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節税対策をしっかりと! 不動産を売却した時にかかる譲渡所得税とは?

2023/09/29
節税対策をしっかりと! 不動産を売却した時にかかる譲渡所得税とは?
「不動産を売りたいが、譲渡所得税という税金がかかると聞いた」「相続した家を売る際の譲渡所得税がいくらかかるか知りたい」このような疑問や不安を抱えている人も多いかと思います。不動産の売却で出ると、譲渡所得税という税金がかかり、場合によっては非常に大きな負担となります。

スーツの男性家のおもちゃを持ち親指をたてている「不動産を売りたいが、譲渡所得税という税金がかかると聞いた」

「相続した家を売る際の譲渡所得税がいくらかかるか知りたい」

このような疑問や不安を抱えている人も多いかと思います。

不動産の売却で利益が出ると、譲渡所得税という税金がかかり、場合によっては非常に大きな負担となります。ですから、不動産を売却する前に、どのくらいの利益が発生するのか、譲渡所得税はいくらになるのかを細かく計算しておく必要があるのです。

この記事では、不動産を売却した際にかかる譲渡所得税について、その計算方法や譲渡所得税を安く抑える特例の紹介をしていきます。

税金を正しく理解し、賢くお得に不動産を売却しましょう。

【この記事を読んでわかること】

・譲渡所得税とは何か

・譲渡所得税の正しい計算方法

・譲渡所得税の申告方法

・譲渡所得税を安く抑える特例

 

不動産を売却した時にかかる「譲渡所得税」

相続した自宅を売った場合でも、信託された自宅を売った場合でもかかる。

・譲渡所得とは

譲渡所得とは、簡単に言うと、自宅を買った価格よりも売った価格の方が大きい場合の差額のことです。つまり、自宅の売却により得した部分のことをいいます。

初めに、譲渡所得の金額はどのようにして計算されるのかを確認しましょう。譲渡所得額を求める算式は、以下のとおりです。

  譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)−特別控除

※取得費とは、その土地や建物を買い入れた時の購入金額や仲介手数料などをいいます。なお、建物の場合は取得費から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

※譲渡費用とは、仲介手数料やその不動産を売るために要した費用などをいいます。

※特別控除額とは、特例等の利用により控除できる金額です。

この算式で計算された譲渡所得に、所有期間に応じた税率が乗じられたものが譲渡所得税となります。所有期間と具体的な譲渡所得税の計算方法については、後ほどご説明します。

 

譲渡所得税の税率は所有期間によって異なる

譲渡所得税の税率は、自宅を買ってから売るまでの期間(所有期間)によって決まります。所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」と、5年を超える「長期譲渡所得」では、倍近く税率が異なります。税率は以下のとおりです。

  ・所有期間が5年以下の場合=短期譲渡所得

   所得税30.63%+住民税9%=39.63%

  ・所有期間が5年を超える場合=長期譲渡所得

   所得税15.315%+住民税5%=20.315%

平成25年〜平成49年では、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が加算されています。

例えば、1,000万円の譲渡所得が発生した場合、短期譲渡所得と長期譲渡所得では、支払う譲渡所得税にどれほどの違いが出るでしょうか。

  ・短期譲渡所得=1,000万円×39.63%=396万3,000円

  ・長期譲渡所得=1,000万円×20.315%=203万1,500円

所有期間の違いで、支払う譲渡所得税額に約200万円もの違いが出ました。不動産の所有期間は、不動産を取得してから売却するまでの間のことをいいます。不動産の取得日が気になる方は、こちらの記事をご覧ください。

→相続にも贈与にも影響する?「財産を取得した日」っていつ?

 

譲渡所得税がかかる事例

ここでは、譲渡所得税がかかったAさんの事例をご紹介します。具体的な事例から、正しい譲渡所得税の計算方法を確認しましょう。

 

親子財産関係イラスト図Aさん(55歳)は数ヶ月前に亡くなった父の自宅を相続することになりました。しかし、父が亡くなった後、自宅に住む人は誰もおらず、Aさんが相続してからの自宅の活用方法に悩んでいました。このままでは、固定資産税などの維持費だけがかさんで「負動産」になってしまうと思い、兄弟とも話し合って自宅を売却することに決めました。

父の遺品を整理していると、30年前にこの自宅を1,500万円で購入したという旨の売買契約書が出てきました。自宅の減価償却等を計算すると、取得費は1,000万円となりました。

また、自宅のあるエリアは近年地価が上昇しており、なんと4,000万円で売却することができました。不動産会社の仲介手数料などの譲渡費用に200万円かかったとすると、Aさんが自宅を売却した際の譲渡所得税額は、いくらになるでしょうか。

まずは、今回の売却で生じた譲渡所得を計算します。

  ・譲渡所得=売却価格4,000万円−(取得費1,000万円+譲渡費用200万円)=2,800万円

今回売却した自宅は、Aさんの父が30年前に購入したものです。自宅の所有期間は5年を超えているため、課税される譲渡所得税は「長期譲渡所得」の税率となります。

  ・譲渡所得税=2,800万円×長期譲渡所得税率20.315%=568万8,200円

Aさんは、相続した自宅の売却に約568万円もの譲渡所得税を支払うことになりました。譲渡所得税には安く抑えるための特例がいくつか存在します。特例については後ほどご説明します。

