ソレイユ通信Vol.7 収益不動産の贈与

    収益不動産は、早めに建物を贈与すべし

    継続的な収入により金融資産が減らないとき、相続対策として良い方法はないでしょうか?

     

    質問

    不動産賃貸業を営んでいる父は、賃貸マンションや金融資産をそれなりに保有しています。相続対策として、子や孫に毎年現金を贈与していますが、
    不動産収入が継続的に入るため、なかなか金融資産は減りません。
    何か良い方法はありませんか。

    回答

    継続的に所有不動産からの収入がある方にとって、現金贈与による税金対策は“焼け石に水”でしかない場合もあります。不動産収入を上回る金額を贈与すれば、財産を減らすことは可能ですが、今度は贈与税の負担ばかりが大きくなってしまいます。
    そこで発想の転換。不動産収入を減らすことを考えてみてはいかがでしょうか?
    収入を減らすといっても、入居者から頂く賃貸料を減らしたり、賃貸を止めたり、本当に入ってくる収入を減らしてしまっては本末転倒です。そうではなく、子や孫へ現金を贈与する代わりに、将来の不動産収入の元となる資産を贈与してしまうのです。

     

     

    不動産を贈与すると・・・?

     

    具体例で見てみましょう。

    【例】
    ・賃貸マンション
    年間収入:1,200万円(税引き後手取り額700万円)
    建物:固定資産税評価額   3,500万円
    土地:固定資産税評価額  10,000万円
    相続税自用地評価額    12,000万円
    借地権割合 50%
    借入金残高:0円
    ・相続時精算課税制度を利用して、上記賃貸マンション(建物)を子へ贈与。
    ・贈与から10年後に父死亡。
    ・相続人は母、子2人。

     

    下記表が示すように、賃貸マンションを贈与しても、毎年現金を贈与しても、毎年700万円が子の懐に入るということに変わりはありませんが、10年間に支払うべき税額の合計には918万円もの差が生じる結果となりました。

     


    ※1 法定相続分により相続した場合の相続税で、贈与税額控除前
    ※2 支払った贈与税(10年分)

     

     


    将来の収入を無税で贈与できる


    収入のある不動産の贈与には、「その物件から将来的に生ずる収入を、無税で贈与できる」という効果があります。
    また、子の方が適用される所得税率が低い場合には、所得税負担が軽減されることもあるでしょう。

     

     

    贈与するのは「建物のみ」

     

    不動産収入の贈与のポイントは、該当不動産全てを贈与するのではなく「建物のみ贈与する」ことです。敷地も贈与を受けるとなると、贈与税が非常に高額になってしまいます。入居者から家賃を受け取るべき人は、建物の所有者。従って、敷地の所有は父のまま無償(使用貸借)で借りれば良いのです。

     

     

    まとめ

     

    ●貸家建付地評価と自用地評価との差額による相続税への影響に注意しましょう。

    「建物名義が子、土地名義が父」の場合で土地の使用対価が無償であれば、敷地の相続税評価は使用貸借として自用地評価となります。

     

    ●早期贈与で収入移転額をより大きくしましょう。

    少しでも多くの不動産収入を次世代に移転させることにより、より一層の節税効果が期待できます。

     

    ●借入金の残債がない建物を選定しましょう。

    贈与とともに借入金も引き継がせる場合には負担付贈与となり、贈与税と所得税のどちらも課税される場合があります。

    <根拠条文>相法19、21の9~15、昭和48年11月1日付直資2-189




     

     

    保存版ひとくちメモ

     

    譲渡所得の基礎

     

    土地・建物の譲渡による所得は他の所得から分離して、土地・建物の譲渡益に対して課税がされます。

     

    個人の不動産等の譲渡所得の計算方法は原則として次の通りです。

     

    土地等や建物を売った金額-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得金額

     

     

    取得費とは

    売却した土地や建物を買い入れたときの購入代金、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費を加えた合計額を言います。

    建物の取得費は、所有期間中の原価償却費相当額を差し引いて計算します。また、土地や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価格の5%よりも少ないときは、譲渡価格の5%を取得費(概算取得得費)とすることができます。

     

     

    譲渡費用とは

    土地や建物を売るために支出した費用を言います。仲介手数料、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取り壊し費用などが発生します。

     

     

    長期譲渡所得の税額

    譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売った時の税額の計算

    譲渡所得金額×20%(国税15%:住民税5%)

     

     

    短期譲渡所得の税額

    譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の土地や建物を売った時の税額の計算

    譲渡所得金額×39%(国税30%:住民税9%)

     

     

    なお、平成49年までは、上記の国税相当額については、それぞれ復興特別所得税率2.1%が上乗せされます。



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