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知って得する!法定相続情報証明制度を利用して相続手続きを簡単に

2023/09/29
知って得する!法定相続情報証明制度を利用して相続手続きを簡単に
「法定相続情報証明制度」というものをご存知ですか?漢字が多くて、なんだか難しい制度のように思われますが、この制度は簡単にいうと、相続手続きに必要な戸籍謄本をたった1枚で済ませることができるものなのです。法定相続情報証明制度を利用すると、相続手続きの手間をグッと減らすことができます。
今回は、法定相続情報証明制度の内容や、利用方法について詳しく解説していきます。
この制度をうまく活用して、スムーズな相続を実現しましょう。

戸籍謄本がひとつに?法定相続情報証明制度ってなに?

 

相続手続きには、亡くなった人の相続財産や法定相続人の調査、遺産分割協議、相続税の申告・納税や相続財産の名義変更などがあります。これらの手続きを行う際には、亡くなった人や相続人等に関する様々な書類が必要になるのですが、その中で最も収集の大変な書類が「戸籍謄本」です。
 

戸籍謄本とは、その戸籍にいる人の結婚や離婚などの身分関係について記している公文書のことです。戸籍謄本は本籍地の市町村役場でのみ取得できるものでしたが、最近では郵送での取得やコンビニ交付などもあり、本籍地へ行かずに戸籍謄本を取得することもできるようになりました。しかし、取得するべき戸籍謄本が多い場合には、郵送やコンビニ交付でも手間になってしまうことがあります。
 

例えば、亡くなった人の法定相続人の調査や、相続財産の名義変更を行う際には、亡くなった人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本を収集しなければなりません。亡くなった人が転籍をしていなければ簡単に収集できますが、結婚や離婚、引っ越しなどで転籍を繰り返していた場合には、収集するべき戸籍謄本が多くなってしまいます。
 

1つの相続手続きが終わると、提出した戸籍謄本は返却されるため、1束の戸籍謄本だけで手続きを進めることもできますが、それでは手続きに遅れが出てしまうこともあります。お金がかかっても、あらかじめ必要な分の戸籍謄本を取得しておいて、同時に手続きを進める方がスムーズです。しかし、戸籍謄本の取得は無料ではありません。市町村によって異なりますが、戸籍謄本1通あたり450円の手数料が発生します。手続きごとに取得するとなると、1〜2万円ほどの費用がかかってしまうこともあるのです。

そこで、相続人の手間と費用を減らすべく、2017年5月29日にスタートしたのが「法定相続情報証明制度」です。

 

法定相続情報証明制度とは

 

この制度は、亡くなった人と相続人の関係を法務局で証明してもらい、1枚の書面にして交付してもらうことができるものです。この書面を「法定相続情報一覧図の写し」といいます。
 

法定相続情報一覧図の写しには、亡くなった人とその相続人の関係を家系図のように一覧で記載されます。その一枚で亡くなった人の法定相続人が誰なのかを証明できるため、戸籍謄本の代わりに利用が可能な書面なのです。
 

法定相続情報一覧図の写しには、見本のように以下の情報が記載されます。

・亡くなった人の氏名、生年月日、死亡した年月日、最後の本籍・住所
・法定相続人の氏名、生年月日、現住所、続柄

法定相続情報一覧図の写しを作成するためには、法務局に亡くなった人と相続人の戸籍謄本を提出する必要があります。しかし、従来のように名義変更の手続きや相続税申告の度に戸籍謄本の束を提出する必要がなくなるため、手続きの手間を減らすことができます。
 

また、この制度は基本的に無料で利用することができますので、必要な分の戸籍謄本を収集するよりも費用を抑えることができます。法定相続情報一覧図は作成から5年間は登記所に保管されるため、その間であればいつでも無料で再交付を受けることが可能です。
なお、郵送の場合には別途送料が発生しますのでご注意ください。

 

