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事業承継をスムーズに! 節税しながら子どもに株式を承継したい

2023/09/29
事業承継をスムーズに! 節税しながら子どもに株式を承継したい
子どもを後継者とした事業承継をする際、後継者の教育や会社の経営方針、税金面での負担など、あらゆる不安が発生します。今回は事業承継をする際の株式譲渡について、節税対策の観点からいくつかの方法をご説明していきます。

スーツの男性が二人で話し合う画像子どもを後継者とした事業承継をする際、後継者の教育や会社の経営方針、税金面での負担など、あらゆる不安が発生します。それゆえに承継に踏み切れず、不安の残る承継になったり余計な税金がかかったりするケースも少なくありません。

そこで、今回は事業承継をする際の株式譲渡について、節税対策の観点からいくつかの方法をご説明していきます。株式譲渡について理解を深め、スムーズで安心できる事業承継を実現しましょう。

 

【事例】長男に自社株式を承継したいAさん

今年78歳になるAさんは、そろそろ自分の体力に限界を感じ、長年経営してきた電気工事会社を長男(50歳)に引き継ぎたいと考えるようになりました。事業承継にあたりAさんは自社の株式を長男に引き継ぐ必要がありますが、その際にかかる贈与税や相続税がいくらになるのか心配になり、税金に詳しい税理士に相談することにしました。

税理士「贈与税制度を利用すれば、税金を安く抑えることができます。株式の評価額によってはゼロにすることもできますよ。」

Aさん「贈与税制度にはどのようなものがありますか?」

税理士「一般的には、暦年課税と相続時精算課税の2つがあります。また、事業承継税制を併用すると税金の負担をさらに軽減できますので、それぞれの制度のメリット・デメリットを考慮して、お得に事業承継できる方法を見つけていきましょう。」

 

株式を贈与する際に使える贈与税制度

事業承継で株式を生前贈与する場合は①暦年課税、もしくは②相続時精算課税を利用することで、税金を抑えることができます。

それぞれどのような制度なのかご説明いたします。

①歴年課税で株式を贈与する

暦年課税とは、年間110万円までであれば贈与税をかけずに贈与することができる制度です。※株式の場合は評価額で計算します。非課税額が比較的小さい制度ですので、相続が発生するまで時間的に余裕がある方に有効な方法となります。

父から息子への贈与のイラスト例えば、長男に対して年間110万円の贈与を10年間に渡って続けたとすると、110万円×10年間=1,100万円の贈与を非課税で行うことができます。このように長期的な目で見ると大きな額を非課税で渡すことができるため、相続税の節税にもつながる便利な制度となっています。

また、代表取締役を退任したときに退職金を支払うことで、会社の株価を大幅に下げたタイミングで一気に株式を贈与することも可能です。

ただし暦年課税では、贈与者(贈与した人)が亡くなる前3年以内に贈与した財産に関しては、相続税の課税対象となってしまいますので、元気なうちからコツコツと財産を移転させておくことが大切です。

 

②相続時精算課税で株式を贈与する

相続時精算課税とは2,500万円までの財産を非課税で贈与することができる制度です。合計が2,500万円までであれば何度でも非課税で贈与することができ、2,500万円を超えた部分については一律20%の贈与税がかかります。

父から息子への贈与のイラスト一見すると暦年課税よりもメリットの大きい制度のように思えますが、実は相続時精算課税で贈与された財産は、贈与者の相続が発生したときに相続財産に加算され、相続税の課税対象となります。そのため、贈与税はかからずとも相続税は負担しなければならないのです。

しかし、ここで相続税の課税対象となる財産額は「贈与したときの財産額」と定められています。ですから、もし事業が右肩上がりで株価もこれからどんどん上がっていくと予想される場合であれば、相続時精算課税で贈与することで相続税の節税につながる可能性が高いといえます。

 

事業承継税制を利用してさらにお得に株式を贈与する

事業承継税制とは、自社株式を後継者に贈与・相続する際にかかる贈与税・相続税を猶予もしくは免除することができる制度です。以前までは猶予を受けるための要件が厳しく、要件を満たさなくなった場合にはそれまで猶予されていた税金やその期間分の利子の支払いが余儀なくされていたため、利用の難しい制度でした。

しかし、平成29年の税制改正により、相続時精算課税との併用が認められるなど、これまで以上に税負担の軽減が図られたため、以前と比べて利用のしやすい制度となりました。

また、事業承継税制には「一般措置」と「特別措置」の2種類があり、それぞれ適用期間や猶予できる株式の割合が異なります。どちらの方が良いか、事業承継のシミュレーションを組んだ上で、予想される相続税や贈与税を比較して選択することをおすすめします。

ただし、事業承継税制の利用には煩雑な手続きが必要になるほか、会社の状況や事業承継のシナリオによっては適用が難しいため、税理士に相談しながら希望通りの事業承継を実現しましょう。

 

持株会社を用いた節税対策も検討しましょう

節税をしながらの事業承継には持株会社の活用も1つの方法です。持株会社とは他の会社を支配するためにその会社の株式を保有する会社のことで、事業承継の場合には持株会社が承継対象の会社の株式を保有することになります。

「持株会社は大企業で設立するもの」と思われがちですが、中小企業の事業承継でもメリットを享受できるため、最近では持株会社を活用した節税方法を利用する中小企業は増加傾向にあります。

今回の事例では長男が持株会社を設立し、その持株会社にAさんが所有している電気工事会社の株式を譲渡しておく、という方法で承継することができます。具体的には、長男の持株会社が金融機関などから資金を調達し、Aさんの会社から株式を買い取る流れとなります。

贈与や相続などで株式を長男に移転した場合には、最大55%の税金がかかってしまいますが、持株会社を利用した株式譲渡では20.315%の譲渡所得税のみが課税されるため、株式の評価額が大きいほど高い節税効果を得ることができます。特に、後々遺留分などの問題が発生して後継者に株式を承継することが困難になりそうな場合に有効な方法ですので、相続人との関係や財産構成なども考慮しながらご検討ください。

 

まとめ

今回は、自社の株式を承継する際に活用できる節税対策についてご説明しました。併用可能な制度と併用のできない制度がありますので、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、ベストな承継方法を見つけましょう。

株式の承継は、方法やタイミングを間違うと余計な税金がかかってしまう恐れがありますので、専門家に相談しながら慎重に進める必要があります。

ソレイユ相続相談室では、あなたの想いと会社の将来を見据えた後継者への事業承継を実現するお手伝いをいたします。

事業承継に関するご不安やお悩みがありましたら、ぜひ一度ソレイユ相続相談室までご相談ください。

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