相続税納付における共有不動産の物納について
相続税納付における共有不動産の物納について
相続税の納付において、金銭での納付が困難であると認められた場合、物納という制度により国債や不動産などの財産そのものによる納付が一定の手続きと条件のもとで可能となります。
これは、金銭での納付が困難であると判断された場合のみの特別措置なので、すべての相続税の納税者が物納の対象となるわけではありません。
また、物納に充てる財産も国が管理処分するのに適したものでなければなりません。
物納の対象となる財産には次のような優先順位が設けられていて、その順位通りに納税に充てられることになります。
ですから第一順位の国債や不動産があるにもかかわらず、第二順位や第三順位の財産を物納することはできません。
≪第一順位≫
国債、地方債、不動産、船舶
≪第二順位≫
社債や株式などの有価証券
≪第三順位≫
動産
物納財産が共有財産である場合
この第一順位の不動産がもし共有不動産であった場合、国が管理処分するのに適したものという判断基準からすれば共有不動産は適していないと考えられます。
ですが、共有者全員の意思が物納ということで一致しているのであれば、単独所有の場合とほとんど変わらないことから、共有の場合であってもその不動産を共有している全員が各自の持ち分のすべてを物納するという場合のみ物納が可能となります。
したがって、共有者のうち誰か一人でも物納に賛同しない場合や、持分の一部だけなら物納してもいいといった場合は、その財産は物納することができません。
物納を行う場合は物納申請書を相続開始から10ヶ月以内に税務署に提出しなければなりません。
もしも物納する可能性が高いと最初からわかっている場合には、相続財産を共有名義にするかどうか遺産分割の段階から協議を重ね、全員の意見を統一しておく必要があります。