相続手続きに必要な戸籍の集め方
Q.
父が亡くなり、相続の手続きが必要になりました。
金融機関に父の戸籍謄本を持っていきましたが、父の「生まれてから死亡するまで」の戸籍が必要だと言われました。
戸籍を取った役所では他に戸籍はないと言われて困っています。
他の戸籍はどのように集めればよいのでしょうか?
A.
お父様(被相続人)の「出生から死亡まで」の戸籍を揃えるには、まずお父様(被相続人)の最後の本籍地の役所で、最終の戸籍謄本を取り寄せます。
最後の本籍地が分からない場合は、住民票で本籍地を確認することができます。
お父様は転勤が多く引っ越しのたびに本籍も変えていたようでした。
戸籍を辿り転籍前の役所から戸籍を取得する必要があります。
以下の画像(全部事項証明書見本)をご覧ください。※クリックで拡大します
現在、市役所で取得する戸籍謄本は「全部事項証明書」として発行されます。
赤枠の①に「【改製日】平成22年8月1日」「【改製事由】平成6年法務省令51号附則第2条第1項による改製」とあります。
※戸籍に記載の住所・氏名等は全て架空です
平成6年に戸籍法が改正されたのですが、従来の戸籍の様式が縦書きだったものをコンピュータ化により横書きに変更となりました。
この改製により閉鎖された縦書きの戸籍を「改製原戸籍(かいせいげんこせき、または、かいせいはらこせき)と呼びます。
(改製原戸籍見本参照)
※戸籍に記載の住所・氏名等は全て架空です
全部事項証明書の赤枠①は改製原戸籍の青枠①につながります。
お父様が最後の本籍地の前はどこに本籍を置いていたかは、赤枠②を見ると分かります。
「【従前戸籍】長野県長野市西尾張部〇〇番地 田中一郎」とあります。
改製原戸籍の青枠②も確認してみると「長野県西長野市尾張部〇〇番地より転籍」とあります。
お客様が次に取得する戸籍は、長野県の長野市役所から取り寄せることになります。
長野市役所からの戸籍を待って、また次の本籍地を辿っていく作業を繰り返すことになります。
- 旧民法の戸籍について
戸籍を辿っていくと、明治時代の戸籍が発行される場合もあります。
(旧民法戸籍見本参照)
※戸籍に記載の住所・氏名等は全て架空です
昭和22年5月2日までに開始した相続は旧民法が適用されます。
現在は戸籍が新しくつくられる原因は「転籍」の他に「婚姻」や「分籍」があります。
この戸籍を見ると、「家督相続」という言葉がでてきます。
旧民法では、一般的に長男が「戸主」となって家を継ぎ、親の財産のすべてを相続する制度がありました。
赤枠③を見ると「隠居によってこの戸籍が抹消されたことが分かります。
この後の戸籍も存在したことになるので、相続人の確定に必要になる場合がありますので、見落とさないように注意が必要です。
相続手続きに必要な戸籍を揃えるには、大変な手間と時間がかかる場合があります。相続人を見落としてしまうと、折角した手続きが無駄なってしまう可能性もあります。
ご自身で戸籍を揃えるこ場合にご心配がありましたら、当相談室にご相談ください。