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相続税で控除できる債務


相続税は、被相続人(亡くなった方)の持っていた財産の額に対して課税されます。

この財産の中には、不動産や預貯金、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などの債務も含まれています。

そのため、被相続人に債務があれば、その債務をプラスの財産から差し引いて相続税を計算することができるのです。

これは「債務控除」と呼ばれており、控除できる債務には様々な種類があります。

債務控除を理解しておくことで、相続税の計算がスムーズにできるだけでなく、計画的な節税を実現できるようになります。

今回は、相続税で控除できる債務の種類について、詳しくご説明していきます。

 

 (目次)

1.債務控除とは

2.債務控除の対象になるもの

2-1.クレジットカードの未払

2-2.医療費や生活費の未払金

2-3.公共料金などの未払金

2-4.銀行などの金融機関からの借入金

2-5.その他個人からの借入金

2-6.賃貸不動産の借主から預かっている敷金など

2-7.連帯債務

2-8.特別寄与料

2-9.葬式費用

2-10.公租公課

 

3. 債務控除の対象にならないもの

3-1.団体信用生命保険付きの住宅ローン

3-2.墓地や仏具などの非課税財産にかかる未払金

3-3.保証債務

3-4.被相続人の死亡後に発生した債務

4.相続控除ができる人、できない人

4-1.債務控除ができる人

4-2.債務控除ができない人

5.まとめ

 

 


 

 債務控除とは

 

債務控除とは、相続税を計算する際に相続財産の額から被相続人の持っていた債務の額を差し引くことです。債務控除額が多くなればなるほど相続税の額は少なくなります。。

では、相続財産から差し引くことができる債務には、どのような決まりがあるのでしょうか?

債務控除について、相続税法 では、以下のように記されています。

 

「第十三条 相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。)により財産を取得した者が第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
二 被相続人に係る葬式費用

第十四条 前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。」

 

やはり、条文は難しく書かれていますが、第13条第1項と第14条第1項によると、債務控除ができる債務は

 

①被相続人(亡くなった)の債務であること
②相続開始(被相続人の死亡)時点において存在している債務であること
③この債務は「確実と認められるもの」であること

 

が前提となります。

上記の③にある「確実と認められるもの」の意味が分かりづらいと思います。

この、確実と認められる債務には、借入金のような明らかな債務のほか、相続開始時点でまだ支払いが行われていない、または支払期日が到来していない費用も含まれています。

ただし、債務が存在していることが確実であるが、金額が確定していないものや、裁判を行なっている最中の債務などは控除の対象となりません。

 

 債務控除の対象になるもの

 

先ほど、相続財産が基礎控除額を超え相続税がかかる場合に相続税の申告が必要であるとご説明しました。しかし、相続税がかからない場合でも相続税の申告が必要になるケースがいくつか存在します。

以下では、相続税がかからないとしても申告義務が発生するケースをご紹介します。

 

2-1.クレジットカードの未払金

 

被相続人が生前にクレジットカードを使って利用代金や商品購入代金を決済し、クレジットカード会社への支払いが済んでいない費用は、確実と認められる「未払金」として債務控除の対象となります。

 

2-2.医療費や生活費の未払金

 

被相続人の死亡後に、相続人が病院に対して支払った被相続人にかかった医療費や老人ホーム、介護施設等使用料、その他の費用は「未払金」として債務控除の対象となります。

 

2-2.医療費や生活費の未払金

 

被相続人の死亡後に、相続人が病院に対して支払った被相続人にかかった医療費や老人ホーム、介護施設等使用料、その他の費用は「未払金」として債務控除の対象となります。

 

2-3.公共料金などの未払金

 

被相続人が利用していたが支払いが済んでいない、または被相続人の死亡後に相続人が支払った電気・ガス・水道代、電話代などは「未払金」として債務控除の対象となります。

 

2-4.銀行などの金融機関からの借入金

 

銀行などの金融機関からの借入金も債務控除の対象となります。

ただし、被相続人に借入金がある場合、家族にもその存在を隠している可能性があるため、慎重な調査が求められます。

例えば、郵便物等から金銭消費貸借契約書などの契約書がないかを探し出し、借金調査を行いましょう。

また、被相続人の口座から定期的に引落しがある場合は、借入金の返済の可能性があります。

その場合は、口座からの引落し先を調査し、借入金の有無を確認しましょう。

他にも、被相続人名義の不動産の登記事項証明書を確認して、抵当権や質権などが設定されている場合は、被相続人に借入金がある可能性もあります。

このように、被相続人の郵便物や財産を調査することで、ある程度の借入金がわかる場合があります。

しかし、郵便物からは手がかりが掴めず、相続人の調査では把握しきれない借入金も存在します。

そのような場合は、「個人信用機関への情報開示請求」を行なって借入金の有無を確認しましょう。

個人信用機関には、JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センターの3つがあり、個人からの借入でない限り、上記の機関へ開示請求を行うことで大体の借入金を把握することができます。

