相続手続きの内容

遺言書の有無を確認

遺言書は、相続後の親族間の争いの防止だけではなく、その後の相続手続(預金、株券、不動産等名義変更)、さらに相続税の申告時に遺産分割を条件とする減額の特例を受けるためにも必要な書類になるので大切に保管しましょう。
遺言の探し方
自筆遺言は、保管している方がいらっしゃらない場合でも、亡くなった方が大切な物を保管していた場所は探してみる事が必要です。
お亡くなりになった方が、貸金庫を利用されていた場合には、貸金庫に入っている場合があります。
また、自宅で遺言が見つかっても遺言が貸金庫に入っている場合があるので要注意です。
貸金庫を開けてもらう手続きは金融機関によっても違いますが、金融機関によっては、本物の遺言が貸金庫に入っていた場合も想定して、手元にある遺言を持って行っても開けてくれず複数の相続人の立会いを求める場合もあります。
公正証書の遺言を作ってあるというお話は聞いたことがあるが、現物が見つからない場合には、最寄りの公証人役場で遺言の検索を行う事が出来ます。
また、遺言が存在していることがわかれば謄本(写し)の請求もできます。
当然のことながら、生前には相続人であっても検索できません。

遺言公正証書
の検索・謄本請求についての必要書類は下記の通りです。参考にしてください。
遺言者本人が死亡したことを証明する書類 
   除籍謄本・死亡診断書等
請求人が利害関係者であることを証明する書類  
   戸籍謄本(①の除籍謄本に、請求人の名前が載っている場合は不要)
請求人の身分を証明するもの                         
 印鑑登録証明書1通及び実印
(発行後3ヶ月以内のもの又は官公庁発行の顔写真付き身分証明書及び認印パスポート )
・運転免許証・住民基本台帳カード(顔写真付)など              

遺言が見つかったら

遺言書が見つかったら、自筆の遺言の場合には家庭裁判所の検認を受ける必要があります。
遺言が複数見つかっても、公正証書遺言以外はすべて家庭裁判所で検認をうけることが大切です。
複数の遺言のうち公正証書遺言が優先されるわけではなく、最後に書かれた遺言が優先されます。
複数の遺言の内容が抵触している(同じことに触れている)なら、抵触している内容の後の遺言を優先します。
また、封印されている遺言は家庭裁判所で開封しなくてはなりません。
勝手に開封すると遺言の効力が無くなるわけではありませんが罰則があります。

遺言執行(相続手続)

相続手続きには遺言は必要になります。
実際に手続きをする時には原本を持って行って見せる必要があります。
手続先で確認しコピーした後で戻してもらえます。

相続人の調査・確認

相続が開始されると相続財産は自動的に相続人全員の共有財産になります。
遺言が無い場合には、相続人全員による遺産分割協議が必要になります。
遺産分割協議にあたり、相続人が誰なのかを調査し確定する必要があります。
相続手続きのスタートラインであり、相続人が確定されないとその後のすべての手続きができないことになります。
相続人の調査は、亡くなった方の生まれた時から亡くなるまでの戸籍を見て相続人を確定していく事になります。
この調査で必要な戸籍の種類は下記の通りです。
戸籍謄本
相続人が出生してから死亡するまでの身分に関すること(出生、結婚、死亡、親族関係など)を記録した戸籍が必要になります。
除籍謄本 
戸籍に載っている人全員がその戸籍からいなくなると除籍となります。
戸籍の中のどなたかが亡くなって戸籍から除かれても、まだその戸籍に残っている人がいれば戸籍の扱いとなります。
亡くなった人が亡くなった旨の記載がされている戸籍が必要になります。
改正原戸籍
戸籍原本の様式が改製された際に、除籍になっていない戸籍は新様式へ作り替えられました。
この作り替える前の戸籍のことを改製原戸籍といます。
改製された後の戸籍には、その当時在籍していた者については記載されていますが、戸籍の改製前に死亡や婚姻等でその戸籍から除かれていた者は、改製後の戸籍には記載されません。
だから相続人調査には改正原戸籍が必要とされるのです。
誰に分けるかの方法(相続人と相続分)

相続人
とは、被相続人の財産を相続する権利のある人を言います。
相続分とは、相続人が遺産を相続できる法律上の割合のことを言います。
法律では相続人とその相続分について次のように定めています。
◎配偶者(妻または夫)・・常に法定相続人となります。
◎第1順位:子   ・・・・配偶者とともに常に法定相続人となります。
◎第2順位:父母  ・・・・被相続人に子供がいなかった場合に、配偶者とともに法定相続人となります。
◎第3順位:兄弟姉妹・・・・被相続人に子も父母もいなかった場合に、配偶者とともに法定相続人となります。

