基本的に全員で立ち会うようにしましょう。

追徴課税される可能性は高い?

臨宅調査に至った場合、追徴課税される可能性は高いのでしょうか。令和2事務年度の国税庁による「相続税の調査等の状況」を引用します。相続税の実地調査実績は新型コロナウィルスの影響で減少したものの、悪質と思われる対象申告について調査を重ね、実地調査1件当たりの追徴税額は過去10年の中で最高に達しています。1件当たり943万と非常に高額の追徴課税です。調査が行われたら、高確率で追徴課税されると知っておきましょう。

参考記事は→コチラ 令和3年12月 国税庁 令和2事務年度における相続税の調査等の状況 PDF

まとめ

この記事では相続税申告後に行われることがある、「臨宅調査」について詳しく解説しました。臨宅調査は不備や虚偽が疑われているからこそ、行われているものです。正しい相続税申告を行うことで疑いをかけられる恐れはなくなり、追徴課税を受けることもありません。
ミスの発生を防ぎ、正しい相続税申告を行うことが必要です。

海外資産や過去の贈与をどう相続税申告に反映させるか迷う、申告自体に不安がある場合など、相続税申告関するお悩みは気軽にソレイユ相続相談室にご相談ください。

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