遺言の検認手続きに必要な書類?

遺言書は故人の最後の意思が込められた重要な文書です。しかし、遺品整理中に見つけたり、生前に「遺言を残している」と聞いていた場合でも、すぐに開封してはいけません。特に自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所での「検認」が必要です。本記事では、遺言書を見つけた際の正しい対応方法と手続きの流れを解説します。

遺言書を見つけたら、まず確認すべきこと

遺品整理をしていると「遺言書」と記された封筒が見つかることがあります。また、生前に「遺言を残している」と聞いていた方もいるかもしれません。 遺言書は、亡くなった方の意思が示された重要な文書です。しかし、見つけてもすぐに開封してはいけません。特に自筆証書遺言秘密証書遺言の場合、開封前に家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。

検認とは?

検認とは、相続人全員に対して遺言の存在と内容を知らせ、遺言書の形状や内容を明確にして、偽造や変造を防ぐための手続きです。これは遺言の有効性を判断する手続きではなく、検認を受けたからといって、その遺言が法的に有効であることが確定するわけではありません。

検認が必要な遺言と不要な遺言

検認の必要性は遺言の種類によって異なり、検認が必要な遺言は以下の2種類です。

 

自筆証書遺言

遺言者本人が全文・日付・氏名を自筆で書き、押印したもの。作成は比較的容易ですが、法的要件を満たしているか確認が必要なため、検認手続きが義務付けられています。

 

秘密証書遺言

内容を秘密にしたまま、公証人と証人の前で封印する方式。内容の信頼性を確保するため、検認が必要です。

 

検認が不要な遺言は以下の場合です。

 

公正証書遺言

公証人が立会いのもと作成され、原本が公証役場で保管されるため、偽造や変造の可能性が低く、検認なしで相続手続きが可能です。

 

法務局保管の自筆証書遺言

2020年7月より始まった「自筆証書遺言の法務局保管制度」を利用した場合は、法務局での正式な保管により信頼性が確保されるため、検認は不要となります。

開封の注意点

自筆証書遺言や秘密証書遺言を家庭裁判所の検認前に開封してしまうと、5万円以下の過料を科されるおそれがあります。見つけても決して封を開けず、速やかに検認の申立てを行いましょう。

検認の申立てに必要な書類

検認の申立ては、遺言を見つけた人、またはその保管者が申立人となり、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。必要な書類は以下のとおりです。

  • 申立書
  • 遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 収入印紙800円分

戸籍謄本の取得には時間がかかることがあります。特に出生から死亡までの全戸籍を取得する必要があるため、早めに準備を進めることが大切です。転籍が多い方の場合、収集すべき戸籍が多くなる傾向があります。また、昔の戸籍は手書きで記載されていることもあり、読み取りに専門知識が必要です。

専門家への相談も有効

戸籍の収集や検認の手続きに不安がある方は、相続に詳しい専門家への依頼もご検討ください。特に、税理士に相談すれば検認後の相続税申告まで一括してサポートしてもらえる場合もあり、手続き全体がスムーズに進行します。

まとめ

自筆証書遺言や秘密証書遺言を見つけた場合、まずは開封せずに家庭裁判所で検認を受ける必要があります。検認は遺言の偽造・変造を防ぐ重要な手続きであり、相続手続きを適切に進める第一歩です。必要書類の準備や戸籍の取得は時間がかかるため、早めの対応と専門家への相談が安心につながります。