公開日2021年6月22日

被相続人(亡くなった人)が生命保険に加入していると、保険会社から相続人に対して生命保険金が支払われることがあります。

本来、受け取る生命保険金は被相続人の財産ではないため、相続財産には含まれません。しかし、税法上では生命保険金も相続財産と「みなされ」て、相続税の課税対象となってしまうのです。

ここでは、「相続税がかかる生命保険」について、相続税がかかるケースや非課税枠などを詳しくご説明いたします。

生命保険は相続財産に入る?

生命保険金とは、被相続人が生命保険に加入していた場合に、保険会社から相続人に対して支払われるお金のことです。

民法では生命保険金は相続などで取得した財産と区別される「受取人固有の財産」として扱われます。そのため、不動産や預貯金などの通常の相続財産とは違って、遺産分割協議の対象とならず、相続放棄をしても受け取ることができる財産なのです。

しかし、民法上では相続財産として扱われていなくても、相続税を計算する上では生命保険金も相続財産とみなされ、相続税が課税されてしまいます。このように、通常の相続財産ではないが、税法上は相続財産とみなされる財産を「みなし相続財産」といいます。

どのような生命保険金に相続税がかかるの?

しかし、すべての生命保険金に対して相続税が課税されるわけではありません。受け取った生命保険金には「生命保険の掛け方」によって課税される税金の種類が異なるのです。

生命保険の契約には、「保険料を負担する人(保険契約者)」、「保険の対象となる人(被保険者)」、「保険料を受け取る人(受取人)」の3つの枠があり、誰がその枠に入るかによって生命保険金に課される税金が相続税、所得税・住民税、贈与税のいずれかになります。

相続税が課されるのは、被保険者と保険契約者が被相続人で受取人が異なる場合のみです。例えば、父が被保険者の契約で保険料の支払いも父が行っているが、保険金の受け取りが母や子に設定されている場合は、生命保険金に「相続税」が課税されます。

※1 生命保険金に所得税・住民税がかかるケース

保険契約者と保険料の受取人が同じで、被保険者のみが異なる場合は、一時所得として「所得税・住民税」が課税されます。

例えば、被保険者は被相続人である父だが、保険契約者と保険料の受取人が母や子に設定されているケースがこれに当たります。

※2 生命保険金に贈与税がかかるケース

契約形態によっては、生命保険金に相続税が課税されることが分かりました。しかし、相続税の課税対象になったとしても、受け取った生命保険金の全額に相続税が課されるのではありません。

相続税が課税される生命保険金には「500万円×法定相続人の数の非課税枠があり、受け取った金額から非課税限度額を差し引いた額を相続税の課税対象とすることができるのです。

法定相続人とは、民法で決められた相続人のことです。配偶者は常に法定相続人になり、子がいる場合は子も法定相続人になることができます。

例えば、被保険者と保険契約者である父が亡くなり、生命保険金3,000万円を妻が受けとりました。妻と長男、長女が法定相続人となる場合、生命保険金に課される相続税はいくらになるでしょうか?

この場合、法定相続人は合計で3人となりますので、生命保険金の非課税限度額は500万円×3人=1,500万円と計算できます。したがって、受け取った生命保険金3,000万円から非課税限度額1,500万円を差し引いた1,500万円に対して相続税が課税されることとなります。

もし、生命保険金を受け取った相続人が2人以上いる場合、各相続人の非課税限度額は受け取った額に応じて変化します。

例えば、上記の例で妻が2,000万円、長男が1,000万円の生命保険金を受け取ったとしましょう。各相続人の非課税限度額は「(その人が受け取った生命保険金の額÷生命保険金の総額)×非課税限度額」で計算することができますので、妻と長男の非課税額は以下のとおりです。

・妻の非課税限度額=(2,000万円÷3,000万円)×1,500万円=1,000万円

・長男の非課税限度額=(1,000万円×3,000万円)×1,500万円=500万円

生命保険の契約形態によって、保険金を受け取る際にかかる税金は異なり、場合によっては多額の税金がかかってしまいます。納税資金などの準備や非課税枠の利用で、節税対策ができるなど、いろいろな活用法がある生命保険ですが、間違った保険契約では、かえって余計な税金を支払うことになりかねません。

ご自分の生命保険の契約を再度見直し、必ず「相続に詳しい税理士」にご相談されることをお勧めします。

この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士 長野事務所所長

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。