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農地の納税猶予の特例

2023/09/29
農地の納税猶予の特例
農地を相続する際に農地を売却しなければ相続税が納められないとなると、農業を続けることができなくなってしまいます。相続によって農業経営ができなくなることを防ぐために「農地を相続した場合の納税猶予の特例」が設けられました。今回はこの特例について解説していきます。

農地の相続 ~ 納税猶予 ~

農地を相続する際に農地を売却しなければ相続税が納められないとなると、農業を続けることができなくなってしまいます。
相続によって農業経営ができなくなることを防ぐために「農地を相続した場合の納税猶予の特例」が設けられました。

農地の納税猶予の特例とは

農地の納税猶予の特例とは、農業を営んでいた被相続人から相続した農地を相続した相続人が引き続き農業経営を営む場合に相続税の納税が猶予される特例です。
この特例は、あくまでも相続税の「猶予」ですから、言い換えれば納税の先送りです。ただし、納税が猶予された後、一定の条件に該当すれば、その農地にかかる相続税が「免除」され、納税する必要がなくなります。
また、この逆で相続税の納税が「猶予」された後、農業をやめて農地を売却してしまうなど農業を継続していないとされた場合には、猶予されていた相続税の全部または一部を納めなければなりません。この場合には猶予されていた期間の利子税が発生し負担が増すことになります。
このため農地の納税猶予の特例は相続後の将来にわたって農業を継続することが前提とされます。

農地の納税猶予の特例が使える要件

この特例を受けるための要件で主なものは次のとおりです。ただし、適用にあたっては、これ以外にも細かい要件がありますので特例適用の検討は慎重に行ってください。

(1)被相続人の要件

①死亡の日まで農業を営んでいた人
②農地等の生前一括贈与をした人(この一括生前贈与により被相続人の死亡の日まで贈与を受けた者が贈与税の納税猶予又は納期限の延長の特例の適用を受けていた場合に限られます。)
③死亡の日まで農業経営基盤強化促進法の規定による特定貸付けを行っていた人

(2)農業相続人の要件

被相続人の相続人で、次のいずれかに該当する人であること。
①相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も継続すると認められる人
②相続税の申告期限までに特定貸付けを行った人

相続税の納税「猶予」額の「免除」

相続税について農地の納税猶予の特例によって猶予された相続税は、次の条件に該当することとなった場合にはその納税が免除されます。

① 農業相続人が死亡した場合
② 申告期限後20年間農業を継続した場合
③ 農地の全部を次の農業後継者に一括生前贈与し、その贈与税について納税猶予の特例を受ける場合

農業を引き継いだからには20年間は農業をやめられないということです。

農地の納税猶予特例の具体的な計算方法

この農地の納税猶予の特例により納税が猶予される相続税の金額は、次の①から②を控除した金額です。

① 通常の方法により計算した相続税額
② 農地の評価を「農業投資価格」により評価した場合の相続税額

「農業投資価格」とは農地として売買取引きされる場合に通常取引される価格のことです。国税庁のHPで地域別に確認することができます。

≪計算例≫
(計算の前提)
相続人  1人
相続財産 農地のみ(通常の相続税評価額5億円、農業投資価格3,000万円)
農地の納税猶予の特例要件はすべて満たしているものとする

 

極端な計算例ではありますが、実際に農業投資価格はかなり低い金額が設定されており、農地に関する相続税は発生しないか、かなり少額になるケースがほとんどです。
この計算例では相続税のすべてが、納税猶予の対象となり申告の時点では納税が発生しません。
その後、農業相続人が20年農業を継続して経営すれば納税猶予額の納税が「免除」され、相続税を納めなくて良いことになります。

農業が継続できない場合には、「当初の納税+利子」の支払いが発生しますので、適用を受けるかどうか、将来を見据えての判断が必要です。

 

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