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「遺言書に記載できる15のこと」① 相続に関する7つの遺言事項とは ?

2022/06/22
「遺言書に記載できる15のこと」①  相続に関する7つの遺言事項とは ?
相続問題に関してさまざまなメディアで扱われるようになり、関心を持つ方も増加しています。相続は現金や不動産など大切な財産を次世代へと継承する大事な作業ですが、未然の用意が不十分であったり家族間に根深いトラブルがあったりする場合には、相続時に大きな問題へと発展する恐れもあります。では、トラブルなく相続を家族みんなで乗り越えていくにはどうするべきでしょうか。
今回は「遺言書に記載できる15項目」に着目し、全3回のシリーズをお送りします。まず第1回目の今回は、相続に関する7つの項目についてご紹介しますので、是非ご一読ください。

遺言書とはそもそもどんなもの?

相続のお話になると「遺言書」について触れられることが多く、作成をご検討されている方も多いでしょう。では、そもそも遺言書とは一体どんなものなのでしょうか。遺言書の種類について簡単に振り返ってみましょう。

遺言書の種類は3種類ある

相続に向けて遺言書を残したい場合には、3種類の遺言書の中から選択することができます。

1.自筆証書遺言

「自筆証書遺言」とは自分で思うように書き記す遺言書です。思いついたらすぐに作成できる手軽なものですが、実際に遺言書にするためには日付と自身の名前、そして押印が必須です。作成費用が不要ですが法務局の保管制度を使わない場合には検認手続(※1)が必要です。財産目録についてはパソコンなどで作成できますが、遺言書は自筆でなければ無効です。

2.秘密証書遺言

「秘密証書遺言」とは遺言の中身を他者に知られないように残す遺言書です。あまり活用されていない遺言方法ですが、費用が高くなりやすく証人も2名の立会いが必要です。公証人・証人・遺言者が署名・押印をする必要があります。

3.公正証書遺言

「公正証書遺言」とは検認が不要で自筆証書遺言よりもトラブルが少ない方法です。公証人が作成を行うため費用は掛かりますが、遺言する財産に準じて手数料を支払うしくみです。公正役場で保管してもらえるので自宅に保管し、紛失したり改変されたりするおそれもありません。

(※1)検認手続とは……遺言書の書式によっては家庭裁判所で検認と呼ばれる作業が必要です。自筆証書遺言の中で保管制度を利用していない場合や秘密証書遺言が該当します。検認とは相続人に遺言書の存在やその中身を知らせる作業であり、偽造などを防ぐために行われます。

検認手続の詳しいページは→コチラ

・参考ページはコチラ→法務局 自筆証書遺言保管制度 

・参考ページはコチラ→ 裁判所 遺言書の検認

遺言書に記載できる遺言事項とはどんなもの?

遺言書の種類について触れましたが、ここからは具体的に「何を書くことができるのか」について詳しく解説します。遺言書に記載できる内容は「遺言事項」と呼ばれます。遺言事項は15個あり、法的な効力が認められるものです。つまり、遺言事項に該当しないものは遺言として認められないのです。そこで、遺言として思いを次世代に託すなら、知っておきたい15について、今回は第1回目として相続に関する7つの遺言事項についてご紹介します。

相続について ドラマチックな事例も踏まえて解説

それではここからは、相続に関する7つの遺言事項に関して解説します。

1.相続人に相続させたくない!相続人の廃除とは

本来相続が発生すると、法定相続人に相続がなされますが、遺言書の作成の際には「相続人に相続させたくない!」と言う強い意志をお持ちの方もいます。例として以下のようなケースの場合には相続人の廃除が可能です。

・相続人から生前激しい虐待や侮辱行為を受けていた場合

・相続人が重大な犯罪を起こしている場合

・相続人となる配偶者が家庭を顧みず婚姻関係を継続し難い場合 など

但し、法律で定められている相続人を廃除することは民法で定められている相続権を奪うことであり、自由に決められるものではありません。遺言書に書き記す、もしくは家庭裁判所に申立てをすることでのみ認められます。

なお、相続人との関係が修復するなどの理由で排除を取り消ししたい場合は、遺言書によって取り消しをすることもできます。遺言書によって相続人廃除を実行する場合には、すでに亡くなっている以上遺言者は立ち会うことができません。そこで、遺言書で指定がなされた遺言執行者が手続きを遂行してくれます。