●摘出子と非摘出子

嫡出子(ちゃくしゅつし)とは、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子供のことをいい、非嫡出子とは、法律上の婚姻関係がない男女の間にうまれたことをいいます。 
嫡出子と非嫡出子の相続分は同じです。
●実子と養子
実子と養子の相続分は同じです。
●代襲相続
相続人になるはずだった子が死亡しても、さらにその子がいる場合には、第1順位の相続権を引き継げます。なお、第3順位の相続権はその子(被相続人の甥・姪)までしか引き継げません。

相続財産の調べ方

亡くなった方の相続財産は、その方が生前に財産の一覧表等の記録を残している場合を除けば、すべてを調べるのは専門家にとっても簡単な事ではありません。皆様は、別居されているご両親あるいはご兄弟の財産がどこにあってどのように管理されているかご存知ですか? 同居の家族ならたいていの事はわかりますが、生計が別のご家族の財産はわからないのが普通なのです。
遺言書があっても、大まかな分け方が書いてあるだけで、遺言する財産の明細まで書いてあるとは限らないのです。また、ほとんどの方が遺言を作られた時の財産目録を作られていません。
このような財産に関する記録を亡くなった方がつけていない場合には、おおよそ下記のステップで相続財産を調べます。
手がかりの多くは書類の中にあります。お亡くなりになった方が生活していた場所で、重要書類が保管してあったと思われる、金庫、引き出し等を調べます。
不動産関係
 
固定資産税の納税通知書か領収書、登記簿謄本(全部事項証明書)、権利書、売買契約書等の書類から不動産の存在を調べます。
銀行・株関係
通帳、定期預金証書、株券、利息や配当の計算書、お知らせのハガキから、どの金融機関や証券会社とどのような取引があったのかを調べます。
保険関係
契約証書、設計書、お知らせのハガキから、どの保険会社とどのような保険契約があったのかを調べます。
貸付金・借入金
金銭消費貸借契約書、抵当権設定関係の書類、利息の計算書から、人にお金を貸していたのかどうか、あるいは金融機関等から借入をしていたのかどうかを調べます。
確定申告書の控
過去の所得税確定申告書の控をみると、過去にどんな所得があったかのかがわかるので、そこからどこにどんな財産があるのか調べられます。
通帳の記載を確認する
 普通預金の通帳の記録内容を確認すると、入金記録の摘要欄に配当金や利息の記載があれば、定期預金や株式の存在がわかります。その他不明な入金があれば不動産の貸付や売買が推定できます。また、支払欄の摘要からは、貸金庫の契約、生命保険の契約、借入金の存在等を読み取ることができます。
人に聞かないとわからない事もあります下記のような場合には、亡くなった方の保管していた書類だけではわからない情報もありますので確認が必要です。
亡くなった方が事業を共同でしていた場合、あるいは出資者や役員として事業に参加していた場合
その会社で、出資金・貸付金・未払報酬・退職金・債務・保証債務等の有無を確認する。必要に応じて顧問の会計事務所に確認する。
亡くなった方がお勤めになっていた場合
お勤めになっていた会社で、未払給与、退職金・保険契約・持株会への出資等を確認する。
亡くなった方が個人あるいは法人として事業をしていた場合
 会社の後継者、あるいは顧問の会計事務所から、出資金・貸付金・未払報酬・退職金・債務・保証債務等の有無を確認する。

相続財産の把握

亡くなった方の財産を調べてみて、ひととおりの目星がついたら、それらを確定させて、必要なものは数字に表してみて(評価してみて)財産目録を作成する事が必要になります。財産の把握(確定し評価)する方法は次の通りです。

現金

①  現金は、現金があった場所と日付と確認した人が分かるようにして金種表で数えておくのが良いです。
【例】○○年〇〇月〇〇日 ○時 〇〇信用金庫貸金庫 のボックスに、〇〇信用金庫の帯のついた100万円3束 300万円
②  葬式費用のために亡くなる前に亡くなった方の預金から引き出した現金は、使い道が分かるようにメモや領収書を残して残高を数えておきましょう。後に税務署や親族とのトラブルに備える必要があります。

預金等

①  金融機関から、その金融機関にある相続開始日現在(死亡日現在)のすべての預金や金融資産の残高証明書を取得します。
②  預金の残高がゼロ円でも、口座があれば残高証明に載せてもらうことが大切です。そうしないと相続手続きで亡くなった人の預金口座が残ってしまいます。
③  出資金がある金融機関(農協、信用金庫、信用組合等)は、出資金の残高証明も忘れずにもらっておきましょう。
④  金融機関に債務がある場合、あるいは債務の有無を確認しておきたい場合には、債務の残高証明もあわせて取得しておく必要があります。

