家族信託を検討している方必見! 家族信託は家族全員の同意が必要なの?

家族信託は、認知症対策や財産承継、遺言代用などに活用できる非常に柔軟な制度です。最近では、次のようなご質問をいただくことがあります。

  • 家族信託を始めるには、家族全員の同意が必要ですか?
  • 家族信託の内容は、家族に秘密にできますか?

これらは実務上もよくある疑問です。結論から言えば、家族信託は、委託者(財産を託す人)と受託者(託された財産を管理する人)の契約によって成立するため、法的には家族全員の同意は不要です。ただし、信託の運用や将来の管理を見据えると、関係する家族にも内容を伝えておくことが望ましいケースが多くあります

家族信託と遺言の違い

家族信託では、委託者の財産は受託者の名義に変更され、契約時から信託が効力を持ちます。これにより、委託者が認知症などで判断能力を失った場合でも、事前に決めた内容に沿って財産の管理や処分が可能になります。

一方で、遺言は本人が亡くなった後に効力を持つため、生前の財産管理には対応できません。また、遺言は基本的に他人に内容を知らせる必要がなく、秘密のままにすることも可能です。

家族に伝えるかどうかの判断

信託契約は、委託者と受託者の合意で成立しますので、法的には他の家族に知らせなくても契約は可能です。しかし、たとえば受託者(長男)が先に亡くなった場合、**「第二受託者」**として誰が引き継ぐのかを決めておく必要があります。仮に長女を第二受託者とする場合、事前に説明し、同意を得ておいた方が後々のトラブルを防げます。

また、家族信託契約書では、信託終了後の「残余財産」の帰属先も定めておくのが一般的です。つまり、契約の設計次第では、複数の家族が内容を把握しておくことが安心に繋がるケースもあります

不動産の信託は登記で可視化される

信託財産に不動産が含まれる場合は、「信託登記」が必要になります。不動産登記簿には、誰が委託者・受託者・受益者かといった情報も記載されるため、信託の事実は公開情報として確認できる状態になります。

そのため、家族の誰かが財産を管理している場合に「勝手に使っているのでは?」と疑われるリスクを避けるためにも、透明性のある家族信託は、相続トラブルの予防にもつながります

まとめ

人生100年時代。遺言や相続の準備を「まだ早い」と思う方も多いかもしれません。しかし、認知症など将来のリスクに備え、元気なうちに家族信託を活用するという選択肢は、現実的で有効な方法です。

信託契約の内容や関係する家族への伝え方は慎重に設計する必要がありますので、まずは専門家に相談することをおすすめします

遺言で承継する財産と、家族信託で管理・承継する財産を区分することも可能です。ご相談者様のご事情に応じて、相続税や世代を超えた承継の視点から総合的にアドバイスいたします。

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