【実例】法定相続情報証明制度を利用する手順

法定相続情報証明制度を利用するための手続きは、以下の通りです。

STEP① 必要書類の収集
STEP② 法定相続情報一覧図の作成
STEP③ 登記所へ申出
STEP④ 法定相続情報一覧図の写しの交付

ここでは、実際に法定相続情報証明制度を利用して相続手続きを進めたCさんを例に、具体的な手順をご説明します。

先日90歳を迎えた父が亡くなり、Cさんは家族で父の遺品整理を行っています。Cさんには75歳の姉と70歳の兄がおり、父が亡くなるまでは兄と兄の嫁、子供が父と一緒に自宅に住んでいました。母は数年前に亡くなっています。
Cさん兄弟は父の法定相続人になるため、相続手続きを進めていくことになるのですが、Cさんの兄と姉は足が弱く移動が困難なため、Cさんが率先して相続手続きを進めることになりました。

しかし、Cさんも65歳を超えており、書類集めで行ったり来たりする体力はありません。そこで、相続手続きの手間が省ける「法定相続情報証明制度」を利用することにしました。

 

STEP① 必要書類の収集

法定相続情報証明制度を利用するためには、一度必要な戸籍謄本を集める必要があります。制度の利用には以下の書類が必要になります。

・亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本及び除籍謄本
・亡くなった人の住民票の除票
・相続人全員の現在の戸籍謄本または戸籍抄本
・手続きを申し出た人の氏名・住所を確認できる書類

これらの他にも、場合によって必要となる書類があります。詳しくは最寄りの法務局へお問い合わせください。
父の戸籍謄本を調査した結果、法定相続人はCさん兄弟の3人のみということがわかりました。したがって、今回はCさん兄弟全員の戸籍謄本または戸籍抄本が必要となります。

 

STEP② 法定相続情報一覧図の作成

必要書類を収集したCさんは、亡くなった父とその相続人である兄弟の関係を一覧にした図を作成しました。
法定相続情報一覧図は、A4サイズの白い紙に手書きまたはパソコンで記載します。手書きの場合は誰が見ても分かるように丁寧に書きましょう。法定相続情報一覧図の記載例は以下のとおりです。

(法定相続情報一覧図の見本)

なお、法務局のサイトに法定相続情報一覧図の様式及び記載例が載っています。記載例を見ながら、漏れのないように作成しましょう。
また、法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載するかどうかは相続人の任意となっています。ただし、住所を記載しておくと、不動産の名義変更などの手続きの際に相続人の住民票を提出する必要がなくなりますので、住所を記載しておいた方が良いでしょう。

その後、自分で作成した法定相続情報一覧図を法務局へ提出し、正しい内容であることを証明してもらいます。

 

STEP③ 登記所へ申出

法定相続情報一覧図を作成し、法務局の認証を受けたCさんは、申出書へ必要事項を記入し、STEP①で収集した戸籍謄本類と、STEP②で作成した法定相続情報一覧図と合わせて、登記所へ提出しました。登記所へ申出をすることで、Cさんは法定相続情報一覧図の写しの交付を請求することができるようになります。

提出する登記所は以下の4つのうち1つを選びます。
・亡くなった人の死亡時の本籍地を管轄する登記所
・亡くなった人の最後の住所地を管轄する登記所
・申出人の住所地を管轄する登記所
・亡くなった人が名義人となっている不動産の所在地を管轄する登記所

(申出書の記入例の画像)

申出書の様式及び記入例は、法務局のサイトでダウンロードすることが可能です。

 

STEP④ 法定相続情報一覧図の写しの交付

登記所へ申出をして、Cさんは法定相続情報一覧図の写しを受け取ることができました。この書類は亡くなった父の持っていた不動産や預金の名義変更手続き、相続税の申告・納税などの場面で使用することができます。
また、作成した法定相続情報一覧図は登記所で5年間保管されるため、申出人はその期間内であれば何度でも一覧図の写しを受け取ることができます。申出は登記所に直接出向くほか、郵送でも行うことも可能です。