株式等

①  証券会社から、その証券会社にある相続開始日現在(死亡日現在)のすべての株式・金融資産の残高証明書を取得します。
②  相続開始日現在(死亡日現在)の評価額(値段)も入れていただけると財産目録の作成が楽にできますが、評価額を入れてもらえない場合や専門家の手を借りないと評価額がわからない場合もあります。そのような場合は所有数量だけでも正確に把握しておきます。

不動産

①  不動産のある市町村の固定資産税の係で、亡くなった方の固定資産税課税台帳の写しを取得します。亡くなった方が他の方と共有で不動産を持っている場合には、他の方の名義で固定資産課税台帳を取得しないとその不動産が載ってこない場合があるので注意が必要です。固定資産課税台帳を取得すると、その市町村にある土地、建物の大きさや固定資産税の評価額さらに不動産の登記の有無を知ることができます。
②  固定資産課税台帳を元に登記してある不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)を法務局で取得します。全部事項証明書を取得すると、不動産の物件・所有者情報だけでなく、抵当権の設定の有無等の情報も得ることができます。
③  不動産の価格には、固定資産税評価額、相続税評価額(国税庁路線価)、公示価格、鑑定評価額等いくつかの種類があります。目的に応じて使っていく事になります。

その他財産目録
(財産の種類と所在場所と数量を入れて、目的に応じて評価額を入れる)
相続税の申告書の作成のためには相続税評価額が使われます。遺産分割協議には、一般的には相続税評価額をベースとして、より時価に近い価格が使われる場合があります。使う場面と目的によって使い分けていきます。

相続手続き一覧表

相続手続きは、亡くなった方のすべての財産(プラスの財産とマイナスの財産)の名義を変更(解約も含む)して終了します。 を見ていただいても分かるように、相続手続きには膨大な量があります。
ここでは相続手続きの進め方の注意点についてご理解いただきたいと思います。

相続手続きを始めてはいけない人
相続手続きのうち、市町村にする死亡届、埋葬許可申請、健康保険証の返還等の行政上の手続きは必ずやらなくてはいけない手続きです。
それ以後に行われる財産の名義変更の手続きについては、相続放棄をする方はやってはいけない手続きになります。
相続を放棄する人が亡くなった人の財産の名義を自分の名前に変えたり、亡くなった方の債務を支払ったりすることは、相続を放棄しないことになってしまいます。
特に亡くなった方の債務は少額なもの、例えば病院代の支払であっても、その債務の保証人になっていない限り、支払を行うと債務を相続したしたことになってしまいます。
ただし、亡くなった方が契約者になっていている死亡保険金の請求手続きは、相続を放棄する方でも行う事ができます。

分割方法によって相続手続きは変わります

相続財産の分割方法は、現物分割、換価分割、代償分割また、現物を分割して複数の相続人で所有する方法に共有があります。
現物分割は、遺産の現物を相続手続きによって名義変更していく方法です。
例えば、自宅の土地建物はAが相続し、貸家の土地建物はBが相続するという方法です。
換価分割は、遺産を換金して分割する方法です。
例えば、自宅は売却して換金しAとBで二分の一ずつ相続するという方法です。
代償分割は、ある遺産をある相続人が余分に相続する事に対して、他の相続人に代償金を払って相続する方法です。
例えば、6000万円の価値がある不動産をAが相続するのでその代償としてAがBに3000万円支払う、というような方法です。
相続手続きは、その後に財産をどう分割するかによっても違ってきます。
例えば、都市銀行と信用金庫と郵便局に亡くなった方の預金があるとして、都市銀行はAに信用金庫はBに郵便局はCが相続するのであれば、各銀行の相続手続きは解約してABCそれぞれの口座に振り込むことになります。全部の預金を三分の一ずつ相続するのであれば、相続人代表の口座に各金融機関の預金を解約して集めて、その後に三分の一ずつABCに振り込む方法もあります。亡くなった方の不動産をABC三人の相続人が換金して三分の一ずつ相続するのであれば、売却が決まった時点で、不動産を三人の三分の一ずつの共有登記にして売却する方法もありますし、不動産を相続人代表の名義にして、売却代金を相続人代表の口座から三人に振り込む方法もあります。
このように、相続手続きもその後の分割方法によって変わってきますので、遺産分割の全体像とスケジュール、さらに分割や相続手続きにかかる費用をどこから支払うのかを考えて手続きのスケジュールを立てる必要があります。

