遺言がある場合の相続
遺言書は、亡くなった人の意思を書面で記したもの。その意思を何より優先させることが家族の義務です。
遺言書の有無を生前に聞いておくのがいいのですが、わからない場合でも、遺品を整理していると「遺言書」と書かれた封筒が出てくることがあります。
遺言がある相続は、遺言がない相続よりも相続手続きを円滑に進めることができます。では、遺言がある場合は、どのように相続手続きを進めていけば良いのでしょうか?
今回は、遺言がある場合の相続についてご説明していきます。
■遺言がある相続の流れ
①家庭裁判所で「検認」を受ける
見つかった遺言が自筆証書遺言(法務局保管制度を利用していないもの)の場合は、すぐに家庭裁判所で「検認」の手続きを受ける必要があります。
検認とは、遺言の存在や内容を明確にすることで変造や偽造を防止し、遺言を確実に保存するための手続きです。検認が必要な遺言であるにもかかわらず、検認を受ける前に勝手に開封すると、5万円以下の過料が科されてしまう可能性がありますので、ご注意ください。
検認の手続きは、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。
②相続財産の調査をする
遺言がある場合でも、「亡くなった人にはどのような財産があるのか」を調べましょう。
相続財産には不動産や預貯金などの他にも、自動車や価値のある骨董品なども含まれています。また、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も相続の対象となりますので、隅々まで調査しましょう。
「遺言があるなら、相続財産の調査をする必要はないのでは?」と考える方も多いと思います。しかし、仮に遺言に記載のない財産が出てきたらどうなるでしょうか?
遺言を作成したのが亡くなる10年、20年前となると財産構成も変わり、亡くなるまでに財産が増えている可能性もあります。
遺言に記載のない財産がある場合は、その財産の分割を話し合いで決めることになりますので、慎重な調査が求められます。
③遺言の内容通りに遺産分割をする
遺言の検認が済み相続財産の調査が済んだら、実際に遺言の内容通りに遺産の分割を進めていきます。遺言がある場合、遺言の内容は民法で決められた法定相続よりも優先するため、遺言の内容が法定相続とは全く異なっていたとしても全く問題ありません。
例えば、遺言に「A土地を長男に、B銀行の預貯金を次男に相続させる」と記載があったとします。このような場合、A土地の長男への名義変更と、B銀行の口座解約または名義変更を行うことになります。
名義変更等の手続きに期限はありませんが、特に土地や建物などの不動産の場合は名義変更をしていないと第三者への売却ができませんので、なるべく早く名義変更の手続きをしておくと良いでしょう。
■遺言の内容に納得できない場合
相続人全員が遺言の内容に納得できない場合は、遺言に従わない遺産分割をすることができます。しかし、この場合は遺産分割協議という話し合いをして遺産の配分を決めることになります。遺産分割協議は、相続の中でも特に争いの起こりやすい場面ですので、遺言がある場合はできるだけ遺言通りに遺産分割をすることをお勧めします。
遺言に従わない相続についてさらに詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
また、法定相続人には「遺留分」と呼ばれる最低限度の相続分があります。法定相続人であるにもかかわらず、遺言によって財産が全くもらえないような場合には、慰留分を請求することができます。
遺留分についてさらに詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
「遺言が見つかったけど、手続きの方法がわからない」「残される家族が争いにならないような遺言を作りたい」という方は、ソレイユ相続相談室までご相談ください。