認知症と診断されホームに入る母の財産処分
2023/09/29
認知症の母が施設へ入居することに。母がいままで住んでいた父名義の自宅を売却したい場合に、税金や父の相続についてどうすればよいのか?相談事例を基に解説しています。
相続人に認知症等で遺産分割ができない方がいる場合にどうするのかお悩みの方へ
認知症と診断されホームに入る母の財産処分
質問
Aさんは、先月父が亡くなり相続人は母とAさんの二人です。
母は認知症と診断され、ひとり暮らしは無理なことから、来月グループホームに入所させることになりました。Aさんは母とは別住所で家族と暮らしています。
Aさんは、母が今まで住んでいた父名義の自宅を売却したいのですが、その場合の税金や父の相続に関しての税金がどうなるかが心配で相談に来ました。
回答
解決の方向
Aさんのお父様の相続税シミュレーションを行ったところ、ご自宅に小規模宅地の特例が使えると課税はされませんが、使えないと200万円弱の相続税が課税されます。
小規模宅地の特例が使える ➡課税されない
小規模宅地の特例が使えない➡200万円弱の相続税が課税
お父様の遺産分割協議に当たっては、お母様が認知症であることから、Aさんが相続を放棄するか、お母様に成年後見人を選任し、遺産分割協議を行わないと、お父様の財産の相続手続きはできません。
また、お母様が不動産を相続するのであれば、その不動産を処分するのにも家庭裁判所の許可が必要になります。
その上で、お父様の自宅をお母様が相続すれば、小規模宅地の特例を受けられ、その後にお母様がご自宅を譲渡しても譲渡所得の3,000万円控除の特例を受けられる可能性があります。
Aさんは、さっそくお母様の成年後見人を選任する手続きから始められました。