相続手続きを誰が進めるのか相続手続きは、例えば遺言が無い場合には、一つの金融機関の手続きにも相続人全員が書類な記入して、全員の印鑑と印鑑証明が必要になります。相続人全員で書類を持ち回りするのも大変なので、一般的には相続人代表の人を決めて手続きを行っていく事が行われています。
また、相続手続きを専門に行っている士業に依頼するのも早く確実に手続きを進める方法です。

相続の放棄・限定承継

相続の正式な放棄は家庭裁判所の手続きをしないと実現されません。
相続人の皆様が集まって分割協議を行って、財産を相続しない旨を他の相続人の皆様に申し出て、遺産分割協議書には「相続する財産がない旨」が記載されて、相続人全員の印鑑証明と実印が押されていても、正式な相続放棄とはならないのです。
亡くなった方に債務が無い場合にはこの方法でも相続放棄と同じ事になりますが、相続を放棄しなければならないくらいの債務がある場合には、家庭裁判所の手続きを経て相続放棄をする必要があります。

(1)  相続放棄の手続き
①相続放棄は、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に相続放棄申述書と必要書類を提出する事によって始まります。
相続放棄申述書は家庭裁判所に行ってもらうか、下記ホームページからもダウンロードできます。
http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_13/index.html 
 
申述書以外の必要書類は原則として次の通りです。
放棄する相続人にによってその他の書類が必要になる場合もあるので家庭裁判所にお尋ねください。
  ・被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、住民票の除票 
  ・相続放棄する相続人の戸籍謄本  
  ・返信用の郵便切手
  ・収入印紙800円

②相続放棄手続きのステップ
相続放棄が完了するまでのステップは次の通りです
  必要書類を家庭裁判所に提出します(郵送でも可能です)  
      ⇓  
  家庭裁判所より相続放棄の申述についての照会書が郵送されてきます
      ⇓ 
    照会書に回答の上家庭裁判所に返送します 
      ⇓   
    家庭裁判所の審理の後に問題が無ければ相続放棄申述受理通知書が郵送されてきます
これで相続放棄が認められたことになります。

③相続放棄が認められたことを債権者に知らせるには
相続放棄が完了してもその事実が公になることはないので、債務者には知らせる必要があります。その場合には、相続放棄受理証明書を家庭裁判所から発行してもらい、通知すればよいのです。証明書は何枚でも発行してもらえます。

④相続放棄についての注意点
相続を放棄するという事は、亡くなった方の預金を解約しあるいは自分の名義にする手続きをする事もできませんし、亡くなった方の債務(病院の医療費なども含まれると解されています)の支払もする事はできません。これらを行うと相続放棄そのものが疑われることになるので注意が必要です。

(2)  相続の限定承認
亡くなった方の財産に、プラスの財産とマイナスの財産があり、プラスの財産よりマイナスの財産が大きい場合には、相続放棄の手続きをして、プラスの財産もマイナスの財産も放棄してしまう事ができます。
当然のことながら、プラスの財産だけ相続してマイナスの財産は放棄する事はできません。
ただし、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も引き継ぐ方法も認められています。
つまり、プラスの財産を引き継いだらその範囲を超えたマイナスの財産を引き継ぐ必要がないのが限定承認なのです。
限定承認をする場合には、相続放棄が一人でもできるのと違って、相続人全員が共同で相続開始から3ケ月以内にしなければならない決まりになっています。

所得税の準確定申告

亡くなった方の所得についても確定申告をする必要があります。
この申告の事を準確定申告といいます。
通常の確定申告はその年の1月1日から12月31日までの所得を、翌年の2月16日から3月15日までの間に行います。
亡くなった方の確定申告は、原則として亡くなった日から4ケ月以内に行う事になっています。
亡くなった方が確定申告が必要でない方は準確定申告も必要ありません。
ただし、所得税の確定申告は1年をベースに課税方法が組み立てられているので、年の中途で亡くなった場合で、年金や給与の源泉税を天引きされている場合には、その天引きされた税金が還付になる可能性が通常の申告より高くなります。
準確定申告による還付金は相続財産になり、納税が発生すれば債務として控除できることになります。
通常の確定申告と、準確定申告が主に違う点と主な注意点は次の通りです。

