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預金の相続手続きを失敗しないコツ

公開日2021年10月07日


彫金通帳と老人の画像

 

亡くなった人の預金を勝手に引き出すと、相続人間でトラブルが発生してしまう可能性があります。
トラブルなく亡くなった方の預金を引き出すためには、預金の相続手続きを行い、解約や名義変更をしなければなりません。
今回は、預金の相続手続きで失敗しないコツをご紹介していきます。

 

(目次)

1相続手続きの全体の流れ

2預金凍結前の引き出しはトラブルの元

3相続預金払い戻し制度

4預金の凍結解除の手続き(相続手続き)

5まとめ

 

1 相続手続きの全体の流れ

 

預金者が亡くなったことを銀行が知ると、預金口座は凍結され、お金の出し入れができなくなります。

 

亡くなった人の預金を引き出すためには、預金口座を相続人の名義に変更するか、解約をして払い戻しを受ける必要があります。

 

ここでは、相続が発生してから預金の名義変更または解約をするまでの流れについてご説明いたします。

 


 

まずは、相続が発生したら遺言が残されていないかを確認しましょう。

 

亡くなった人が生前に遺言を作成し、自分の財産を誰に相続させたいかを指定している場合は、その遺言に従って遺産分割を行うことになります。相続手続きも簡単になりますので、遺言がないかを隅々まで探しましょう。

 

遺言のある場所として自宅の机や棚、貸金庫などがあげられます。また、公正証書遺言の場合は、原本が公証役場に保管されますので、全国の公証役場で遺言の有無を検索することができます。

 

さらに、2020710日から「自筆証書遺言の法務局保管制度」がスタートしました。これにより、今までは遺言者自ら保管しなければならなかった自筆証書遺言を法務局で保管してもらえることになりました。全国の法務局で自筆証書遺言の有無を確認することができます。

 

 

次に、相続人と相続財産の調査を行います。相続人は、亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得して調査します。

 

戸籍謄本とは、その戸籍に入っている人の結婚や離婚などの身分関係について記された書面で、役所の窓口または郵送で取得することができます。

 

亡くなった人に隠し子や前妻との間の子がいる場合は、その子も相続人となりますので、隅々まで調査する必要があります。

 

また、相続人の調査と同時に、どこにどのような財産があるのかも調査します。預金の場合は亡くなった人の持っていた通帳やキャッシュカード、金融機関から届いた案内などを探して特定していきます。最近では通帳のないネット銀行を利用する方も増えてきましたので、パソコンや携帯電話のメールなども調査しておく必要があります。

 

相続財産には預金のほか、不動産、家具・自動車などの動産、骨董品、ゴルフ会員権、借金なども含まれますので、漏れのないように調査しましょう。

 

 

遺言がある場合には、ここで必要書類を準備して相続手続きを行うことができますが、遺言のない相続では「遺産分割協議」を行います。

 

遺産分割協議とは、亡くなった人の財産について「誰が、何を、どのくらい相続するか」を話し合うことです。この話し合いには相続人全員が参加する必要があります。全員がその場に集まって話し合いができれば良いのですが、仕事や外せない用事がある場合には電話やメールで参加することも可能です。

 

相続人全員が納得し遺産分割協議がまとまったら、協議の内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。遺産分割協議書は全ての人が必ず作成しなければならないものではありませんが、預金の相続手続きを行う際は原則として遺産分割協議書の提出が必要になります。

 

また、遺産分割協議書には相続人全員の署名・押印が必要になります。これは、相続人全員がその遺産分割の内容に合意していることを証明するためのもので、作成後に相続人間でトラブルが発生するのを防ぎます。

 

 

遺産分割協議書を作成したら、協議書の内容通りに不動産や預金などの相続手続きを行っていきます。預金の相続手続きには、亡くなった人の口座を相続人が引き継ぐ「名義変更」と、口座を解約して払い戻しを受ける「解約」があります。

 

預金の相続手続きは、必要書類を準備して口座のある金融機関で行います。預金の相続手続きの方法については、後ほどご説明いたします。

 

 

2 預金凍結前の引き出しはトラブルの元

 

金融機関は預金の名義人が亡くなったことを知ると、預金を凍結し、全ての入出金をストップします。金融機関は相続人から連絡を受けて初めて名義人が亡くなったことを知りますので、相続が開始してから預金が凍結されるまでに期間が空くことがあります。預金が凍結された後は、相続人間で遺産分割協議をして相続手続きを行うまでは預金を引き出すことができません。

 

そこで、葬式費用や相続人の生活費を用意するために、預金が凍結される前に預金を引き出そうと考える人が出てくる可能性があります。

 

しかし、凍結前に預金を引き出してしまうと、相続人間でトラブルが発生することがあるので注意が必要です。

 

 

例えば、相続人の1人が凍結前に預金を引き出すと、それが葬式費用や相続人の生活費を支払う目的であったとしても、他の相続人からは横領を疑われてしまいます。

 

凍結前に葬式費用を引き出しておくことは一般的に行われていますが、何に使ったかを明らかにしなければ相続人の不信感を生むことになってしまいます。どうしても預金を引き出さなければならない場合は、他の相続人にその旨を伝え、引き出したお金を何に使ったかを説明できるように領収書などの資料を取っておきましょう。

 

また、相続発生後に預金を下ろして使うと、相続を承認したものとして相続放棄ができなくなる可能性があります。相続には預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続の対象となります。ですから、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い相続では、相続放棄を選択する方も多いでしょう。

 

