ソレイユ通信Vol.8 配偶者の税額軽減って本当に有利?

    配偶者の税額軽減って本当に有利?


    「配偶者が相続した財産については相続税がかからない」という制度、
    一見とても有利に感じる制度ですが、長い目で見た場合、本当に有利となるでしょうか?

     

    質問
    夫が他界しました。夫の遺産は約1億円。相続人は妻である私と、息子2人の合計3人です。
    「配偶者が相続した財産については相続税がかからない」と聞きました。夫の遺産のすべてを私が相続した場合、相続税は払わなくてもよくなるのでしょうか。

     

    回答
    「配偶者が相続した財産については相続税がかからない」というのは、配偶者の税額軽減という特例のことですね。被相続人の配偶者が相続した場合は、次のいずれかが多い金額まで相続税が発生しません。
    1.1億6,000万円まで
    2.配偶者の法定相続分相当額
    ご質問の場合には、ご主人の遺産が1億円ということですから、1億円すべてを奥様が相続された場合には、確かに相続税は課税されません

     

    この特例を受けるためには、以下の手続きが必要です。
    1.相続税の申告書を提出する。
    2.戸籍謄本、遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し及び相続人全員の印鑑証明書(原本)を提出する。

     

     

    次の相続も視野に入れるべし

     

    配偶者の税額軽減は、「遺された配偶者の生活保障のため、配偶者が相続した財産のうち一定額まで相続税を課税しない」という制度です。一方で、夫婦という同一世代間での財産の移転であるため、近いうちにもう一度相続税を課税する機会がある、という側面もあります。
    すべて奥様が相続されることが本当に有利となるかどうか、検証してみましょう。

    【前提】・相続財産:1億円

        ・相続人:配偶者、子2人 計3人

        ・配偶者の固有資産:2,000万円

    一次相続に限っていえば、下表ケース①のように、今回奥様が全財産を相続した場合が最も有利です。しかし、奥様の相続発生時(二次相続)の相続税額まで考えると、税負担は①が一番重くなってしまいます。これは二次相続の際の財産額が大きく、高い税率が適用されてしまうためです。
    この事例では、一次相続と二次相続を合わせて税負担が一番少なくなるのは、ケース③の奥様が3,000万円(30%)相続した場合という結果になりました。

     

    ■シュミレーション結果


     

     

    からでも間に合う対策も

     

    事例では、二次相続までに配偶者の財産は増減しないことを前提にしましたが、配偶者の年齢が若いなど、二次相続までに時間がある場合には、その間に様々な相続対策が検討・実行でき、二次相続の税負担を減らすことは可能です。
    一次相続で配偶者の相続割合を決定する際には、目の前にある税負担を軽減させることにとらわれがちですが、将来(二次相続)を見据えた税負担まで考えることで、財産の承継にかかる税負担を最小限に抑えることができます。配偶者の年齢、健康状態、今後の生活基盤、相続対策に対する考え方など、様々な角度からの検討が重要でしょう。

    <根拠条文>相法19の2、32、相規1の6、16



     

    保存版ひとくちメモ

     

    海外居住期間のライン「5年」が「10年」へ

     

    租税回避を抑制するため、国外財産が課税されない”国内に住所がない”期間のラインが、「5年」から「10年」へ改正されました。(下表赤字分)。
    贈与税は、贈与をする側(贈与者)と、される側(受贈者)の国籍や住所がどこかによって、課税される範囲が異なります。この課税される財産の範囲について、平成29年度税制改正により、租税回避抑制のための措置がとられました。

     

    ●贈与税の納税義務の範囲(改正後)

     

    ※1 出入国管理及び難民認定法別表第1の在留資格者で、過去15年以内に”国内に住所あり”の期間が合計10年以下の者
    ※2 日本国籍のない者で、過去15年以内に”国内に住所あり”の期間が合計10年以下の者
        国内・国外財産ともに課税

        国内財産のみに課税

    参考:財務省「平成29年度税制改正」(平成29年4月発行)


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