①確定申告書の提出先は、相続人の住所地ではなく、亡くなった方の住所地の所轄税務署になります。
②賃貸不動産の分割協議が終わっていない場合には、賃貸収入に関する所得は法定相続分で行う事になります。
 遺言があって相続分が指定されている場合にはその指定相続分で行う事になります。
③医療費控除の対象となるのは死亡の日までに亡くなった方が支払った医療費で、死亡の日以後の医療費は控除の対象となりません。
 ただし、相続税の債務控除の対象になります。
④社会保険料、生命保険料、損害保険料等は亡くなった日までに亡くなった方が支払った保険料が控除の対象となります。
 死亡の日以後の支払は控除の対象となりません。
⑤配偶者控除や扶養控除の対象となるかどうかの判定は死亡の日現在の現況により行います。
⑥相続人が二人以上いる場合には準確定申告書は連署での提出になります。 
 また、確定申告書付表兼相続人代表指定届出書の提出が必要になります。
 ただし、相続を放棄した人に提出義務はありません。
※下記国税庁のホームページからダウンロードできます。
 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2022.htm
⑦亡くなった方が消費税の納税義務者の場合には、消費税の申告も必要になります。
⑧亡くなった方が個人事業を行っていて、相続人の方がその事業を引き継ぐ場合には、新たに税務上の届出が必要になります。
 亡くなった方の税務上の届出は、相続人に引き継がれないので、新規開業と同じ届出書の提出が必要になります。

【例】
・個人事業の改廃業届出
・青色申告の届出書
・青色事業専従者の届出
・給与支払事務所等の開設届出書
・源泉税の納期の特例の承認に関する届書
・消費税課税事業者届出書
・消費税課税事業者選択届出書
・消費税簡易課税制度選択届出書  

遺言がある場合

遺言書が見つかった場合に、次のステップは「誰がその遺言書の内容を実行するのか?」になります。
具体的には、例えば不動産の名義を変更し、預金を解約し、遺言の通りに配分する手続きをやる人を決める必要があるのです。
当然のことながら自筆遺言書が見つかった場合には、家庭裁判所で検認の手続きを受けておかなくてはなりません。

(1)遺言執行人が定められている場合
遺言書の中で、遺言執行人が指名されていれば、遺言の執行人は次のステップで遺言の執行を進めていきます。
①相続人及び受遺者(相続によって財産を遺贈された人)全員に、遺言執行人に就任した旨を通知します。
②遺産の調査をして、財産目録を作成し、相続人及び受遺者に公布します。
③遺産の不動産の名義変更や預金の解約等の相続手続きを行います。

(2)  遺言執行人が定められていない場合
①遺言執行者の選任申立を行います遺言書の中で遺言執行人が定められていない場合には、利害関係人(相続人、遺言者の債権者、遺贈を受けた人等)が、家庭裁判所に必要書類を添えて遺言執行人を選任してもらう事ができます。
遺言執行者選任申立書記載例  
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/7434igonshikkousha.pdf

標準的な申立添付書類
・遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)(申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合(検認から5年間保存)は添付不要)
・遺言執行者候補者の住民票又は戸籍附票・遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し(申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合(検認から5年間保存)は添付不要)
・利害関係を証する資料(親族の場合,戸籍謄本(全部事項証明書)等)
②遺言執行者を正式に選任しない場合遺言執行者を正式に選任せずに、相続人が手続きを行う事もできますが、遺言者が遺言を書いてから時間が経っている場合もあり、遺産目録の作成は欠かせません。その財産目録作成の手続きひとつとっても、他の相続人に疑われないように公平に行う必要があります。
また、遺言執行人に対して相続人はその執行を妨げる行為をすることが法律で禁じられていますが、執行人がいない場合には資産の名義変更ひとつとっても、遺言の内容によっては協力が得られない相続人がでてくることも考えられます。
遺言の執行をスムーズに行うためにも、遺言執行人を選任することをお勧めします。

(3)  遺留分の減殺の請求遺留分の権利者は、自分の遺留分が侵害されていると知った日から1年以内に、遺留分の減殺請求を、遺留分を侵害している他の相続人や受遺者等に請求する事ができます。

遺言がない場合

遺言書が無い場合には、亡くなった人の財産は、相続人が複数いる場合にはその人が亡くなった瞬間に、法律上は「共同相続」(法定相続分)という形になります。
従って、遺産分割の話し合いが無い状態でも不動産を法定相続分で登記する事(共同相続のままでの登記)も可能です。
亡くなった瞬間に共同相続になってしまった人の財産を相続人が話し合って、誰がどの財産を相続するかを決めるのが遺産分割協議になります。
それ以前に、遺産分割協議を行うにしても、亡くなった人にどんな財産があってどんな手続きが必要なのか調べないことにはお話が進みません。
こんな時に手続きを進める人のことを一般的には「相続人代表」と呼びます。

(1)  相続人代表
相続人代表という言葉は法律用語ではありません。
例えば、亡くなった人の固定資産税に関して相続登記が終わる前に通知が来て「相続人代表」の選任を求められ、あるいは亡くなった人の確定申告書(準確定申告書)の付表で「相続人代表者」の指定を求められ、または金融機関の相続手続きの書類に「相続人代表」の文字を見つけたりすることと思います。
いわば複数の相続人がいる場合には、代表者を決めないと手続きがうまくすすまないので、選定するのです。
法律的な意味は違いますが、遺言があった場合の遺言執行人と同じような準備をする人なのです。
一般的には、相続人の中から手続きを進める代表の方を選んで、その方が相続人代表として、ご自身であるいは相続手続きを専門に行う方の力を借りて、亡くなった方の財産調べを行って、遺産分割協議ができる状態に財産一覧表を作成していくのです。

