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相続争い防止対策の実施

相続争いはテレビの中の話だと思っていませんか?
「まさか、子どもや親戚が絶縁状態になるなんて…」と亡くなってからではそれも分かりません。
ウチは財産がないから大丈夫、家族みんな仲が良いから大丈夫という方、既に相続争いが心配な方も、もしもの時のために防止策を考えてみましょう。



1.相続争い防止策が進めにくい理由

 

相続争い防止策は、財産を現に持っている(継いでいく側の)当事者には、なかなか実施できず進めにくいものです・・・。その理由は大きく分けて二つあります。

 

① 相続争いは資産家の家で起きることで、普通の庶民には無縁なことだと思い込んでいる方が多いこと。
➡ 現実には相続争いは対策をしている資産家より、普通の庶民の間でより切実に起こっています。家庭裁判所の統計数字が物語っています。

 

平成28年度 家庭裁判所遺産分割事件 遺産の認容調停成立価格別統計
平成28年度遺産分割事件のうち認容・調停成立件数遺産の価額別割合

 

② 親が元気なうちは、財産を親が管理し取り仕切っているので、自分がいなくなった後の財産を巡る家族の希望や感情(相続争い)が想像しにくい。
➡ 相続争いは財産を管理している親がいなくなってから起きるのが普通です。
当たり前のことかもしれませんが、親が元気なうちに決まりをつけておくのが唯一無二の対策です。

 

 

2.相続争いが起きる場合と有効なツール

 

相続争いは大きく分けると次の二つの場面で起きています。

 

① 財産を持った方が亡くなった後の遺産分割の際に起きる。➡ 相続開始後
② 財産を持った方が認知症等になり、財産が管理できなくなった際に起きる。➡ 生前

 

それぞれの場面で争いの種は違ってきます。

 

 

3.相続開始後に起きる争い

 

相続開始後の争いは、次のような場面で、次のようなもめ事の種が発生する可能性があります。

 

 

 

相続の開始(死亡)

 

1.通夜葬儀

【葬儀は誰がやるの?費用はどうするの?】

 

 

2.相続人と相続財産の把握

【誰がどうやって調べるの?その費用はどうするの?】

➡亡くなった方の財産を調べて一覧表(財産目録)にします。

 

 

3.遺産分割協議

【誰が音頭を取るの?たたき台は誰が作るの?】

➡相続人が集まって財産目録を確認し、誰にどの財産を分けるのか話し合います。
話がうまくとまれば遺産分割協議書を作成し自署し実印を押印します。

 

 

4.具体的遺産分割

【誰がやるの?費用はどうするの?】

➡遺産分割協議書に従って、財産を各相続人に分配、名義変更等をしていきます。

 

 

 

これらのステップが問題なく進めば遺産分割が完了します。
この過程の中で、財産調べに納得がいかなかったり、分割案に納得がいかなかったりすることで争いが起きてしまうのです。

 

このような場面で起きる争いを防止する方法に、遺言と家族信託があります。
遺言では、遺産を誰にどう分けるのか書いておいて、さらに遺言の執行者を指定しておくことにより、相続人の把握から財産調べ、さらに遺言者の指定した遺産分割の方法で遺産分割を行うところまで、遺言執行者が行ってくれます。
葬儀に関する争いが起きる可能性があるのなら、死後事務委任契約を結んでおく必要があります。

 

ただし、遺言を書いても相続人に最低限保証されている遺留分という権利を侵害している場合には、侵害された相続人は、侵害された遺留分を請求することができますから注意が必要です。

 

遺言について知りたい方は➡ こちら

 

家族信託を利用している場合には、生前にすでに財産の名義は信託財産として受託者(財産を預かっている人)に変更されていますから、改めて財産調べをする必要はありません。
また、死亡により信託契約が終了する場合には、信託されている財産は、信託契約書に書いてある通りに分割が行われます。

 

このように、家族信託は、相続が発生してから効力が発生する遺言と違って、生前から名義変更を信託法によって行ってしまいます。さらに遺言と同じように死後に財産を分ける機能を持っています。遺留分に関しては遺言と同じように、遺留分を侵害していれば請求されます。

 

家族信託について知りたい方は➡ こちら

 

 

4.相続開始前の認知症等で起きる争い

 

財産を持った方が認知症等になり財産が管理できなくなった際に起きる争いに関しては、家族信託と任意後見制度が有効です。

 

今、社会問題化している認知症に関して、生前に相続争いの前哨戦ともいえる争いが起きています。

 

認知症を患い判断能力を失ってしまうと、自分の不動産を売却することはもちろん、預金を下ろすこともできなくなってしまいます。
つまり財産管理に関することは自分では何もできなくなってしまいます。生きているのに亡くなった後に起きる財産が封鎖されたのと同じ状態になってしまうのです。
このような時に、遺言があっても役に立ちません。たとえ本人が意思表示のできない状態になっていても生きている限り遺言は使えないのです。

 

さらに、認知症になってしまった方に財産がある場合に、その管理を誰がするのかで問題になることがあります。
それは何故でしょう︖財産の名義人に管理能力がないため、誰かがチェックすることがないまま財産が使われることになるからです。
ともすれば、財産を管理している人が他の親族から疑いの目を向けられたり、亡くなった後でお金の使い道について疑われたりすることもあります。

 

このような争いを防止する方法に、家族信託制度と任意後見制度があります。
どちらの制度も、本人が認知症になる前に、家族信託制度であれば信託法の契約によって、財産を家族名義に変えて法律の規定で管理してもらうことができますし、任意後見制度であれば家庭裁判所の監督下で本人の財産を家族が管理することが可能になります。

 

任意後見制度について参考になる記事は➡ こちら

 

ただし、家族信託制度も任意後見制度も、本人が認知症になる前に契約を結んでおく必要があります。認知症になってからでは契約が結べないので注意が必要です。
認知症になってしまった後では、家庭裁判所が選任する成年後見人(成年後見制度)による管理しか道は残されていません。

 

家族信託を使えば、家族全員で財産管理を見守る仕組みを作ることができますから、家族間で疑心暗鬼による争いが起きる可能性は低くなります。
また、成年後見制度で後見人が就いた場合には、事実上、家庭裁判所が財産を管理することになるので、家族は財産の内容について口出しすることもできなくなりますし、本人が亡くなるまで財産内容を知ることができなくなります。
家族で財産を管理したり、節税策を継続して行いたい場合には、家族信託の方がよい方法という事ができます。

 

 

5.まとめ

 

相続争いは認知症の増加と共に、新しい局面に入っています。それは相続税対策でも同じです。
難しい事ではありますが、元気なうちに自分の財産をどうしたいのか? どうすれば争いなく次の世代につないでいけるのか? どうすれば相続税の負担を最小限に抑えられるのかを学んで、対策していくしかありません。

特に、家族信託はこれからの相続の新しい形です。相続コーディネーターと家族信託に強い税理士に相談しながら進めることが大切です。
相続対策は、人生100年時代の“終活”の大切なテーマではないでしょうか。


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