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非上場株式等の贈与税の納税猶予及び免除の特例(事業承継税制 改正後)

2023/09/29
非上場株式等の贈与税の納税猶予及び免除の特例(事業承継税制 改正後)
事業承継税制改正後(平成27年1月1日以後)の贈与税の納税猶予について、適用を受けるための要件、特例を受けるための手続き、納税猶予期間中の手続などを解説しています。

社長が握手をしている画像1.概要

事業の後継者である受贈者(以下、「経営承継受贈者」)が、贈与により、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の株式等を先代経営者である贈与者から全部又は一定数以上取得し、その会社を経営していく場合には、その経営承継受贈者が納付すべき贈与税のうち、その非上場株式等(一定の部分に限ります。)に対応する贈与税の納税が猶予されます。猶予された税額は、先代経営者や経営承継受贈者が死亡した場合などは納付が免除されます。
なお、免除されるときまでに特例の適用を受けた非上場株式等を譲渡するなど一定の場合には、猶予されている税額の全部又は一部を利子税と併せて納付する必要があります。
この特例と「非上場株式等の相続税の納税猶予の特例」を併せて、一般に「事業承継税制」といいます。
平成21年に創設された事業承継税制は適用要件が厳しく、また手続きも複雑であったため、適用を申請する件数も非常に少なかったのですが、25年度税制改正で非常に利用しやすく、また、リスクも少なくなりました。
今回は改正後の事業承継税制のうち、贈与税の納税猶予の特例について解説します。

2.適用を受けるための要件(平成27年1月1日以後)

(1)会社の主な要件
 中小企業基本法の中小企業であること(特例有限会社、持分会社も対象)
 非上場会社であること
 資産管理会社に該当しないこと・・・等
(2)受贈者(後継者の要件)の主な要件
 年齢20歳以上であること
 贈与の時において、会社の代表権を有していること
 贈与の時において、役員等の就任から3年以上経過していること
 贈与の時において、後継者及び同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超を有し、かつ、同族内で筆頭株主であること・・・等
(3)贈与者(先代経営者)の要件
 贈与の時前において会社の代表権を有していたこと
 贈与時において、会社の代表権を有していないこと
 贈与直前において、先代経営者及び同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の議決権数を保有し、
 かつ、同族内で筆頭株主であったこと・・・等
(4)事業継続要件の主なもの
 申告期限後5年間、経営承継受贈者が代表権を有していること
 申告期限後5年間、平均で雇用の8割以上を維持していること
 申告期限後5年間、猶予対象株式を継続保有していること・・・等
⇒申告期限後5年以内にこれらの要件を満たさなくなった場合には、猶予税額全額と利子税を納付しなければならず、申告期限後5年経過後に おいても猶予対象株式を譲渡又は贈与した場合にはその割合に応じた猶予税額と利子税を納付しなければなりません。

3.特例を受けるための手続き

原則として、相続開始後8か月以内に、「経済産業大臣の認定」を受けるための申請を行う必要があります。
この特例を受ける旨を記載した相続税の申告書をその申告期限までに提出するとともに、その申告書に特例の適用要件を確認するための一定の 書類を添付する必要があります。
上記②の申告書の提出期限までに非上場株式等納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保を提供する必要があります。
なお、特例の適用を受け る非上場株式等の全てを担保として提供した場合には、納税が猶予される相続税額及び利子税の額に見合う
担保の提供があったものとみなされます。

4.納税猶予期間中の手続

一定の事項を記載した「非上場株式等についての贈与税の納税猶予の継続届出書」を贈与税の申告期限後の5年間は毎年、5年経過後は
3年ごとに所轄税務署へ提出する必要があります。
なお、継続届出書の提出がない場合には、原則として、この特例の適用が打ち切られる納税猶予税額と利子税を納付しなければなりません。

5.猶予税額の納付が免除される場合

次に掲げる場合などに該当したときには猶予税額の全部又は一部の納付が免除されます。

1.先代経営者である贈与者が死亡した場合
2.先代経営者である贈与者の死亡前に経営承継受贈者が死亡した場合・・・等
 
次回は相続税の納税猶予の特例について解説します。

 

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