(2)  遺産分割協議の前の準備
遺言があった場合
遺言執行者が相続人を確定して通知して、財産目録を作成し相続人に通知し、遺言に基づいて財産を分けます。
遺言が無い場合
遺言に相当することを相続人全員で話し合う必要があるだけで前段のステップは同じです。
ただし、遺言があればまとまらないことはないのですが、遺言が無いと話し合いの結果遺産分割協議書にまとまらないこともあるのです。
遺産分割協議の前の準備は次のステップになります。

①相続人の確定遺産分割協議には相続人以外は加われません。
   逆に言うと相続人全員の実印と印鑑証明が揃わないと遺産分割協議は成立しないので、誰が分割協議に加われるのかはきちんと戸籍で確定しておかなくてはなりません。
  ※外国に居る方などは実印がなくてもそれに代わる方法で分割協議を成立させられます。
  具体的には、亡くなった方の除籍謄本、生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍(改製原戸籍)を取り寄せて確認しておくことが必要です。

②相続財産の確定(財産目録の作成)亡くなった方の、すべての財産(プラスの財産とマイナスの財産の両方)を一覧表にした財産目録の作成。
   分割の方法にもよりますが、全財産がいくらあったのかを知るためにも、財産は評価して価格をいれて一覧表を作ります。
   不動産や株などの評価が必要になれば専門家の力を借りた方が間違いない一覧表を作成できます。

例 不動産の価格については、固定資産税評価額、相続税評価額、公示価格等があります。
      また、株価については上場企業の場合はいつの時点の価格にするのか、
      上場していない会社の株価についてはどう株価を見積もるか等

遺産分割協議

遺産分割は相続人全員の合意によって成立します。
従って、相続人全員が合意すれば法定相続分による必要はありません。
具体的には、配偶者が全財産を相続して子が全く相続しなくてもよいし、逆に長男がすべて相続して配偶者や他の子が相続しなくても、相続人全員の合意があればよいのです。

(1)遺産分割の方法
①現物分割 
例 自宅の土地建物は長男 貸家は次男 ○○銀行○○支店の預金は配偶者・・・のように遺産をそれぞれ相続人に相続させる方法。

②代償分割 
例 不動産しか遺産が無い場合で 不動産は長男 長男は全不動産を相続する代わりに次男に3000万円の代償金を支払う・・・のように、遺産以外の相続人の財産からの支払も含めて相続を検討する方法

③換価分割 
例 全財産を換金して 長男と次男に二分の一ずつ相続させる のように、遺産を換金した後の分配を定める方法

(2)分割協議の注意点と知恵
①遺産分割協議に期限はありません。
 いつまでにしなければならないという決まりはありませんが、遺産の名義を変えないと、遺産の売却や解約をすることも新たに賃貸することも原則とするとできなくなってしまいます。
 また、相続人が分割協議をしないで亡くなると、次の亡くなった方の相続人が分割協議に参加しなくてはならなくなる場合もあり、後に行くほど手続きが大変になる場合があります。

②遺言があることを知らないで遺産分割協議をしてしまった場合には、遺言に反する部分は無効となります。
 再度分割協議をして、遺言に反する部分の協議が成立すれば協議が認められることになります。

③分割協議のやり直しは原則としてできない事になっています。
 全員の合意によって再分割を行った場合には、一度相続したものを贈与により取得したとみなされて贈与税がかかる場合もあるので注意が必要です。

④遺産分割協議後に新たな遺産が見つかった時には、その遺産について分割協議を行う事になります。
 ただし、相続人に隠匿されていた財産が見つかった場合あるいは新たに見つかった財産が全体の財産の大部分を占めるような財産であった場合には無効を主張することもできます。

⑤遺産分割協議で亡くなった人の財産を引き継がなかった事と亡くなった人の債務を法的に放棄する事は別です。
 債務を放棄するには原則として、相続開始から3ケ月以内に家庭裁判所に正式に放棄の申し出をして認められることが必要です。

