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未成年の子どもや孫に財産を贈与できますか?

    作成日2021年10月14日

     

    1 未成年者への贈与

    相続対策や相続税の節税対策として「生前贈与」は広く行われています。

    生前贈与の中でもよく質問があるのは

    「幼い子どもや孫にお金を贈与することはできますか」という質問です。

     

    結論からお伝えすると「幼い子どもや孫にも贈与はできます。」

     

    法律的に言うと、贈与は

    「当事者の一方が、自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる行為」とされています。

     

    わかりやすく言うと、「無償であげます」という側と「もらいます」という側の、両方の意思表示が必要な契約なのです。

     

    では、歳の子どもが法律行為を行えるのかというと、贈与に年齢制限は無く、未成年者がもらう場合には、「親権者が受諾すれば、未成年者の子が贈与の事実を知っていたかどうかにかかわらず贈与契約は成立する」とされているのです。

    たとえ乳幼児であっても親権者の同意があれば贈与は可能になります。

     

    では、幼い子どもや孫は贈与してもらったお金を入れる通帳を作れるのでしょか?

     

    これも結論からいうと「幼い子どもの通帳も作れます。」

     

    法律的に言うと

    親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する」

    となっています。

    そこで、銀行では親権者である親が、子どもの通帳を作成するのです。

     

    一般的に親権者が子の通帳を作る時に必要な書類です。

    ・子どもの本人確認書類 (現住所が記載されている書類)

    ・親権者の本人確認書類 (免許証、健康保険証等)

    ・親権者であることがわかる書類 (子どもの健康保険証等)

    ・銀行届出印  

    ※具体的には各金融機関にご確認ください。

     

     

    2 税務上注意する事

    「名義預金」という言葉をご存知でしょうか

    相続税の税務調査でよく使われる言葉です。

     

    例えば、今回のテーマでいうと、子どもや孫の名義の預金は税務署の目から見ると、通帳の名義は子どもや孫だけれど、ほんとの所有者は親や祖父母で、子どもや孫の名前を借りて預金しているだけではないか

    という税務署の疑問から出てきた言葉です。

     

    税務署から名義預金と認定されてしまうと、親や祖父母の相続が発生した時に、その通帳の名義がたとえ子どもや孫になっていても、親や祖父母の相続財産とされてしまうのです。

     

    よく税務調査で名義預金の問題とされる事例は、

     

    亡くなった祖父母の家の金庫から、別世帯で住む孫の通帳が何冊も見つかって、通帳の印鑑は祖父母の印鑑で、祖父母から入金された経歴しか残っていない。

    というような場合です。

     

    つまり、名義預金は、実際に預金している人と預金の名義人が違う預金のことなのです。

     

    一般的に、名義預金とされないようにするには次のような注意か必要です。

    ①贈与資金の移動は預金口座の振込で実施し通帳に記録を残す。

    ②預金通帳、銀行印は、子や孫が持ち、自分で管理する。

    ③贈与の事実は贈与契約書に遺して本人にサイン又は捺印させる。

     

    今回のテーマのように、贈与を受けた人が幼い子どもや孫の場合には、上記に加えて、親権者が法定代理人として通帳と銀行印を作成して管理し、かつ、贈与契約書を作成する場合には親権者としてサイン又は捺印することも必要です。

     

     

    3 家族信託を使った場合

    家族信託という財産の管理方法は最近よく使われます。

    主に親の認知症対策として活用されることが多いのですが、子どもに財産を贈与して無駄遣いをさせないようにする方法としても活用できます。

     

    家族信託を使った贈与の事例です。

     

    祖父は中学生の孫に将来自分の貯めてきたお金を使ってもらいたいと思っています。

    しかし、30歳になるまでは自由にお金を使わせずに、必要な時困った時)にだけ使えるようにしたいと思っています。そこで家族信託契約でお金の支払いを受ける権利を孫に与えて、財産は孫の親に預けて、支払いの判断も親にさせることにしました。

     

    【信託契約案】

    ・信託財産=現金500万円

    ・委託者=祖父  財産を預ける人です

    ・受託者=母   財産を預かり管理する人です

    ・受益者=孫   信託財産から目的に沿った支払いを受けられる人です

    ・信託の目的  孫が30歳になるまで無駄遣いを防ぎながら必要なお金を渡す

     

    このような信託契約を結ぶことによって、大金が一気に孫に入ることはなく、祖父が贈与した財産を孫のために母が管理している状態にすることができます。

     

    家族信託では信託財産は税務上は受益者の財産とされます。

    この場合なら信託財産は母が管理していても孫のものになるのです。

     

    信託契約で子どもを受益者にするには、家族信託契約書で子どもを受益者にする旨を定めれば良いだけで、受益者になる子どもは契約の当事者にならないので、家族信託の契約書にサインをする必要がありません。

    ちなみに、家族信託の契約を結ぶ当事者は委託者と受託者です。子どもの同意も必要ありません。

     

    この事例の場合には、信託の終了する30歳まで、孫は学費や就職費用あるいは結婚費用等に困った時だけ、母受託者からお金を受け取ることができる契約にするのです。

     

    こうしておけば、万一孫が30歳になるまでに、祖父が認知症になったり、亡くなってしまったとしても、祖父の意思は活かされて孫にお金は渡っていきます。

     

    ただし、この方法では家族信託を設定した時に、孫に53万円の贈与税がかかってしまいます。

    このケースでは孫が20歳になるまでは、基礎控除が110万円の贈与制度しか使えないのです。

     

    孫が20歳になっていれば、2,500万円まで贈与しても贈与税が課税されない相続時精算課税制度が使えます。

     

    ※相続時精算課税では、贈与者が亡くなった時に相続税の課税対象となる可能性があります。

    相続時精算課税制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

    →「相続時精算課税制度を使った贈与の方法」

     

     

     

    4 まとめ

    幼い子どもや孫に財産を遺したい気持ちは誰にでもあり、多くの人が現実に実行されています。

     

    生前贈与を実行に移すときは「資産の移転」に目をつける税務署に対する対策をきちんとする事と、目的によっては家族信託を活用する等の方法を組み合わせながら行っていきましょう。

     

    生前贈与は、相続対策、相続税対策に精通した相続専門税理士に相談しながら行うことをお勧めします。

     

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