2.この人に、思いを託したい!相続分の指定とは

遺言で相続人に想いを託す際には「相続分の指定」を行うこともできます。「財産を誰に、どのぐらいの割合で相続させたいか」を遺言者自身が指定するのです。この人に想いを託したい、と思ったら取得割合を決めることにより遺言者としての意思表示を明確に残すことができます。

但し、遺留分(※2)の侵害に気を付けるべきであり、相談を重ねた上で財産の情報も漏らすことなく遺言書に記すことが大切です。

(※2)遺留分とは……詳しい記事はコチラ→「遺言と遺留分の関係」

3.紛争を防ぎたい!遺産分割方法の指定とは

不動産や預貯金の取得を巡って子ども同士などが紛争化しそうな場合、親としてはトラブルを回避したいものですね。

そんな時には「遺産分割方法の指定」を行うことができます。「預貯金は長男へ、有価証券は次男へ」というように、具体的に遺言者自身が財産を指定して相続させることで、紛争を未然に防ぐことができます。

4.まずは小休止!遺産分割の禁止とは

遺言書では意外かもしれませんが5年を超えない期間であれば「遺産分割を禁止すること」もできます。遺言者が亡くなった後に激しい紛争が予想される場合には、一旦小休止の意味も込めて遺産分割の禁止を行うことで冷却期間を置く方法としても活用できます。

また、遺産分割の禁止をしたい財産についても定めることができます。「この土地は境界線があいまいでトラブルを解決してから相続してほしい」、などの特殊なケースにも対応できます。

但し、相続税の申告は10か月の期限内に遂行する必要があるので注意しましょう。

5.生前の贈与への配慮を!特別受益の持ち戻し免除とは

相続税対策や事業継承などを理由に早くから家族へ贈与を開始されている方も多いでしょう。

遺言者としては自身が亡くなった後に、一部の家族に行っていた多額の贈与が、相続の発生時に「特別受益(※3)」であることを理由に相続財産に戻されてしまうことを避けたいという思いもあるでしょう。

そんな時には遺言書で「贈与をたくさんしたけど、相続時には考慮してあげてほしい」と意思表示を残すことができます。この行為を「特別受益の持ち戻し免除」と言います。

(※3)特別受益とは……特別受益とは一部の相続人のみ生前贈与なので利益を得ていたケースを指します。相続時には利益を得ていない他の相続人との間で不公平が生じるため被相続人から生前贈与や遺贈、死因贈与で受け取った利益のことです。 複数の相続人がいるケースで生じます。

6.もしも相続した財産の評価が低かったら?共同相続人の担保責任に関する意思表示とは

遺言書にはある相続人に対して別の相続人が担保責任について定めることができます。ある相続人が受け取った遺産に欠陥があり、遺言者が思っていたより価値が低い可能性があります。

しかし、相続時には遺言者自身はすでに亡くなっている以上、こうした欠陥を補うことができません。そこで、他の相続人がその分を補填するべきかどうかを指定することができるのです。

遺言書の中では、「誰が、どのくらい補填するのか」書き記すことができます。自身の財産への評価が死後に異なることは骨とう品や土地などの場合によくあるため、書き加えることで相続人間のトラブルを防ぐことができます。

7.遺留分も手厚くカバー!遺留分侵害額請求の方法とは

相続の際には「遺留分」と呼ばれる財産の最低限度の取得分が法律で定められています。遺言書では相続できる遺産がこの遺留分よりも少なかった場合に、他の遺贈を受けた人に対して「遺留分侵害額請求」をして、足りない分を金銭でもらうことができるのです。この遺留分を誰に対してするのか、負担する人の順番を遺言によって指定することができます。

なお、請求できる順番は遺贈された人に対してとなります。最低限の補償は相続人同士でリカバリーしてあげてね、という思いを託す方法ですね。 

まとめ

今回の記事では遺言事項として書き記すことができる内容について、相続に関する7つのことをご紹介しました。次回は「身分に関すること」についてご紹介しますので、是非ご参考ください。

遺言に関してのお悩みは「ソレイユ相続相談室」までご相談ください。

 

この記事の監修者
大田 雄人
大田 雄人
税理士・行政書士

サンソレイユ税理士法人 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 行政書士

埼玉県出身。元国税職員。24年の国税職員経験を「お客様のために活かしたい」と税理士に転身。 相談の多いときは1日に6件のお悩み事に対して、アドバイスをするために駆け回っています。特に税務署視点からの税務対策アドバイスは貴重です。

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