自筆証書遺言

自筆遺言証書は、遺言者がいつでも作成できる手間のかからない遺言です。
ただし、遺言が法的に効力を持つためには下記要件及び注意事項の検討が必要になります。

(1)  要件及び注意事項
① 遺言のすべてが遺言者の直筆で書かれている事
  ⇒ワープロや代筆は無効になります。
② 作成日付を正確に書く事
  ⇒年月日の記載のない遺言は無効です。
  「吉日」は日付の表現にならないので正確に○年〇月〇日まで記載する事。
③ 遺言者の署名押印がある事
  ⇒署名は印鑑証明の通りに記載して、実印を押印しておいた方が後日のトラブルを避けられます。
④ 遺言書の内容が多くなって用紙が2枚以上にわたるとき
  偽造や変造を防ぐために糊をつけてまとめて、署名の後の押印と同じ印鑑を使用して割印をしておくこと。
⑤ 遺言の内容
  特に財産については、特定できるようにはわかりやすく正確に書くこと。
  ⇒いくつも不動産を所有している人が「自宅不動産」と書いても特定できない。
    不動産は登記簿謄本通りに書くこと
    預金や株券の場合には○○銀行○○支店と口座番号まで記載する等
    後で見た人が特定できるように書くことです。
⑥ 遺言内容の一部を訂正するために加入、削除、訂正を行うには、規定に従って行う必要があります。
    正式な訂正方法によらない場合は訂正箇所が無効となるので、正式な訂正に寄らない場合にはすべて書き直した方が安心です。
⑦ 遺言は封筒に入れて、その封筒を遺言本文で署名押印に使った印鑑を押して封をしておきます。
    封印が無くても遺言は有効ですが変造を防ぐために封印をしておきます。
⑧ 遺言を封印したら、それが遺言であることが分かるように、遺言と記して日付を入れて、
   「開封せず家庭裁判所に提出する事」と書いておけば、知らない人が開けてしまう可能性を減らせます。

(2)  自筆遺言証書の取り扱い
遺言者の死亡後に、自筆の遺言を発見した人あるいは保管者は、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」を受けなければなりません。
その遺言が封印のあるものであれば、家庭裁判所で相続人立会いの下で開封しなければなりません。
検認の手続きは次の通りです。
① 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に、遺言を発見した相続人か保管者が持参し検認の申し立てをする。
② 必要書類
   ・申立書(下記に記入例があります) 収入印紙 
    http://www.courts.go.jp/vcms_lf/7433igonshokennin.pdf
   ・遺言者の除籍、改製原戸籍、相続人全員の戸籍謄本、代襲相続人がいる場合にはその子及び代襲者の除籍、改製原戸籍
   ・その他相続人に応じて書類が必要な場合があります。
③ 申立て後に、相続人に検認を行う日が通知されます。
    申立人以外の相続人が検認日に出席するかどうかは各自の判断に任されていて相続人全員の出席が無くても検認は行われます。
④ 検認が終わったら遺言に検認済証明書の申請を行います。
    遺言の執行を行うには遺言書に検認済証明書が着いている事が必要になります。

公正証書遺言

 公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言の事です。
(1)  公証人とは公証人とは法務大臣が任命する公務員で、公証役場で執務をしています。
      公証役場は全国にあります。所在地は下記を参照してください。
      http://www.koshonin.gr.jp/sho.html

(2)  公正証書とは公正証書には遺言公正証書、金銭貸借に関する契約、不動産の賃貸に関する契約などがあります。
      公正証書は公証人が作成する公文書なので高い証明能力があります。
      さらに金銭の貸借などは裁判所の判決を待たずに強制執行ができる書類を作成する事もできます。

(3)  公正証書遺言の作成のステップ
  ①遺言の下書自筆遺言の場合でも同じことですが、財産の一覧表を作成して、誰に何を相続または遺贈したいのか検討します。
   相続税の支払や、相続または遺贈された人の税負担も考えた上で下書きを作る必要があります。
  ②公証役場相談に出向く事前にアポイントをとり、公証役場に出向いて公証人に遺言の下書きを見せて相談します。
   証人が二人必要になります。
   未成年者や相続人になる可能性のある人(推定相続人)等いわゆる身内の人は証人になれません。
   公証人役場でも証人を探してくれます。
  ③見積と必要書類を揃える固定資産課税台帳や財産のメモ等を元に公証人に費用の見積もりを依頼しておきます。
   公正証書作成の当日に必要になります。
   また、遺言する人の戸籍印鑑証明等必要書類を確認して揃えておきます。
  ④遺言当日遺言者と証人二人が揃ったところで、公証人が本人確認と遺言の内容確認を行い、遺言を読み上げて確認した上で、
   それぞれが自署押印し、公正証書の正本と謄本を受取ります。
   病気等の事情で、公証役場に行けない場合には、自宅や病院に公証人と証人が出向いて公正証書遺言を作成する事もできます。

