特別受益があった場合の相続税額の算定方法
2023/09/29
被相続人から生前に相続分の前渡しと考えられるような生前贈与や遺贈を受けた相続人がいる場合、その相続人は「特別受益」があったとされます。この場合の相続税額の算定方法を事例をあげて解説します。
特別受益は、民法903条に規定されており、
被相続人から生前に相続分の前渡しと考えられるような生前贈与や遺贈を受けた相続人がいる場合に、
その人が受けた利益を遺産の全体に組み入れて計算する制度ですが、具体的にどのように算定するかお話しします。
特別受益がある場合で、遺産分割協議が申告期限に間に合わない(未分割)場合、
一旦法定相続割合で分割して相続税の申告書を提出します。
例えば、
被相続人Aさんの相続財産が10,000万円で相続人が、子Bさん、子Cさんの二人だとします。
子BさんはAさんが亡くなる5年前にAさんより2,000万円の贈与を受けていた場合、法定相続割合は以下のように算出します。
① まず、特別受益も含めたあるべき相続財産を計算する。
・遺産額10,000万円+特別受益2,000万円 = 12,000万円(みなし相続財産)
② ①に対するそれぞれの法定相続分割合における相続分を計算する。
・各法定相続分(1/2)
: Bさん6,000万円 、Cさん6,000万円
③ 特別受益を受け取った相続人の②の金額から特別受益分を控除する。
・Bさんの財産取得分:6,000万円-2,000万円 = 4,000万円
・Cさんの財産取得分:6,000万円
その結果特別受益を加味した法定相続分はBさんが4,000万円、Cさんが6,000万円となります。
特別受益を加味した法定相続割合は、
Bさんは 4,000万円/10,000万円=0.4
Cさんは 6,000万円/10,000万円=0.6となります。