しかし、亡くなった方の財産を処分すると相続承認をしたとみなされ、相続放棄ができなくなることがあるのです。預金を引き出しただけで相続放棄ができなくなるわけではありませんが、引き出したお金の使い方次第では相続放棄が認められなくなることがありますので、ご注意ください。

 

 

3 相続預金払い戻し制度

 

預金の名義人が亡くなると預金口座は凍結され、遺産分割協議が成立するまでは預金の引き出しができなくなります。

 

しかし、預金を全く引き出せないとなると、亡くなった人の葬式費用の支払いや相続人の生活費の確保ができなくなってしまうケースがあります。

 

そこで、201971日から「相続預金払い戻し制度」がスタートしました。

「相続預金払い戻し制度」を利用すると、払い戻しを希望する相続人は、以下のうち「いずれか低いほう」の金額まで金融機関から払い戻しを受けることができます。

 

口座ごとに、相続開始時の預金額×1/3×払い戻しを受ける相続人の法定相続分

同じ金融機関からの払い戻しは150万円まで

 

例えば、相続人が妻と2人の子の3人の場合を考えてみましょう。

相続開始時、A銀行に亡くなった人名義の預金が1,200万円ありました。

この場合、妻はいくらを限度に払戻しを受けることができるでしょうか。

 

妻の法定相続分は1/2ですので、①の式で計算すると、1,200万円×1/3×1/2=200万円となります。

 

これは、②の150万円を超えてしまいますので、低い方の②が適用されることになります。

 したがって、妻が払い戻しを受けられる限度は150万円までです。

 

「相続預金払い戻し制度」は金融機関ごとに利用することができますので、他にも預金がある場合は先ほどと同じように計算して出された金額まで払戻しを受けることができます。

 

しかし、この制度を利用するためには、戸籍謄本など手続きに必要な書類を集める必要があります。

書類集めには1ヶ月ほどの期間がかかってしまうこともありますので、早めに着手しておくと良いでしょう。

 

 

4 預金の凍結解除の手続き(相続手続き)

 

預金の凍結を解除するためには、口座のある金融機関ごとに相続手続きを行う必要があります。手続きの手順や必要書類について確認しておきましょう。

 

相続発生後、相続財産の調査をして預金の特定ができたら、口座のある金融機関へ連絡をして、口座名義人が亡くなった旨を伝えます。金融機関は口座名義人が亡くなったことを知ると、預入れや引出しができないように預金口座を凍結させます。

 

ここで注意するべきなのが、その口座から家賃や公共料金などの引き落としがされている場合、自動引落もストップしてしまう点です。引落日が到来する前に口座変更の連絡をしておきましょう。

 

預金口座が凍結されたら、必要書類を準備して金融機関で手続きをします。遺言書がある場合と遺産分割協議書がある場合で、主に必要となる書類は以下のとおりです。

 

【遺言がある場合】

遺言書の原本または公正証書遺言の謄本

検認済証明書(公正証書遺言の場合は不要)

遺言執行者の印鑑証明書(遺言執行者が選任されている場合のみ)

受遺者の印鑑証明書

各金融機関所定の届出書

 

【遺産分割協議書がある場合】

遺産分割協議書の原本

亡くなった人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)

相続人の戸籍謄本

相続人全員の印鑑証明書

各金融機関所定の届出書

 

亡くなった人の戸籍謄本は、亡くなった人の出生から死亡まで連続して収集する必要があります。

古い戸籍謄本だと手書きで書かれていることもあり、読解が難しいものもあります。

戸籍謄本の収集には専門家でも時間がかかることがありますので、必要書類の収集はなるべく早めに専門家へ依頼することをお勧めします。

 

また、金融機関によっては必要となる書類が異なることがありますので、事前に各金融機関に問い合わせて確認しておきましょう。

 

 

必要書類が準備できたら、預金口座のある金融機関にその書類を郵送または持参し、預金の名義変更・払い戻しの手続きを行います。金融機関が書類を受け取ってから12週間ほどで凍結解除がされます。

 

必要書類の準備から合わせると1ヶ月以上の期間を要する場合もありますので、葬式費用や生活費等が必要で早くに払戻しを受けたい場合には、前章でご説明した「相続預金払い戻し制度」の利用をすることで解凍までに必要なお金の払戻しを受けることができます。

 

しかし、この制度を利用するためにも戸籍謄本などの書類が必要になり、払い戻しまでに時間がかかってしまうことがあります。

 

より早く現金を用意したい場合は、生命保険を活用した遺産分配がお勧めです。生命保険は民法上相続財産に含まれないため、受取人は遺産分割協議をせずに生命保険金を手に入れることができます。

生命保険金の請求は比較的簡単にできますので、素早く確実に現金を渡したい人がいる場合は、生命保険を活用した遺産分割もご検討ください。

 

 

5 まとめ

 

相続が発生し、亡くなった人の預金が凍結されてしまうと、たとえ相続人であってもその預金を引き出すことができなくなってしまいます。

 

預金の凍結を解除するためには、相続手続きを行い預金の名義変更または解約を行わなければなりませんが、これらの相続手続きにはさまざまな書類が必要となります。

 

スムーズに相続手続きを済ませるには、相続に詳しい専門家へ依頼するのが有効な手段でしょう。

 

 

また、生命保険の活用など、相続が発生する前にできる対策もあります。

あなたに合った相続対策を行い、残された家族が円満で円滑な相続を実現できるようにしておきましょう。

 

 

ソレイユ相続相談室では、豊富な実務経験のある税理士と行政書士があなたの相続のお悩みを解決いたします。

相続に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

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