親族間の低額譲受についてQ&A方式で解説します!
親族間の低額譲受とは、土地や対象物の時価の半分以下という低い価格帯で取引することをいいます。
本来1,000万円のものを300万円で買い取るなど一見お得なように見えますが、注意すべきポイントを押さえておかないと、思わぬ出費が発生する可能性も。
今回は親族間の低額譲受のよくある疑問をQ&A方式で解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
Q1 親族間で低額譲受する際に気を付けるポイントはありますか?
A 親族間で不動産や土地などを売買する場合、お互いが納得できる価格を設定して良いと思っている方もいるのではないでしょうか。もちろんそれは間違いではありません。ただ、あまりに低い金額にすると税務署からみなし贈与として扱われ税金が課せられるケースが存在するのです。
例えば、3,000万円相当の不動産を500万円で売買した場合、2,500万円得したとみなされます。
これは親族間だからこその価格帯であり、通常の売買では3,000万円の物件を500万円で買えることはないでしょう。そのため、本来設定されている時価の3,000万円と売却額の500万円の差額である2,500万円が贈与という扱いになります。相続税や贈与税を不当に払わないことを防ぐために行われる扱いになります。
Q2低額譲受における譲渡損とはなんですか?
A 親族間で低額譲受を行った場合、双方に利益があると判断されると贈与税が発生します。
これは、売却によって譲渡損が生まれないからです。譲渡損とは、土地や株などの資産を売却した際に生まれる損失のことです。譲渡損がある場合、利益は生まれないものの税金がかからないというメリットがあります。
通常、時価より低い価格で売却した場合は譲渡損が発生します。
ただ、親族間で低額譲受を行った場合この譲渡損がなかったと判断されるのです。相続税・譲渡税がかからないようにやりとりしたとみなされ贈与税が課税されるというシステムになっています。
Q3親族間の低額譲受でかかる税金について教えてください
A 祖父が持っている物件を孫に低額譲受したとします。この際、売主である祖父には譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税は譲渡した価格から取得費を差し引いたものです。
1,000万円で譲渡したケースだと取得費はその5%に相当する50万円であり、譲渡所得は
売却額1,000万円-取得費50万円=950万円
という計算になります。
これに譲渡所得税率が別途かかりますが、5年以下で手放した場合は39.63%、5年以上で手放した場合は20.315%です。5年以上だと仮定すると
譲渡所得950万円×譲渡所得税率0.20315=約193万円
です。
そして、買主には贈与税が課せられます。
本来価値が2,000万円のはずの物件を1,000万円で購入したとなると、差額分の1,000万円に贈与税がかかります。
贈与税には110万円分の非課税枠が設定されており、基礎控除として扱えるのです。
つまり、贈与と見なされた1,000万円のうち課税の対象となるのは
贈与額1,000万円-基礎控除110万円=890万円
です。
また、親や祖父母など直系の存続から贈与された場合は、特例税率がかかります。
今回は基礎控除後の金額が600万円以上1,000万円以下であるため、税率は30%になります。つまり
課税対象890万円×特例税率30%‐控除額90万円=177万円
となり、贈与税177万円を収めなくてはいけません。
みなし贈与の判断は非常に難しく税金がかからないと思い込んで金額を設定しても、後から納税の義務が発生するケースも。
詳しくは税理士などに相談することをおすすめします。
Q4どの程度が著しく低い価格になるのか?
A 親族間の低額譲受は、不動産を持っている価値に対して著しく低い価格を設定した場合にみなし贈与と判断されます。この著しく低い価格とはどの程度のものなのでしょうか。
不動産など資産の価値を決めるのは容易ではありません。本体価格の他に土地代や立地条件、固定資産税評価額などを総合的に見て決められるものです。そのため、価格を決める際には経済的な価値を正しく見極めなくてはいけません。ただ、不動産や税金の知識が十分にない人にとっては難しい作業になるでしょう。
そのため、およその価値をしっかり見極め適切な価格設定をするために、不動産業者や行政書士、税理士といった専門家に相談してみてください。
まとめ
親族間の低額譲受についてQ&A方式で紹介しました。
売買の相手が自分の親族であれば、本来の適正価格に比べお得な金額を設定してやり取りできると思うかもしれません。しかし、実際にはみなし贈与と判断され別途贈与税を請求されるケースがあるのです。
親族間で不動産や土地などの資産を譲受する場合、税理士や不動産業者に相談して適切な価格を設定してください。
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