公開日2021年8月30日


緑の外壁のアパート画像

 

もうすぐ70歳になるAさんは、貸ビルと賃貸アパート1棟、預金1000万円を所有しています。

 

Aさんには妻と2人の子ども(息子、娘)がいますが、子供は2人とも結婚して家庭を持っているため、実家にはAさんと妻の2人で暮らしています。

 

Aさんは頑張ってきた貸ビル・アパート経営を息子に継がせたいと思っていますが、息子本人は貸ビル・アパート経営に興味がないようです。

 

このままでは、自分が病気や認知症になったとき、誰に不動産経営を任せれば良いのか心配です。

 

また、近所でアパート経営をしている人が、「アパートの大規模修繕をしたかったが高齢なため銀行からお金を貸してもらえなかった」と話をしており、自分は大丈夫かと不安になりました。

 

そこで、Aさんは最近よく耳にする「家族信託」の制度を利用しようと思い、専門家へ相談をしました。

 

この記事では、Aさんが家族信託を使って、今後の貸しビル・アパート経営の悩みを解決する方法をご紹介いたします。

 

○Aさんの悩みは以下のとおりです。

 

①貸しビル・アパート経営を息子に継がせたいが、息子本人は経営に興味がない

②銀行からお金が借りられず、貸しビル・アパートの大規模修繕ができないかもしれない

③自分と妻の老後の生活費の確保

 

Aさんがこれらの悩みを専門家に相談したところ、専門家は次のような信託契約案を出してくれました。

 

【信託契約案】

・委託者=Aさん

※委託者とは、信託財産を預ける人のことです。

 

・受託者=息子

※受託者とは、信託財産を預かる人のことです。

信託財産は受託者の名義に変更され、貸ビル・アパートの管理は受託者が行い、受益者に生活費を支払います。

 

・第1受益者=Aさん、第2受益者=妻

※受益者とは、信託財産によって利益を受ける人のことです。

第1受益者は最初に受益者となる人、第2受益者は第1受益者が亡くなる等の理由により受益者ではなくなったときに受益者となる人です。

 

今回の例では、アパートの収益、生活費、医療費、介護費用の支払いを受ける権利が受益者のものとなります。

 

・信託財産=

Aさん名義のアパートとビル、Aさん名義の預金500万円

 

・信託の目的=

不動産の管理、受託者の老後の生活資金、医療費、介護費用等の管理

 


 

これと同時に、専門家は次のような提案もしてくれました。

 

「息子さんばかりに財産を残すと、相続が発生したとき争いになる可能性があります。娘さんにも財産を残しましょう。」

 

Aさんは預金1,000万円のうち、信託していない預金500万円を遺言によって娘に残すことにしました。

 

遺言はAさんが亡くなってから効力が発生しますが、家族信託は契約を結んでから効力が発生します。

 

上記のような信託契約を結ぶことによって、Aさんは息子に貸しビル・アパート経営をしてもらい、その収益の中から自分たちの生活費や介護費用を確保することができるようになります。

 

Aさんが亡くなった後も信託契約は続くため、次は第2受益者である妻の生活費や介護費用も、預金や不動産の収益の中から確保することができます。

 

また、最初は不動産貸付経営に興味がなかった息子でも、家族信託で経営を経験することで興味が出てきました。

 

毎月アパートの収益が入ってくる通帳は受託者である息子の名義(信託口座)となり、息子が管理することになります。ビルやアパートにかかる固定資産税や修繕費も収益の中からやりくりするため、経営の面白さが分かってきたようです。

 

さらに、「Aさんが認知症になるまでは経営についてのノウハウを息子に教えることもできるため、スムーズな世代交代が実現できました。

 

ただし、アパート収益は信託前と同様にAさんのものとなりますので、家賃収入に関する確定申告はAさんが行うことになります。

 

また不動産の収益や預かった預金は、信託目的の不動産の維持管理や受益者の生活費、医療費、介護費、施設入居費以外には使えない契約になっています。

 

 

家族信託で収益物件の大規模修繕も

 

Aさんは、近所でアパート経営をしている人が高齢のため銀行からお金を借りることができず、古くなったアパートの大規模修繕ができなかったという話を聞き、自分は大丈夫かと心配になりました。

 

例えば、Aさんが20年前からアパート経営を始めたとすると、そろそろ所有しているアパートやビルも古くなってきます。

 

本当に修繕が必要になったときに80歳、90歳になっていると、銀行からお金を借りられず、修繕ができなくなってしまう可能性があります。

 

いずれ修繕のできないアパートに住む人は減り、経営を続けていくのが難しくなる恐れもあります。

 

そこで、Aさんは家族信託を活用して、アパートの大規模修繕を息子にお願いすることにしました。

 

家族信託では、信託財産が受託者の名義となります。

 

今回の例では、Aさん名義のアパートとビル、500万円の預金が受託者である息子の名義となりました。

 

このうち、ビルの大規模修繕に800万円が必要になったとすると、ビルの名義は息子ですので、息子が銀行からお金を借りて大規模修繕の費用を支払うことになります。

 

Aさんが借入れをするよりも、息子の方が年齢的な制限がないため、借りられる可能性が高くなるメリットがあります。

 

このように、家族信託を活用することで、Aさんが何歳になっても収益物件の大規模修繕をすることができるのです。

 

信託契約の契約前から、銀行とは契約条項についてお話しをしておくことは当然のこととして必要です。

 

 

まとめ

 

アパート経営に興味のなかった息子が、実際にアパート経営を経験してみて興味を持つようになりました。

 

さらに、大規模修繕も息子の名義で行うことができ、Aさんの不安は解消したようです。

 

老後の資金を確保するためにも、家族信託は非常に有効な手段です。

 

相続が発生する前に解決するべき心配事は、家族信託で解決できる可能性があります。

 

家族信託についてご不明な点がある場合は、ソレイユ相続相談室へご相談ください。

 

実務経験の豊富な専門家が、あなたに合った家族信託のご提案やアドバイスをいたします。

 

 

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この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。