Cさんは不動産や預金の名義変更、相続税申告に備えて余分に一覧図の写しをもらっていたため、スムーズに相続手続きを進めることができました。

 

法定相続情報証明制度のメリット・デメリット

相続手続きの複雑さを解消するためにスタートした「法定相続情報証明制度」には、さまざまなメリットがあります。一方で、場合によっては制度を利用することで手続きが増えてしまうこともあり、全ての人にとってメリットのある制度とは言えません。
ここでは、法定相続情報証明制度のメリットとデメリットをご紹介します。

 

メリット① 5年間は手数料ゼロで何通でも発行することができる

戸籍謄本の取得には1通450円ほどの手数料がかかります。取得するべき戸籍謄本が多い場合には、その分支払う手数料も高くなりますし、戸籍謄本の提出が必要な手続きのたびに取得するとなると手間もかかってしまいます。これでは相続人の負担が大きく、誰が手続きを率先して進めていくかで争いになってしまうケースもあるのです。
しかし、法定相続情報証明制度の場合は、手数料ゼロで法定相続情報一覧図の写しを発行することができます。また、一度作成すると、その後5年間は無料で何度でも再発行をすることが可能ですので、相続人の負担を大幅に減らすことが可能なのです。

 

メリット② 専門家に代理で作成してもらうことが可能

法定相続情報一覧図は税理士や司法書士などの専門家に作成してもらうことも可能です。仕事や育児などで戸籍謄本の収集が難しいという方は専門家に依頼して代わりに一覧図を作成してもらうのも有効な手段です。
また、古い戸籍謄本の中には手書きで作成されており、判読できないものもあります。このような戸籍謄本があると、専門家であっても収集に時間がかかってしまう場合がありますので、専門家への依頼を検討している場合には、早い段階で相談することをお勧めします。

 

メリット③ 郵送での申出・交付が可能

法定相続情報証明制度は、郵送での申請・交付が可能です。
郵送での申請・交付を希望する場合には、申出書に郵送で申請を行う旨の記入をし、返信用封筒と郵便切手を同封して法務局へ郵送します。
時間や体力的に法務局へ出向くことが難しい方は、郵送での申請・交付をご検討ください。

 

デメリット① 一度は戸籍謄本を集める必要がある

法定相続情報証明制度を利用するためには、まずは初めに法務局へ提出する戸籍謄本を収集する必要があります。収集する戸籍謄本は、亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本と、相続人全員の現在の戸籍謄本です。亡くなった人が転籍を繰り返していた場合や、相続人が多い場合には収集が大変になります。また、亡くなった人に前妻との間の子がいる場合には、その子も法定相続人となりますので、法定相続情報一覧図に記載する必要があるのです。
一度は全ての戸籍謄本を収集する必要があるため、相続手続きが少ない場合には、そこまでメリットを感じられない制度です。

 

まとめ

今回は、各種名義変更や相続税申告などの手続きを楽にする「法定相続情報証明制度」について説明しました。亡くなった人に名義変更の必要な財産が多い場合や、相続税申告が必要な場合には、利用することでスムーズで円満な相続手続きが実現できる制度です。
しかし、一度は戸籍謄本を収集する必要がありますので、自分で行うのが難しい場合には専門家へ依頼することをお勧めします。

 

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この記事の監修者
釘宮 貴美子
釘宮 貴美子
公認会計士税理士・行政書士

サンソレイユ税理士法人 代表社員税理士 首都圏事務所所長
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士 小杉事務所所長

福岡県出身。「円満な相続」には、税法の知識だけでなく民法その他関連法規と豊富な経験に基づくノウハウが必要です。税務調査率は1%に満たない精度の高いプロ中のプロ。税務を絡めて遺言や契約書等に法的不備がないか厳しい目でチェックし、お客様を税務リスクから守る、真の税務法律家です。

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