 

2-5.その他個人からの借入金

 

個人からの借入金も債務控除の対象となりますが、個人からの借入金の中でも特に親族からの借入金は、そもそも借入があったかどうかの判断をする必要があります。

個人からの借入金を調査する場合も金融機関からの借入金と同様に、催告状や督促状などがないか郵便物を調査しましょう。

また、通帳を確認し、口座から定期的な引落しがないかも調べていきます。

個人の場合は、金融機関からの借入金とは異なり、信用機関への情報開示請求ができませんので、調査が非常に難航するケースが多くあります。

しかし、被相続人が知人から借金をしている可能性があっても、直接その知人に借金の有無を問い合わせることはおすすめしません。

お金が絡むと人はどうなるか分かりません。知人が悪質で、被相続人にお金を貸していないのに架空請求をされる可能性もあります。

したがって、まずは被相続人の身の周りを調査してみて、借入金に関する資料が見つからなければ、相手がたが借入金の返済を請求してくるのを待つか、または被相続人がお金を借りている可能性のある人に借用書の写しを提出してもらうようにしましょう。

 

2-6.賃貸不動産の借主から預かっている敷金など

 

被相続人がアパートやマンションなどの賃貸不動産を所有していた場合、その不動産を借りている人から敷金を預かっている可能性があります。敷金とは、賃貸借契約の際に借主から担保として預かるお金のことです。

被相続人の持っている預かり敷金は契約終了時に借主に償還されるべきお金(敷金返済債務)であるため、債務控除の対象となります。
ただし、敷金は無利息という性質から、預かった敷金の金額がそのまま控除額とすることはできません。預かり敷金の評価は、返還するまでの期間に応じた複利原価率を使って評価するため注意が必要です。

 

2-7.連帯債務

 

連帯債務とは、住宅ローンなどを借りる際に、複数の債務者が連帯して返済義務を負うことです。

被相続人が連帯債務を負担している場合において、連帯債務者が弁済不能になり、被相続人が弁済しなければならない場合には、被相続人が負担するべき部分のみが債務控除の対象となります。

 

2-8.特別寄与料

 

平成30年度に民法が改正され、新たに「特別寄与料」を請求できる規定が設けられました。

特別寄与料とは、被相続人の生前に、相続人以外の親族が無償で被相続人の介護や看護などのために労務を行った場合に、相続人に対して金銭を請求できる制度です。(民法1050条)
民法の改正により、相続税法13条第4項では、特別寄与料の債務控除について、以下のように定められることになりました。

「特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額が当該特別寄与者に係る課税価格に算入される場合においては、当該特別寄与料を支払うべき相続人が相続又は遺贈により取得した財産については、当該相続人に係る課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から当該特別寄与料の額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。」

要するに、相続人が特別寄与料を支払った場合は、支払った額が債務控除として認められるということです。

 

参考記事

👉特別寄与制度 ~被相続人の面倒を見てきた方へ遺産を分ける~

 

2-9.葬式費用

 

葬式費用は「被相続人が死亡した時にあった債務」ではありませんが、債務控除の対象になります。相続財産の額から控除できる葬式費用は、通常以下のようなものです。

 

・火葬や埋葬、納骨のためにかかった費用
・遺体や遺骨の回送にかかった費用
・お通夜、告別式にかかった費用
・葬儀に関しお手伝いしてもらった人などへの心付け
・お寺、神社、教会などへ支払ったお布施、戒名料、読経料など
・死体の捜索、または死体や遺骨の運搬にかかった費用

 

逆に、香典返しや初七日などのためにかかった費用は控除の対象となりませんのでご注意ください。

 

2-10.公租公課(こうそこうか)

 

公租公課とは、国や地方自治体に納めるお金のことです。一般的には、「公租」は所得税や住民税などの税関係で、「公課」とは健康保険料や社会保険料などの負担金のことを指します。

相続税法第14条第2項では、公租公課の債務控除について、以下のように定められています。

 

「二 前条の規定によりその金額を控除すべき公租公課の金額は、被相続人の死亡の際債務の確定しているものの金額のほか、被相続人に係る所得税、相続税、贈与税、地価税、再評価税、登録免許税、自動車重量税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、航空機燃料税、石油石炭税及び印紙税その他の公租公課の額で政令で定めるものを含むものとする。」

 

要するに、被相続人の死亡後に支払う所得税や住民税、固定資産税などの税金や、健康保険料、社会保険料などは債務控除の対象として相続財産の額から差し引くことができるということです。

また、公租公課は他の債務と異なり、被相続人の死亡後、相続人などが納付または徴収されることになった税金については、被相続人が死亡した時に確定していないものであっても債務として相続財産の額から控除することができます。

