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相続税申告をしなければならない人は?

2021/05/06
相続税申告をしなければならない人は?

相続税申告は、相続財産をもらった人がすべて必要なわけではありません。

どんな場合に相続税申告が必要か見ていきます。

多くの人の関心事「相続税」

自分にも相続税がかかるのではないか――
平成27年に大改正があった相続税法は、非常に多くの人に影響を与え、「相続税の課税」と「相続税対策」を身近に感じさせるものとなっています。

この大改正のポイントは、
・基礎控除額の引き下げ
・税率の引き上げ
・小規模宅地等の特例の適用面積の拡大
・未成年控除・障害者控除の控除額引き下げ
 

の4つがありましたが、最も大きな影響があったのが「基礎控除額の引き下げ」ではないでしょうか。
ここで、基礎控除額の引き下げが、何故私たちに大きな影響を与えているのか、おさらいしてみましょう。

亡くなった方(被相続人)の遺産が、預金・株券・不動産等 プラスの財産 から、借入金・葬式費用等 マイナスの財産 を控除した財産が、「基礎控除額」を超えた場合に相続税が発生することは、ご存知の方も多いでしょう。

この基礎控除の計算方法は、以下のように変わりました。


 

改正後は、改正前に比べて基礎控除額が60%に減額されてしまったのです。

具体的な例に当てはめてみましょう。
夫婦2人と子ども3人の家族でご主人が亡くなり遺産総額が6,000万円であった場合


 

このように、同じ遺産額と家族構成でも改正後では相続税が課税されることになりますので、これまではかからないと思っていた相続税の心配をする人が非常に多くなっています。
「相続税が課税される」ということは「相続税申告が必要」ということになるのです。

国税庁の統計では、平成29年中の相続税申告をした人(相続人)は352,957人①、申告が必要な財産を持っていた人(被相続人)は143,881人②となっています。
改正前の平成26年に比べると平成29年は①が約2.2倍、②が2.5倍に増えています。

また、平成29年は相続税の課税価格は17兆2,405億円、納付税額は2兆141億円となっています。
改正前の平成26年に比べて、課税価格が約6兆円、納付税額は約6,200億円の増加となっています。

 

統計情報からも分かるように、相続税法が改正されてから、課税される財産や申告が必要な相続人等が大きく増えています。
こうした背景を踏まえて、相続税に対しての関心も高まり相続税対策をする人が増えています。

相続税申告をしなければならない人は?

相続税申告が必要な人は、相続税法第27条に以下のように定められています。

「被相続人から相続や遺贈、相続時精算課税制度を使った贈与により財産を取得した者の課税価格の合計額(※)が、遺産に係る基礎控除額を超える場合において、納付すべき相続税額が算出される者は、相続税の申告書を提出しなければならない」ことになります。
※各相続人及び受贈者の相続税の課税価格(各人の課税価格)の合計額

相続税法第27条

(相続税の申告書) 第二十七条 相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。以下この条において同じ。)により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)に係る第十五条から第十九条まで、第十九条の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

難しそうな条文ですが、以下の①から④で分かりやすく説明します。

① 遺産に含まれるものと計算方法

相続税が課税される遺産には、亡くなった方が持っていた全財産です。
亡くなった日に財布に入っていた現金から、預金、株、不動産その他のすべての財産が含まれます。亡くなった人の名義になっていなくても、家族の名前を借りて貯めていた財産や、家族の口座に預けてある財産も名義財産として課税の対象になります。
また、本来亡くなった人の財産ではない、死亡保険金や死亡退職金も相続税の課税対象に含まれます。
ただし、亡くなった人の債務や葬式費用は、プラスの財産から差し引いた残額で遺産を計算します。

詳しくは下記の記事をご参考ください。

 

② 相続税の基礎控除を超えた遺産を持っていた人は申告が必要です

冒頭でも触れたとおり、相続税が課税されるかのポイントは、「基礎控除額」です。

再度、相続税の基礎控除額の計算式を確認してみましょう。
3000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額

この「法定相続人」というのは、相続放棄をしなかった場合の相続人の数です。
実際に財産をもらわなかった人がいても、相続放棄をした人がいても、それらに関係なく相続人は何人いたかをカウントするのです。
ただし、養子についてはカウントする人数に税法独自の制限が設けられています。詳しくは➡ こちら を参照

さらに、申告が必要となる人は法定相続人以外もなり得ます。
遺言や死因贈与契約、家族信託契約で財産をもらった人、亡くなった人が生命保険の契約者兼被保険者だった場合に、死亡保険金の受取人になっていた人も相続税申告が必要となります。
この場合、相続税は2割加算されます。

③ 相続税はどのくらいかかるのか

 

④ 特例等の軽減措置を使った場合

②で遺産が基礎控除額を超えると相続税が課税され申告が必要と説明しました。
しかし、課税される財産に対して納める相続税が軽減されたり、納税額がゼロになる場合もあります。
相続税の軽減措置には配偶者の税額軽減や小規模宅地の評価減等がありますが、この特例を受けるためには相続税の申告が必要です。

この記事の監修者
釘宮 貴美子
釘宮 貴美子
公認会計士・税理士・行政書士

サンソレイユ税理士法人 代表社員税理士 首都圏事務所所長
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士 小杉事務所所長

福岡県出身。「円満な相続」には、税法の知識だけでなく民法その他関連法規と豊富な経験に基づくノウハウが必要です。税務調査率は1%に満たない精度の高いプロ中のプロ。税務を絡めて遺言や契約書等に法的不備がないか厳しい目でチェックし、お客様を税務リスクから守る、真の税務法律家です。

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