(4)  公正証書遺言作成のメリット
  ① 公証人が作成するので自筆遺言に比べて法的要件で無効になる心配がない
  ② 公証役場で原本が保管されるので紛失改ざん等の心配がない
  ③ 家庭裁判所の手続きがいらない。
  ④ 相続手続きが簡単に執行できる。
  ⑤ 公正証書は原本が公証役場で保管されているので、相続人が遺言を見つけられない場合その写しを公証役場から取得する事ができます。
    また、遺言があるかないかわからない場合に公証役場で検索してもらう事もできます。

(5)  公正証書遺言のデメリット
  ① 自筆遺言に比べて手間と費用がかかる
  ② 自筆遺言にはない証人が二人必要になり、証人に内容が知られてしまう

(6)  公正証書遺言の訂正
  公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されているので遺言者が手元にある公正証書遺言を破棄しても遺言を取り消したことになりません。
  遺言を取り消す時には、新たな遺言を作成すれば、前の遺言と矛盾している部分については新しい記載が有効になります。
  また、公証役場で遺言をなかったことにする「撤回」をすることもできます。
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相続税計算

相続税とは、相続や遺贈等により収得した財産が一定金額を超えた遺族に課される税金のことをいいます。
被相続人の相続開始時における正味の相続財産の額が相続税の基礎控除額以下であれば、相続税はかからず、申告の必要はありません。
正味の相続財産(課税価格)が相続税のかかる部分となります。




税金がかからない場合
 課税価格の合計 ≦ 基礎控除額
相続税がかかる場合  課税価格の合計 > 基礎控除額
上記の 課税価格 が基礎控除額を超えない場合には 相続税 はかかりません。
相続税の基礎控除額 ▷ 3,000万円 + 法定相続人の数※ × 600万円
                       ※養子については制限があります。

相続税の計算方法


    課税遺産総額の算出

課税価格から相続税の基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出します。

    
  相続税の総額の計算
課税遺産総額を法定相続分どおりに按分したものとして、それに税率を適用してかっく法定相続人別に税額を計算し、それを合計したものが「相続税の総額」になります。

  
   
  各人の納付すべき相続税額の計算

①相続税の総額を課税価格の合計額に占める各人の課税価格の割合で按分します。
   一定の要件に該当すると、税額が2割加算されます。
②按分した税額から、各種の税額控除の額を差し引きます。


相続税の税額控除

贈与税控除額
亡くなる前3年以内に、亡くなった人から贈与(暦年課税分)を受けて課税された贈与税額を控除します。
配偶者に対する相続税額の軽減
亡くなった人の配偶者は、
課税価格の合計額のうち配偶者に係る法定相続分相当額、又は1億6,000万円以下は相続税額がゼロとなります。
未成年者控除
亡くなった人の法定相続人のうち未成年者は
満20歳に達するまでの1年につき、10万円を乗じた金額を控除します。
障害者控除
亡くなった人の法定相続人のうち85歳未満の障害者は
満85歳に達するまでの1年につき10万円(特別障害者は20万円)を乗じた金額を控除します。
相次相続控除
10年以内に2回以上相続が開始された場合
前回の相続で課税された税額の一定割合相当額を後の相続時に課せられる相続税額から控除します。
外国税額控除
取得した財産が外国にあり、その財産に対して
外国の法令により、わが国の相続税に相当する税が課せられた場合には、その税額が控除されます。
相続時精算課税税分贈与税額控除
相続時精算課税適用財産について課せられた贈与税がある場合には、その人の相続税額からその贈与税額を控除します。

申告・納税

納付方法と納付期限

相続税の納付は全額を1回で納付するのが原則です。納付期限は相続開始から10カ月以内です。

納付の方法

最寄りの金融機関または所轄の税務署で、納付書に金銭を添えて納付します。

期限に間に合わない時は延納

延納とは、相続税が多額で一度で支払うのが困難な場合に、担保提供を条件として、相続税の元金均等年払いにより、最高20年以内分割納付を行うことができます。

延納の条件

納付すべき税額が10万円を超えていること金銭で一括納付することが困難であること担保を提供すること納付期限までに延納申告書を提出すること 

金銭で納められない時は物納

物納とは、延納によっても金銭で納付することが困難であり、かつ、その納付を困難とする金額の限度内である他、一定の要件を満たす場合に金銭のかわにに物で納める方法です。

物納の優先順位

第1順位 ・・・・・ 国債・地方債第2順位 ・・・・・ 不動産・船舶第3順位 ・・・・・ 第1順位の財産を用意できない場合は、社債・株式などの有価証券第4順位 ・・・・・ 第1・第2順位の財産を用意できない場合は動産※ 特定登録美術品は上記順位に関わらず物納に充てることができます。
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