具体的にいうと「準確定申告の所得税・消費税・個人事業税の税額」がこれに該当します。

準確定申告とは、被相続人が亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得にかかる確定申告のことです。準確定申告は、当然、被相続人が亡くなった後に計算され確定するため、被相続人の死亡の時には存在しない債務です。

しかし、被相続人の所得をもとに計算され、その納税義務者は相続人が引き継ぐことになるため、被相続人の債務として相続財産の額から差し引くことができるのです。

ただし、これらにかかる延滞税や過少申告加算税などは、相続人の事情により発生するものですので、債務控除の対象とはなりません。

 

参考記事

👉準確定申告(亡くなった人の確定申告)

 

 債務控除の対象にはならないもの

 

これまで、債務控除の対象となるものをご紹介してきましたが、債務の中には控除の対象にならないものもあります。

債務控除の対象にならない主なものは、具体的に以下のとおりです。

 

3-1.被相続人が被保険者の団体信用生命保険付き住宅ローン

 

団体信用生命保険とは、住宅ローンの債務者がローンの返済中に死亡してしまった場合に、その保険金で残りの住宅ローンを完済できる保険のことです。

この団体信用生命保険が付いている住宅ローンでは、被相続人の死亡と同時に保険金により住宅ローンの返済がされるため、債務にはならず、相続財産の額から控除することができません。

 

3-2.墓地や仏壇などの祭祀財産(非課税)に係る未払金

 

墓地や仏壇・仏具、神棚など、神仏や先祖を祀るための道具は祭祀(さいし)財産と呼ばれ、相続税のかからない非課税財産に分類されます。

このような非課税財産に係る未払金および購入費用は債務控除の対象とはなりません。

 

3-3.保証債務

 

保証債務とは、債務者本人が債務を履行しない場合に、その債務者に代わって履行をする保証人の債務のことです。もし、被相続人が誰かの保証人になっていた場合は、その保証債務の履行を請求される可能性があります。この場合、請求される保証債務については、債務控除の対象とはなりません。

ただし、債務者本人が弁済不能等の事情があり、かつ債務者本人に自分が支払った金額の返済を請求(求償権を行使)しても、弁済を受ける見込みがない場合は債務控除の対象となることがあります。

 

3-4.被相続人の死亡後に発生した債務

 

被相続人の死亡後に発生した債務に関しては、相続人が負担するべきですので、控除の対象とはなりません。被相続人の死亡後に発生した債務には以下のようなものが該当します。

・遺言執行費用
・相続手続きに必要な戸籍謄本を取得するためにかかった費用
・財産目録を作成するためにかかった費用
・相続税申告のための税理士費用
・相続財産の名義変更等にかかった費用
・遺産分割交渉に係る弁護士費用、訴訟費用
・相続財産の管理にかかる費用

 

 債務控除ができる人、できない人

 

被相続人の財産を受け取ったからといって、受け取った人全員が債務控除をできるわけではありません。では、どのような人が債務の控除をできるのでしょうか?

ここでは、債務控除ができる人とできない人についてご説明いたします。

 

4−1.債務控除ができる人

 

債務控除ができるのは「相続人」と「包括受遺者」のみです。

包括受遺者とは、被相続人の遺言により相続財産の全体に対する割合で財産を遺贈された人のことをいいます。

例えば、遺言に「Aに私の全財産の3割を遺贈する」など、遺贈する財産が漠然とした割合で記されていた場合、Aは包括受遺者となります。

では、債務控除ができない人はどのような人なのでしょうか?

 

4-2.債務控除ができない人

 

債務控除ができないのは「特定受遺者」と「相続放棄をした人」です。

特定受遺者とは、包括受遺者とは異なり遺言によって特定の財産を指定して遺贈された人のことをいいます。

例えば、遺言に「Bに〇〇銀行〇〇支店の預金を遺贈する」など、遺贈の対象となる財産が指定されていた場合は、Bは特定受遺者となります。

そのため、Bが引き継いだ債務は控除することができません。

また、相続放棄をした人が引き継いだ債務も控除の対象となりません。

ただし、相続放棄をした人が葬式費用を支払っていた場合は、遺贈により引き継いだ相続財産の額から支払った葬式費用の金額を債務控除として差し引くことができます。

 

5 まとめ

今回は、相続財産の額から被相続人の残した債務を差し引くことができる「債務控除」についてご説明いたしました。

全ての債務が控除できるわけではなく、債務の中にも控除できる債務と控除できない債務もあります。

控除できる債務には様々な種類がありますが、主に「被相続人の死亡した時にあった債務で確実なもの」と「葬式費用」で構成されています。

債務控除について理解しておくことで、スムーズな相続税申告だけでなく、計画的な節税も実現することができますので、この機会に債務控除の知識を身につけましょう。

 

 

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