財産とは

相続税の計算において、どのようなものが「財産」として扱われるのかご存知でしょうか。相続税法上の財産は、単純に現金や不動産だけではなく、金銭に換算できる経済的価値があるすべてのものが対象となります。本記事では、相続税基本通達に基づいて財産の定義と具体的な範囲について詳しく解説します。

相続税法上の財産の基本定義

相続税法における「財産」とは、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものを指します。この定義は相続税基本通達11の2-1に明確に規定されています。

同通達では、「法に規定する財産とは金銭に見積ることができる経済的価値のあるすべてのものをいう」と定められており、この基本的な考え方に基づいて具体的な財産の範囲が示されています。

相続税法上の財産に含まれるもの

物権・債権・無体財産権を超えた広範囲な権利

財産には、一般的な物権(所有権、用益物権、担保物権)、債権(金銭債権、物の引渡し請求権など)及び無体財産権(特許権、商標権、著作権など)に限定されません。これらに加えて、以下のような権利も財産として扱われます。

 

信託受益権

信託受益権とは、信託された財産から得られる利益を受け取る権利のことです。たとえば、不動産を信託すると、家賃収入や売却益を受け取る権利が生じます。信託受益権は、投資信託や不動産信託など、さまざまな資産運用の場面で利用されています。

 

電話加入権

電話加入権については制度改正があり、令和3年1月1日以降の相続については、売買実例価額や精通者意見価格等を参酌して評価します。ただし、相続税の申告においては家庭用財産等に含めて一括評価することが可能となりました。

 

法律上の根拠がなくても経済的価値があるもの

相続税法上の財産の範囲は、法律上明確な根拠がある権利に限定されません。経済的価値が認められているものであれば、法的根拠が不明確であっても財産として扱われます。

 

営業権(のれん)

企業が長年培ってきた顧客との関係、ブランド力、技術力などから生じる超過収益力を営業権といいます。これは法律上明確な権利ではありませんが、経済的価値が認められるため相続財産として評価されます。

独立して財産を構成しないもの

一方で、経済的価値があっても独立した財産として扱われないものもあります。

以下のような従たる権利は、主たる権利の価値を担保し、または増加させるものであり、独立して財産を構成しません。

 

質権

債権の担保として設定される質権は、担保される債権と一体として評価されます。

 

抵当権

不動産などに設定される抵当権も、被担保債権と合わせて評価されます。

 

地役権

隣地の利用を内容とする地役権(区分地上権に準ずる地役権を除く)は、要役地の価値を増加させるものとして、要役地と一体で評価されます。

まとめ

相続税法上の財産は、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものと定義されており、その範囲は非常に広範囲にわたります。法律上明確な権利だけでなく、営業権のように事実上の経済的価値があるものも含まれる一方で、質権や抵当権のような従たる権利は独立した財産としては扱われません。なお、電話加入権については令和3年1月1日以降、家庭用財産に含めて一括評価することが可能となりました。

 

相続税の申告を行う際は、これらの財産の定義を正しく理解し、漏れのない財産評価を行うことが重要です。複雑な財産がある場合は、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

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