公開日2021年8月30日


秋、紅葉の小道の風景

 

「家族信託」も「遺言」も相続財産を相続する人たちに、スムーズに引き継ぐための手段の一つです。

 

どちらの特徴も理解し、ご自分にいちばん合う相続方法を見つけたいですね。

 

 

 

 

 (目次)

1、遺言と家族信託の特徴

2、遺言と家族信託を両方使う事例

3、まとめ

 

1、遺言と家族信託の特徴

 

遺言のことは多くの皆さんがご存知ですが、家族信託については活用され始めて話題になってからまだ5年くらいしか経たないのでご存知ない方もいらっしゃいます。

 

最近、家族信託がマスコミでも取り上げられることが多くあり、内容を勉強された方から

「家族信託と遺言は両方利用できるのですか?」とのご質問をいただく事が多くなりました。

 

答えは「家族信託と遺言は両方使うことができます」となります。

 

まず、家族信託について簡単な事例で説明すると

[家族信託の事例]

 

父と母が父名義の自宅で二人で暮らしています。

 

子どもは長男、長女の二人。

 

父は病気や認知症になってしまった場合のお金の管理は、近くにいる長男に任せたいと思っています。

 

自分たち夫婦か亡くなった後は、自宅は長男に、預金は長男、長女で半分ずつ相続させたいと考えています。

 

この事例で家族信託を使うと下記のような契約になります。

 

1、父と長男で信託契約を結び、長男に、父と母が亡くなるまで自宅に住めるように維持管理してもらい、お金も長男に預けて生活費、医療費、介護費用等の支払いを管理してもらう。

 

2、父も母も亡くなったら、自宅は長男に相続させて、預金は長男、長女で半分ずつ分けて信託契約を終了させる。

 

3、家族信託の特徴は、この事例で言うと、父の財産である自宅と預金を家族信託契約によって、生前に長男に預けて自宅も預金も長男名義に変えてしまいます。

 

長男が預かった財産は、信託契約によって、自宅の維持管理と生活費、医療費、介護費等にしか使えない契約になっています。

 

従って、父や母が認知症になってお金の管理ができなくなっても、財産は長男名義になっているので、そのままの状態でお金の管理は心配ありません。

 

また、父が亡くなった後も、信託契約は続いて、今度は長男が預かっている自宅やお金は母が亡くなるまで、信託契約で母のための自宅の維持管理と生活費、医療費、介護費等に使われることになります。

 

そして、父も母も亡くなったら、信託契約は終了し、自宅は長男が相続し、余ったお金は長男と長女で二等分することまで信託契約に盛り込んでおきます。

 

つまり、家族信託を使うと、父と母の生前の財産管理(認知症対策)と、相続対策……父→母→子どもという相続による財産承継ができる事になります。

 

4、遺言の特徴は、家族信託と違って生前には効力がなく、父親の死亡によって遺言に書かれている事が効力を発することです。

 

遺言には家族信託には無い特徴があります。

 

家族信託は財産管理と承継には効力を発するのですが、遺言でできる認知、相続人の廃除等はできません。

 

遺言のみを作って認知症になってしまった場合には、成年後見制度を活用して、財産を家庭裁判所の管理下に置いて、封鎖されて使えなくなった預金の出し入れを行ったり、家庭裁判所の許可をもらって自宅を売却して施設入居費に充てたりする必要があります。

 

また、遺言は次の代までしか財産の承継を指定できません。

事例で言うと、父→母→子供 という順番に財産を承継させることを父の遺言ではできないのです。 

 

遺言では、父→母 あるいは 父→子ども しかできないので、

     父→母→子ども という承継をしたければ、

     父→母(父が書く)  母→子(母が書く) というように

二人が書かないと有効にはできないのです。

 

このような特徴を持っている家族信託と遺言ですが、どのように両方を使っていけばよいのでしょうか?

 

 

2、遺言と家族信託を両方使う事例

 

家族信託、遺言それぞれによくある質問で

「家族信託に全財産を入れないといけないのですか?」

「遺言を書いた後、新しい財産が増えたら書き直さないといけないのですか?」

というのがあります。

 

答えは、

家族信託にすべての財産を入れる必要はないし、遺言を書いた後で新しい財産が増えたら書き直しになるかというと必ずしもそうではないのです。

 

家族信託に入れた財産は家族信託の中で財産承継が決まっていきます。

 

家族信託に入れなかった財産は、遺言があれば遺言で承継されますし、遺言に書いてない財産があれば遺産分割協議で相続人に承継されていきます。

 

つまり、家族信託に入れたい財産を選んで家族信託で承継して、遺言に入れたい財産は選んで遺言で承継させていけばよいのです。

 

[家族信託と遺言の使い分け事例]

 

1、すべての預金を預けずに自由に使いたい

 

認知症が心配で、医療費や介護費用の預金と万一の施設入居費に充てるための自宅とその修繕費は、子どもに信託して名義変更して管理してもらいたい。

 

しかし、まだ自分でも自由に使いたいお金は必要だし、すべての預金を子供に預けてしまうと不自由なこともあるので、手元に残したお金は自分で自由に使えるようにしておいて遺言で承継させることにしたい。

 

家族信託は生前管理から承継までの目的を決めて使うのには便利な方法です。

 

生前の自由度は遺言の方があります。

 

2、すべての財産の承継をオープンにしたくない

 

家族信託を使うと、その内容は預けた子どもには当然わかってしまいます。

 

どんな財産を家族信託にいれて、それを家族信託で誰に承継させていくのか・・・これは信託契約書に明記されます。

 

少なくとも財産を預かる子供には知らせることになります。

 

遺言であれば、子供に遺言の内容を一切知らせずに遺言を遺すことができます。

 

生前に知らせることがデメリットになるとは限らないですが、秘密にしておきたい内容や財産がある場合には遺言がよいです。

 

3、行く末を見極めてから決めたい

 

自分の老後のために使うお金は、万一認知症になった時の事も考えて家族信託に入れておくことが自分の計算である程度できます。

 

ただ、他の人のために遺したり使ったりする財産は、生前贈与も含めて、財産の承継先の年齢が若い・・・どこで暮らすかわからない等の理由で検討の余地がある場合には、その部分は遺言を書いて、書き直しながら対応していくことができます。

 

 

3、まとめ

 

遺言も家族信託もご自分のためのツールの一つです。

 

ご自分が考える老後の生活設計や財産承継の目的に合ったツールを選択し、組み合わせながら使っていくことが大切です。

 

家族信託、遺言のご相談は、経験豊富で税金対策の相談にも乗れる、税理士法人と行政書士法人に相談するのが良い方法です。

 

 

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