 

売買契約書がないと譲渡所得税が高くなる⁉︎

譲渡所得税の計算では、取得費が高ければ高いほど譲渡所得税は安くなります。ですから、自宅の「取得費」を正確にわかっていなければなりません。取得費は不動産の購入費用から築年数などを考慮した減価償却を行なって計算されますので、初めの購入費用が鍵となります。

しかし、何十年も前に購入した自宅の金額なんて正確に覚えている人は少ないでしょう。ましてや、親から相続した自宅の購入金額なんて、わかるはずがありません。

そのため、購入金額を正確に把握するために、自宅を購入した時の「売買契約書」や「領収書」が必要になります。

では、もし売買契約書等が見つからない場合はどうなるのでしょうか。この場合、いくら金額を正確に覚えていたとしても証拠がないため、概算法という方法で取得費を計算することになります。概算取得費の計算方法は以下のとおりです。

  ・概算取得費=自宅の売却金額×5%

先ほどのAさんの事例で考えてみると、4,000万円で売却した自宅の概算取得費は、4,000万円×5%=200万円となります。譲渡費用が200万円かかったとすると、この場合の譲渡所得は4,000万円−(200万円+200万円)=3,200万円となります。

先ほどの事例では、Aさんの譲渡所得額は2,800万円でしたので、比較すると3,200万円−2,800万円=400万円もの差が出てしまいます。

かなり昔に購入した自宅でない限り、概算取得費の方が安くなるため、売買契約書等が見つからないことで損をする可能性が高くなってしまいます。

自宅の売却をする際は、売買契約書等を隅々まで探しましょう。また、自宅を購入する場合は、売買契約書等の書類を無くさないよう保管することをお勧めします。

 

譲渡所得税の申告手続きの方法

不動産の売却によって譲渡所得税が発生した場合には、確定申告が必要になります。確定申告の期間は、不動産を売却した日の属する年の翌年の2月16日から3月15日の間です。

例えば、2022年10月1日に不動産を売却した場合は、2023年2月16日から同年3月15日までに確定申告を済ませる必要があります。

申告手続きは所定の確定申告書に必要な書類を添付して提出します。添付書類については、お近くの税務署または税理士にご相談ください。

 

譲渡所得税を抑えるために知っておきたい特例3選

せっかく自宅を売却して利益が出たとしても、所有期間によっては約4割も譲渡所得税として支払うとなると、積極的に売却したいとは思えません。

そこで、譲渡所得税の負担を小さくする特例をいくつかご紹介します。これらの特例には要件がありますので、利用する際は要件を満たしているかをご確認ください。

【譲渡所得税の負担を抑える特例】

・居住用財産の3,000万円特別控除の特例

・空き家の3,000万円特別控除

・マイホームの買換え特例

① 居住用財産の3,000万円特別控除の特例

居住用財産の3,000万円特別控除の特例とは、譲渡所得額から最大3,000万を差し引くことができるものです。

例えば、10年前に取得した自宅を売却して2,000万円の譲渡所得が出た場合、本来であれば長期譲渡所得税率の20.315%を掛けて、2,000万円×20.315%=406万3,000円が譲渡所得税として課税されます。しかし、特例を利用すると、譲渡所得額から3,000万円を差し引くことができ、課税される譲渡所得税をゼロにすることができるのです。

居住用財産の3,000万円特別控除の特例には、いくつかの要件があります。

居住用財産の3,000万円特別控除についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

→マイホームの売却に使える「居住用財産の3,000万円特別控除の特例」とは?

② 空き家の3,000万円特別控除の特例

空き家の3,000万円特別控除の特例とは、①と同様に譲渡所得額から最大3,000万円の控除を受けることができるものです。しかし、①の特例とは異なり、売却する不動産が「空き家」であることが要件となります。

高齢化や都会への人口流出に伴って空き家が増えてきているため、この特例の利用も増えると予想されています。相続が発生する前に、一度要件を確認しておくと良いでしょう。

空き家の3,000万円特別控除について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

→相続した自宅に使える「空き家の3,000万円特別控除の特例」とは?

③ マイホームの買換え特例

マイホームの買換え特例とは、自宅の買換えをした際に、譲渡所得税の支払いを将来へ延期することができる特例です。延期できる期間は、新しく買った自宅を売却する時までです。

この特例は、譲渡所得税を安くするものではありませんが、買換え時の金銭的負担を大幅に抑えることができます。

譲渡所得税の支払いがなくなることで、新しい自宅により多くのお金をかけられたり、金融機関からの借り入れをせずに購入できたりと、買換え後の生活の充実にもつながります。

マイホームの買換え特例についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

→賢く節税! マイホームの買換え特例で譲渡所得税の負担を減らす方法とは?

 

まとめ

今回は、不動産を売却した際にかかる譲渡所得税についてご説明しました。売却する不動産によっては非常に大きい額になることもありますので、できるだけ安く抑えられるように対策をとっておきましょう。

節税には緻密なシミュレーションが必要です。「ソレイユ相続相談室」では、実務経験の豊富な税理士があなたに合った節税対策の提案を行なっております。自宅の売却や買換えをご検討のお客様は、ぜひ一度ご相談ください。

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